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「伝わるデザインの基本」を読んだ

投稿時刻2024年4月12日 14:00

伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール」を 2,024 年 04 月 12 日に読んだ。

目次

メモ

読ませる文章での書体選び p18

文章は、「読ませる文章」と「見せる文章」に分けることができます。
読ませる文章、すなわち、文字数が多い書類では、可読性を重視した書体選びが重要になります。
基本は明朝体とセリフ体
レジュメやレポート、企画書、報告書などの資料では、ときに、数行、数十行に及ぶ長い文章を書くことがあります。
このような長い文章には「明朝体」が向いています。
ゴシック体のように太い書体で長い文章を書くと、右ページの例のように紙面が黒々してしまい、可読性が下がります。

なお、欧文の場合も、和文と全く同じです。
文字数が多い場合には、サンセリフ体よりもセリフ体が適しています。
細い文字であることが大切
同じ書体でも線の太さ(ウェイト)はさまざまで、太さによって可読性は大きく変わります。
一般的には細いほど可読性が高くなるので、ゴシック体やサンセリフ体であっても、細いウェイトなら長文に用いることができます。
例えば遊ゴシック Light や小塚ゴシック Light 、 Helvetica Light 、Calibri Light などの細いウェイトならば、長文にも使うこともできます。

逆に言えば、細いウェイトのない MS ゴシックや Arial などは、長文を書くのには不向きです。
ゴシック体やサンセリフ体を長文に用いる場合は、文字の太さに充分に注意しましょう。

同様の理由で、明朝体やセリフ体であっても、右ページの例のように、太い文字は可読性を低下させてしまいます。
長文には、太い文字全般を避けるのがよいでしょう。

見せる文章での書体選び p20

スライドやポスターなどの「見せる文章」や長い文章の中の「小見出し」では、読みやすさよりも目立ちやすさが重要になります。
そんなときは視認性の高いゴシック体を使いましょう。
基本はゴシック体
プレゼンテーションに使用するスライドや告知ポスター、チラシは、要点だけを端的に説明するものです。
したがって、「読ませる」というよりはむしろ、「見せる」意図が強くなります。
このような「見せる資料」では、高い視認性が求められるため、全体を通じてゴシック体やサンセリフ体を使うのが基本になります。
スライドでは全体をゴシック体に
プレゼンテーションに使うスライドなどの画面やスクリーンに資料を映す場合、明朝体やセリフ体では文字がかすれてしまって、読みにくくなりがちです。
そういった意味でも、スライドにはゴシック体やサンセリ体を用いるのがよいでしょう。
タイトル・小見出しにはゴシック体
タイトルや文中の小見出しは、内容を端的に表す重要な要素です。
小見出しは、長い資料の構造や区切りを明確にする役割も併せもちます。
したがって、タイトルや小見出しを目立たせると、資料の構造が明確になり、受け手の理解を促進することができます。

たとえ本文が明朝体やセリフ体であっても、タイトルや小見出しには「視認性の高い」ゴシック体を用いると受け手に伝わるデザインとなります。
細いゴシック体や明朝体のほうが格調高く見えることもありますが、可読性や視認性の観点からすれば、太めのゴシック体を使うことをまずはおすすめします。
当然、英語の資料であれば、見出しや小見出しにサンセリフ体を用います。

p42

文字の大きさや太さに差をつける
文字のサイズや太さに強弱がないと、資料が単調になり、内容を把握しづらくなります。
受け手がどこを優先して読むべきか直感的に理解できないからです。
本文の文字をやや小さくしてでも、タイトルや小見出し、強調箇所を太く、大きくしましょう。
長文の強調にもゴシック体
文字を強調したつもりでも、強調箇所と本文の文字に強弱が小さいと、重要な箇所を見つけるのが難しくなります。
このような理由で「下線」による強調は、あまり効果的ではありません。
しかも MS Office の場合、下線は字と重なってしまうので、美しさや可読性が損なわれます。
手っ取り早く、しかも美しく強調するならば「ゴシック体」が効果的です。
明朝体で書かれた長文の中でもゴシック体は活躍します。
スライドでの文字のサイズの目安
文字のサイズについて大まかな基準をもっていると便利です。
これは一例ですが、 PowerPoint でスライドを作る場合、普通に読む文章は 18 ~ 32pt 、強調したい文字列にはそれ以上の大きさ、逆に重要度の低い文章には 18pt 以下の小さな文字を使うというのが目安になります。
ただし、重要なのは絶対的なサイズではなく、相対的なサイズです。

p46

初期設定では狭すぎる!
長い文書でも箇条書きでも、行間の調節は非常に重要です。
フォントによって初期設定の行間が変わってきますので、一概には言えませんが、特に PowerPoint などは、初期設定のままでは行間が狭すぎる場合がほとんどです。
一般的には文字サイズの 0.5 文字分から 1 文字分の高さの行間をとるのが適切です。
もちろん、行間が広すぎても可読性が低下します。

なお、適切な行間は文章の量や書体によって適切な値が変わってきますので(明朝体よりもゴシック体のほうが行間を広めにとったほうがよいなど)、読みやすさを意識しながら行間を設定しましょう。
行が短ければ行間は狭くてもよい
適切な行間は行長によって変わってきます。
1 行が長くなると、より広い行間が必要になります。
1 行が短い(タイトルなど)の場合、行間が狭くても問題ありません。
なお、行長については, p.60 を参照。

p48

左に揃える (中央揃えは避ける)
Office 製品をはじめほとんどのソフトでは、段落の設定で「左揃え」「右揃え」「中央揃え」「両端揃え」に設定できます。
中央揃え(センタリング)された文章や箇条書きは不格好になりがちな上、文の開始点を見つけにくいので、読み手に負担を掛けてしまいます。
よっぽどの理由がない限り避けましょう。
「右揃え」も同様の理由で避けたほうがよいでしょう。

読みやすさや見栄えを優先するなら「左揃え」あるいは「両端揃え」にして、文や行の開始位置を左に揃えましょう。
小見出しも基本は左揃え
右下に読み進めていこうとします。
個々の項目の中を読み手は、横書きの文章であれば資料全体を左上から見るときも同じです。
このため、タイトルや小見出しを中央に配置すると、読み手の目に入りにくくなり、読み落とされる危険があります。
また、小見出しを簡単に見つけられたとしても、行頭を探すための目の動きが大きくなってしまい、読み手に負担がかかってしまいます。
小見出しは、できるだけ左側に配置し、読み手の負担を減らすように心がけましょう。

ただし、表紙やタイトルページなどのように、ページ内や項目内に複数の文がない場合は、央揃えで文字を配置しても問題ありません。
文章の数が少なければ読み手の負担にはなりません。

p52

インデントで揃える!
箇条書きは、どこまでが1つの項目なのかをひと目でわかる必要があります。
単にきっちりと左に揃えるだけでは、項目間の区切りが直感的にわかりません。
そこで、箇条書きの2行目以降を1文字分ぶら下げインデントにし、文の開始位置を揃えます(インデントの設定)。
箇条書きの「・」だけが外へ飛び出すことで、箇条書きの項目を直感的に認識しやすくなります。
項目ごとにグループ化!
次に、項目ごとにグループ化していきます。
項目間の間隔を項目内の行間よりも広くすれば、個々の項目が際立つので、どこまでが1つの項目なのかがひと目で認識できるようになります。
具体的には、行間だけではなく、段落間の間隔を設定することになります(p.57 TIPS 参照)。
強弱をつける!
最後に、項目に強弱をつけるとさらに読みやすい箇条書きになります。
強弱のつけ方はさまざまですが、例えば、「・」ではなく大きめの「●」を使い強弱をつけることで、箇条書きの開始位置をさらに認識しやすくなります。
なお、この「揃え・グループ化・強弱」の原則は、資料全体のレイアウトを考えるときにも重要です。
詳しくは、4章で解説します。
また、 Word や PowerPoint なら、箇条書き機能を使うことで、これらの原則に則った美しい箇条書きを作ることができます(次ページの Technic 参照)。

p56

まとまりのある言葉を分離しない
単語の途中や意味としてまとまりのある言葉の途中で改行するのは避けましょう。
右の図では、「資料」という言葉が2つの行にまたがっているため、少々読みにくくなっています。
単語と単語の間や、読点などの位置で改行すると読みやすくなります。
文を少し変えたり、改行の場所を調節したりすることで、言葉が分離しないようにしましょう。
強調箇所をバラバラにしない
太字にしたり、カギカッコで囲んだりして強調した部分の途中で改行することもよくありません。
これでは、強調の効果が半減です。
強調箇所をぶつ切りにしないように注意しましょう。
文末の微妙なはみ出しは避ける
最後の行の文字数が少なすぎるような改行は避けましょう。
最後の行は句読点を含めて最低でも4文字はあるほうがよいです。
4文字以下になってしまう場合は、文を長くするなり、短くするなり、あるいは1行の字数を変更するなりしましょう。
長文でも配慮したほうがよいこと
長い文章の場合でも改行の位置には少しだけ気を配りましょう。
短文と同様、段落の最後の行が短すぎるのは不格好です。
最後の行は句読点を含めて最低4文字はあることが望まれます。
文章を長くしたり、短くしたり、あるいは1行の字数を変更したりして、文字数を調節するとよいでしょう。

p59

長文ではインデントは2段落目からでもOK
日本語なら1字スペース、英語ならタブによって、段落の頭にインデントを作ります。
インデントは段落の開始位置を読み手に知らせる役割がありますが、多かれ少なかれ文字が揃っていない印象を与えます。

文章全体の1段落目と各小見出しの直下の文章は、段落の開始位置であることは明確です。
そのため、段落の開始位置を明確にしなければならない2段落目以降にのみインデントを入れることで、読みやすく美しい文章を作るという方法があります。

p61

和文には全角の和文フォントの記号
和文の中で使う ( ) は、和文と同じフォントの全角のカッコを使いましょう。
欧文フォントでは高さがずれてしまい、スムーズに読めません。
句読点やコロン、 [ ] も同様です。
ただし、全角記号は、記号の前後にスペースがあり、短文では字間が空いて見えるので、先述の通りカーニングをするか、プロポーショナルフォントを使うとさらに良くなります。
和文フォントの半角のカッコを使うことも可能です。
カッコやコロンはカッコ悪い
ポスターやチラシなどの「見せる資料」では ( ) やコロンはあまり見栄えがよくありません。
( ) の代わりに「|」(縦棒)や「/」を使ったり、文字を四角い枠で囲んだりすることで、コロンやカッコをなくすこともできます。

p74

余白を必ず作る!
枠の中に単語や文章を入れることはよくあります。
このとき注意したいのが「文字と枠の近接」。
文が枠に近接しすぎると、圧迫感が生じ、可読性が下がります。
「ギリギリだけど収まったからいい」なんてことはありません。
文章を枠内に入れる場合は、上下に1文字分以上の余白を確保するといいでしょう。
文章が収まらない場合は、余白を減らすのではなく、文字の量を減らしたり、文字サイズを小さくしたりしましょう。
そのほうが読みやすくなります。

文章だけではなく、短い語句でも必要です。
枠は大きめにとりましょう。
ちょっとしたことですが、こういった積み重ねが全体の読みやすさを大きく変えます。
必要な余白は文字の量で変わる
余白の目安は1文字分ですが、適切な余白の広さは、文字数によって変わります。
一般には、文字数が多いほど余白を多めに、文字数が少ないほど余白を少なめにするとよいでしょう。
これは、「文字数が多いほど行間を多めにしたほうが読みやすくなる」というのと共通した考え方です。

文字数が極端に少ない場合は、余白を1文字分とってしまうとむしろスカスカな印象を受けます。
余白の量は文字数に合わせて臨機応変に調節しましょう。

p116

タイトルよりも上に内容を書かない
タイトルがある場合は、必ずタイトルよりも下に内容を書くようにしましょう。
つまり、右図のように点線で囲んだ部分が内容を書くのに使える領域になるのです。
通常は、この領域内に収めるのがベターです。
決して、内容をタイトルの横やそれより上の余白に書かないようにしましょう。

タイトルの右下に情報を収めることは、情報の従属関係を明確にするという役割もあります。
右下の領域からはみ出すものは、従属関係のないものとみなされてしまいます。
下図のように、タイトルより左に内容がはみ出さないようにしましょう。

人目を引くことも大切 p124

例えばイベント告知のポスターやチラシ、学会でのポスター発表では、内容を見てもらうために、まず人の目を引かなければなりません。
しかし、ポスターなどの掲示物は、ただ目立たせればいいというわけではありません。
あまりに派手な色にしてしまうと、いざ読もうとしたときに読みづらいからです。

そこで、可読性を損なわずに、一瞬で人の目を捉えるための要素が必要になります。
このような要素は「アイキャッチャー」と呼ばれます。
文字や図形、イラスト、写真などは効果的なアイキャッチャーになります。
例えば、文字の邪魔にならない範囲で背景に大きな絵を入れたり、内容を象徴するような写真や絵を大きめに配置することで、人の目を引くことができます。
大きな文字も人の気持ちをつかむにはもってこいのアイテムなので、タイトルなどの重要な文字を大きくするのも効果的です。
大きな円やギザギザの円は、さらに効果的なアイキャッチャーになります。

p132

合計4色まで
きれいな色でも色数が増えすぎると読みづらくなります。
かといって色をあまりに使わないと、魅力的でなくなったり、手抜きのスライドに見えてしまいます。
1つのプレゼンスライドや文書、ポスターの中で使う色は、「背景色」「文字の基本色」「メインの色」「強調の色」の4色にするのがよいでしょう。
見やすさの観点から考えて、背景は白、文字は黒(あるいは灰色)とするのが基本です。
つまり、資料を作る前に、「メインの色」と「強調色」を決めればよいといえます。

もちろん、ページごとに闇雲に4色を使っているようでは、受け手が混乱してしまうので、4色をルールに則って戦略的に配色することになります。
右の例のように、例えばメインの色を水色、強調の色を赤と決めれば、迷うことなく、配色することができます。
背景が白以外でもルールは同じ
背景に色を使いたい場合でも、もちろんこのルールを適用することができます。
この場合も使用する色を合計4色にするだけで、まとまりのあるプレゼンスライドを作ることができます。
ただし、背景に濃い色を使う場合、文字色やメインの色や強調の色をセンスよく選ぶのが難しくなります。
背景に色が付いていると画像を美しく配置することが難しくなるということもあるので、白い背景を利用するのが「伝わる美しいデザイン」の基本になります。

p134

さらにシンプルに
テーマ色が4色(背景色、文字色、メイン色、強調色)ならば、色が多すぎるということはありませんが、選ぶ色によっては、シンプルさを欠きまとまりのない印象を与えるかもしれません。
相性の良い4色を考えるのも一苦労です。
そんなときは思い切って、4つのテーマ色のうち2つを同じ色にしてしまい、合計3色だけにするとよいでしょう。
図や写真から色を抽出
図や写真には多くの色が出てきて、全体の色のイメージを決定づけてしまいます。
そのため、図や写真の色と関係なく新たな色を選択すると、色数が増え、散漫なイメージになります。

そこで、図や写真で使われている主要な色を選び、資料のメインカラーあるいは、強調の色にすると、楽に統一感のある配色をすることができます。

p169

RGB & CMYK
RGB 法は、赤 (Red) と緑 (Green)、青 (Blue) の3つの「光」を混ぜて色を表現する方法 (加法混合) です。
主に、テレビやパソコンの画面、プロジェクターなどで使われます。
一方、 CMYK 法は、シアン (Cyan)、マゼンタ (Magenta) 、イエロー (Yellow) 、ブラック (Key Plate) の4つの色素による光の「吸収」を利用して色を表現する方法 (減法混合) です。
印刷物はCMYK法で色を作っています。

注意が必要なのは、 CMYK 法が RGB 法よりも狭い範囲の色しか再現できないことです。
例えば、鮮やかな紫や青、緑などは、スクリーン上 ( RGB 法) で表現できても、印刷物 ( CMYK 法) では表現できません。
言い換えれば、 RGB 法で色を指定した資料を印刷すると、画面よりもくすんだ色が出力されることがあるということです。

そのため、印刷に使うデータには、 CMYK 法で色を指定したデータを使う必要があります。
デジタルカメラで撮影した画像なども、 RGB 形式から CMYK 形式への変換が必要になります。
Illustrator や Photoshop で印刷物用のデータを作成する場合は、カラーモードを「 CMYK カラー」に設定することで、 CMYK 形式に変換できます。
Word や Excel 、 PowerPoint には、 CMYK 形式のカラーモードはありませんが、 Mac 版の場合は、色の設定の際に「 CMYK つまみ (下図の右) 」により色を作ることで CMYK 法では再現できない色を回避することが可能になります。
これにより、画面上での色と印刷したときの色がズレてしまうリスクを減らすことができます。
Windows の場合は、蛍光色や鮮やかすぎる色 (彩度や明度が高すぎる色) を避けるという方法しかありません。