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「小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略」を読んだ

投稿時刻2024年2月5日 15:00

小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略」を 2,024 年 02 月 05 日に読んだ。

目次

メモ

p3

倒産しないためには必要な粗利益を、しかも一定して確保しなければなりません。

その粗利益は、お客のお金と商品を交換したときに生まれます。
会社のなかでは伝票を書いたり帳簿をつけたりと、実にさまざまな仕事がされていますが、お客のお金をもらったとき以外で粗利益が出る仕事は一つもありません。

どんな会社もどんな産業も、お客がいなければ生存できないのです。

これは経営の大原則になります。

これらの事実から経営について考えるときは、お客を出発点にして考える「お客起点の経営発想」でなければならないことがわかります。

p4

このような要因からお客を作る営業方法が未熟で弱かったり、さらに商品に魅力がなくて競争力がなかったならば、いくら就業規則に万全を期したり賃金制度にお金をかけても業績は決して良くならないのです。

ところが人は何事も自己中心的に考えるばかりか、ことのほかお金にとらわれているので、お金、つまり資金が一番大事だと考えています。
その証拠に独立に関する単行本や雑誌を読むと、公的資金の借り方や就業規則など、内部の記事が大半を占めています。

p18

日本には法人企業は約290万社ありますが、個人事業主はその2倍くらいいます。

つまり、企業、個人商店あわせると、「社長」は約700万人です。

日本の労働人口は約6000万人ですから、大人の8.5人に1人は社長になるのです。

独立後10年続くのは2割だけ p19

このように、「社長」になるのは簡単。
難しいのは続けることです。

2002年の「中小企業白書」によると、独立して1年で約4割が廃業し、10年間同じ会社を経営している人は2割弱しかいません。
つまり、独立したほとんどの人は失敗しているのです。

p20

わたしが企業調査会社にいるとき、独立者の実態を調べるのに400社の謄本をとったんです。
それだけでは足りないので、取引先の社長などに最近独立した人はいませんか?などときいて100社を実態調査しました。
結果は半年以内に4割が廃業していました。

手持ちの金がなくなった廃業ならいいですよ。
無理して続けると高利の借金をしなくてはいけません。
そうなったら大変ですね。

こういう個人事業も含めた独立当初の正確な統計データはないんです。
わたしがこの400社を調べたデータをテレビ局に送ったら、おもしろいということで番組を作ることになりました。
でも、独立して失敗し、サラリーマンに戻った人に番組に出てくれと頼んでも、だれも出演してくれませんでした。
そんな恥ずかしいと。

こういうわけで、わたしが調べた範囲では半年で約4割が廃業・倒産してました。
それから別なデータでは、3年以内に取扱商品や業種が8割以上変わっていました。
最初はコピー機の販売をしていたのが、2年後には健康食品に変わっているとか。

それほど、独立・経営というものは思ったとおりにはいかないんです。

でも、それがあたりまえと思えばいいんです。

失敗と思うか良い経験をしたと思うかなんです。

エジソンが電球を発明するのに6000回の失敗をしましたが、それは6000回の検証をしたのであって、失敗ではないのです。
ホンダもソニーもそうですね。

p24

また、倒産取材を1600件もやるうち、最初はこんな悲惨な取材はイヤだ、なんてバカな社長・会社が多いのかと思っていたのですが、ある意味では倒産・廃業もあたりまえなのだと気づきました。
人と同じく、法人もいつかは死ぬ。

事実、会社が倒産した後は、従業員は他の会社へ転職し、お客も他の会社へ流れていきます。
年商5億円や10億円の会社がつぶれても、その近所の人たちはほとんど気づきません。

当事者にとっては大事件ですが、世間一般では別に影響はほとんどないのです。

山一證券が、そごうが、大手の有名銀行が倒産しても、その時々の当事者とマスコミが騒ぐだけで、部外者は関係ない。
「ヘー」で終わりです。

つまり、倒産は人の死と同じく、単なる「富の再循環」なんですね。

p27

経営は実戦、経営学は机上の空論です。

p29

実は経済新聞のスタートは「株式新聞」であり、毎日の株価情報を流すために創刊されたからなんですね。
勢い、株式新聞=株式上場している企業の情報が中心になるのは仕方がない。

p30

世の中に紹介されている情報の9割は大企業のもの。
大企業経営者でないあなたは、それをあなたのビジネスに適用してもムダである。

〈粗利益はいつ生まれるか〉 p33

では、粗利益が生まれるのはいつかと考えましょう。

それは、商品とお客のお金を交換したときなんですね。
お札に手が触れた瞬間にポンと粗利益が生まれる。

そのとき以外では粗利益は一つも生まれません。

油断すると、帳面をつけたり、会社のなかでなんだかんだしているときに粗利益が生まれると思ってしまいがちですが、そうではありません。

粗利益は、お客のお札に触れたとき以外には生まれないのです。

だから、お客からもらう小銭のありがたさがわからなくなったら、会社は倒れます。
お客からいただく1000円札、100円玉から粗利益が生まれている。
このことを忘れてはいけないのです。

それがつい、帳面をつけるとか管理とかが経営だとか言う。
税理士や会計士や学者はこればっかりですからね。
でも、管理とは単なる過去のデータのひっくり返しなんです。

そのデータはなにで生まれたのか。
それはお客からもらう1000円札などのお金です。
ここを押さえなければダメです。
全部最初に生まれたところを押さえる。

人によって、お客からお金をもらうことをやましいことだとか、遠慮する人がいますね。
商売人をバカにしている。
そういう人は伸びません。
それは経営というものを理解していないのです。

お客がふところからお札を出そうとしたら、サッと取るとか。
ほんとはそれくらいやってもいいのです。

遠慮すると伸びません。
それは自分がカッコつけてるだけなのです。
個人の都合が優先されて経営の原則から外れてるのです。

〈経営の目的はお客作りにある〉 p34

経営には粗利益が必要で、その粗利益はお客さんのお金をもらったときにしか生まれません。
ということは、経営の目的とは、「経営の源であるお客を作り出し、その数を多くすること」なのです。
(経営の目的にはほかに「自己実現」とか「社会のため」などもありますが、ここでは個人的な目的は省き、経営の原則という意味で説明をしています)。

しかし、どの業界にも競争相手がいて、その多数の競争相手もお客の数を多くしようとやっきになっているから、お客の数が多いか少ないかは、多数の競争相手と比較して判断する必要があります。
こういう見方を「市場占有率」とか「お客占有率」といいます。

上図のように、経営におけるものの見方は三つです。
自社からみた主観、お客からみた顧客観、競争相手からみた競観。
この三つの真ん中で物事を考えることが大事なのです。

ところが、経営について考えるのは自分の会社や自宅で、そこにはお客も競争相手もいません。
だから、ついつい主観だけで考えてしまいがちです。

独立で失敗する人は、自分のことしか考えていないことが多いです。
とくに技術者や発明家タイプにはそういう人が多いです。

営業は?競争相手との関係は?ときいても、「いや、わたしがやれば大丈夫」なんて自分で舞い上がって、お客や競争相手のことを全然考えていない。

こういう人は1回、失敗したほうがいいですね。
そうしないと経営の原則がわからない。
みんな、最初は何回か失敗するんです。
そのなかで学んで、ルールが大事だと、身をもって体験しないと本物にならないですね。
だから、失敗も大事です。

経営は戦争だ! p38

あなたの地元の職業別電話帳を開いてみてください。

そこには、あなたのライバル会社が山ほど載っているはずです。
前にも説明したように、どんな業界にも競争相手がいて、あなたと同じお客を取り合っています。
つまり、経営とは戦争と同じことなのです。

まあ、競争相手と直接殴り合うようなことはないですが、経営はお客を通じての間接的な戦争なのです。

一部のコンサルタントなどは「21世紀は共生の時代」なんて言ってますが……。
そりゃ業種が違えば共生もあるでしょうが、同業他社とは戦争です。

とにかく、やるからには勝たねばなりません。

経営と個人の生活は別です。
個人の生活では家族や友人知人、地域への愛や慈悲は必要ですが、いざ、ライバルとのビジネスは問答無用の戦争なのです。

p38

意図的に1位を作るのと、いろいろやっていて偶然1位ができたというのでは、時間が違います。
あれこれやって偶然1位ができたというのは科学的じゃない。
ロスが多すぎるでしょ。
だから、業績を良くするには、意図的に1位を目指す必要があるのです。

人生の時間には限りがありますから、意図的に1位を作ったほうが早く目的を達成します。

勝つための「戦略」と「戦術」の違いを知ろう p40

どうすれば戦いに勝てるかを世界で最初に研究したのは、戦いが盛んだった古代ギリシャです。
ギリシャでは「将軍の術と兵士の術を高めれば戦いに勝てるはずだ」という結論に達し、この二つの高め方を組織的に研究しました。

ギリシャでは「将軍の術」を「ストラテジア」と呼び、明治の初め頃、ヨーロッパに兵学の研究に行った日本の軍人は、将軍の術を「戦略」と翻訳しました。

そして、戦略は将軍の頭のなかでじっくりと構想が練られるもので、将軍の側近でもその内容がよくわからない。
そこで、「戦略とは見えざるもの」という解説を加えたんですね。
「略」は知恵を意味します。

つまり、戦略とは将軍の術で、その意味は「軍全体の効果的な勝ち方」あるいは「軍全体の効果的な勝ち方のルール」または「その知恵」ということになります。

これを経営に置き換えると、「経営戦略」とは「全社的な勝ち方」「全社的競争の勝ち方のルール」または「その知恵」となります。

次は「兵士の術」ですが、ギリシャでは掃除を専門にする人を「タクティコース」と呼びます。
つまり、手に掃除道具を持ち、次に手や体を繰り返し動かす。

これと同じく、兵士は手に武器を持ち、手や足を繰り返し動かします。
この動作が掃除をする人とよく似ていることから、いつの間にか兵士のこともタクティコースと呼ぶようになったんです。

これを日本の軍人は「戦術」と翻訳し、兵士は手や足を動かす仕事が中心になるので「戦術とは見えるもの」と解説を加えました。

つまり、経営における戦術とは、道具を使ってモノを加工したり、販売係がカタログを持ってお客さんを訪ねたり、経理が伝票を書いたりする、繰り返し行なう作業を指します。
ちなみに目的と目標と戦略の三つを加えた「広い意味での戦略」は86%で、戦術は14%になります。
つまり6対1になるのです。

全社的な勝ち方のルール「ランチェスターの法則」とは? p42

独立して自分1人や数人でやる場合はもちろん、従業員が30人以下の中小企業では、社長が自ら戦術=営業活動をしたり、帳面をつけたりします。

同時に、どんなに小さな会社でも、経営に成功するには戦略=全社的な勝ち方のルールを研究し、競争に勝たねばなりません。

この戦略の能力を高め、経営戦略の基本と言われるのが「競争の法則」として有名な「ランチェスターの法則」です。

名の知れた企業では創業期の「ソフトバンク」、旅行ベンチャーの「H.I.S.」、「マツモトキヨシ」、「セブンイレブン」、コーヒーショップの「タリーズ」などが、このランチェスターの法則を導入しています。
いずれも目覚ましい成果を上げているのは周知のとおりです。

ランチェスターの法則の考案者はフレデリック・W・ランチェスターというイギリス人で、自動車会社の経営者です。
ランチェスター氏は1914年の7月、第1次世界大戦の勃発に刺激を受け、その2ヵ月後の10月に二つの法則を発表しました。

この法則はその後、アメリカの数学者コープマンらによって研究が深められ、第2次世界大戦の対日戦略に大きな威力を発揮し、アメリカ軍の勝利に大きな貢献をしました。
ランチェスター法則とは戦いの法則である。
第1法則は、攻撃力=兵力数×武器性能
第2法則は、攻撃力=²兵力数×武器性能

p51

劣勢企業=弱者の社長がとるべき経営戦略
1 一騎打ち戦がしやすい商品を選ぶ
2 接近戦や一騎打ち戦がしやすい営業方法を決める
3 そのためには接近戦や一騎打ち戦がしやすい特別な営業エリアを選ぶ

こうすると2乗作用が起きないので、競争条件が不利な会社でも経営効率を落とさずに経営ができ、相対的に有利になれるのです。

優勢企業=強者の社長がとるべき経営戦略
1 間隔戦や広域戦がしやすい商品を選ぶ
2 間隔戦や広域戦がしやすい営業方法を決める
3 そのためには利用者の数が多い大都市を重視する

こうすると確率の法則で2乗作用が起き、販売係や売り場面積が有利な会社がますます有利になります。

p54

強者の条件とは、
1 1位であること
2 市場占有率26%以上を確保していること
3 2位との間に10対6以上の差をつけていること

この三つが強者の戦略を実行できる最低条件ですが、この条件を満たしている会社は1000社中5社くらいしかなく、残りの995社は弱者になります。

たとえば、日産やマツダ、ライオンやコニカは大企業です。
しかし、これらの会社は業界内では2番手以下であり、業界のなかでは弱者になるのです。

さらに、995社中の400社は競争条件が著しく不利な「番外弱者」になります。
まり、社長が1000人いたら、そのなかの400人は番外弱者の社長になるのです。
しかも、独立して5年未満の会社は「番外中の番外」になり、独立したばかりの会社にいたっては最低の弱者になります。

とくに、以前、大企業にいて独立した人は、このあたりを勘違いしやすいですから、自分は最低の弱者だという認識を持って行動することが大事です。

あなたのための経営戦略ポイント p55

「弱者の経営戦略」の概念をまとめると以下のようになります。

弱者は先発会社と差別化し、同じやり方をしない
弱者は小規模1位主義、部分1位主義を狙え
弱者は強い競争相手がいる業界には決して参入しない
弱者は戦わずして勝ち、勝ちやすきに勝つことを狙う
弱者は対象を細分化する
弱者は目標を得意なもの一つに絞る
弱者は軽装備で資金の固定化を防ぐ
弱者は目標に対して持てる力のすべてを集中する
弱者は競争相手に知られないよう、静かに行動する

経営戦略7大原則 p60

原則その1 会社経営の目的とは、粗利益を少しでも多く得ることだ
原則その2 経営はライバルとの戦争だ
原則その3 戦略と戦術は全然違う。あなたの会社の戦略はあなたしか立てられない
原則その4 戦いの法則「ランチェスター法則」を経営に置き換えることで有利に戦うことができる
原則その5 1000社あったら995社は弱者である。あなたはまぎれもない弱者であることを自覚しよう
原則その6 なにをどこのだれにどうやって売るか、まずはこれをマスターしよう
原則その7 経営内容には適確なウェイト付けと優先順位が必要だ

p66

「この市場は5年後には8000億円に!」。

毎年、正月や4月になると、商品評論家というのが出てきて、こんなことを言いますね。
フランチャイズの説明会でも必ず言われることです。

そして、その話を鵜呑みにして話題の市場に参戦し、つぶれてしまう小さな会社があとをたちません。
競争力、あるいは力のない小さな会社が、これから伸びる市場に手を出してはいけないんです。

これから伸びる、とみんなが思っていて、実際伸びていく市場には、あとから必ず強い競争相手が入ってきます。
学歴も人柄も人格もよくて、お金も持っているような人が出てくるんです。
こういう人には勝てません。
すぐにシェアをとられてしまいます。

経営は、大きな市場あるいは、これから伸びる市場でビリになるのが一番よくありません。
2500年前、中国の孫子が賢い将軍はまず戦わずして勝つことを考え、次に勝ちやすきに勝つことを考えると言っているように、経営規模が小さい会社が成功するためには、強い競争相手のいない、市場規模の小さいところでやるべきなんです。

p69

それと、第1号店のときから、車には“全国フランチャイズ本部・八ちゃん堂”と入れていたのです。
最初はマイクで「たこ焼きだよ!」と叫ぶのも恥ずかしかったそうですが、開業3カ月目にはブレイク。
すぐに嫁さんにも車を出させ、1年後には5台体制に。
初年度の納税額は約800万円にもなったそうです。

目指せ!小さなナンバーワン p70

「鶏口となるも牛後となるなかれ」。

大きな牛のシリになるくらいならば、小さな鶏のくちばしになりましょう。

つまり、大きな市場でビリになるよりも、小さな市場で1位になりましょうということです。

これは2500年前の中国の古典「戦国策」にある言葉です。
2500年前から価値観が変わってないのです。

「なにかでナンバーワンになることを目指す」。

これが、小さい会社の経営が安定し、成功する最短の道です。

別に日本一とか業界一とか、県でナンバーワンでなくてもいい。
あなたの街の特定の客層や年代で、もしくは、あなたの友人知人のなかでも、小さな年商でいいからナンバーワンになれるものを探すことです。
試行錯誤をしていくうちに偶然、強いモノが出てくるということもあります。
自然発生でも、こういうのは宝くじにあたったようなもので、続きは難しいものです。
経営として成功するには意図的にやらなくてはいけません。
意図的になにで勝負するかを決めて、それに力を入れましょう。

なにで勝負するかを決める。
どこでナンバーワンになるかを決める。
これが「目標」になるのです。

同業が弱い業種は勝ちやすい p77

次なるチャンスは「同業が弱い業種」。

同業者がたくさんいるにはいるけれど、どこも弱い会社ばかり。

同業が何社もいるが、1位といえども市場占有率6%以下の会社ばかり。

こういった業界や商品も探せばあるものです。
この場合、営業のやり方や経営のやり方に思い切った革新を加えると、後発の会社でも逆転のチャンスがあります。

ファミリーレストランの「ロイヤル」や「すかいらーく」が大きくなったのも、街の食堂が小さかったから。
飲食店はたくさんあって同業者はたくさんいるけれど、どこもこれといって強くはない。
だから、組織化してうまくいったんです。

コンビニエンスストアも同じです。
街の食品雑貨店がどこも弱かったからですね。

同業者が弱い業種・商品から選ぶ。
要は「勝ちやすきに勝つ」。
これが一つの鉄則です。

用途を限定した〇〇専用商品で絞っていこう p82

「うちはなんでもやります」。

このスタンスが一番よくありません。

小さな会社でなんでもやりますは、お客さんからすると、なにを得意とする会社なのかがわかりません。
だから、お客を見つけるのも難しい。
対象が不特定では、だれに売ったらいいかわかりません。

でも、「うちは○○専用」とすると売り先が見つかるのです。
ありますよね、「小さい靴専門店」とか「大きい靴専門店」とか。
それらは、しっかりと固定客を確保していますね。

p85

悩んだ末に打ち出したのが「5万円から50万円の中古車専門店」へのくら替え。
店名も、それまでの池田商会から、取扱商品を示す店名「カーライフ550」に変えました。

100万円、200万円の中古車の扱いをやめ、商品を低価格帯の中古車だけに絞ったのです。

5万円~50万円の中古車市場なんて小さなものですね。
儲けが少ないから、大手のディーラーはやりたがらない。
でも、結果としては、そのエリアのお金がない中古車初心者は、必ず「カーライフ550」へ行くようになり、年商も2年で倍増。
借金も完済し、いまでは佐賀郊外の初心者向け中古車ディーラーでナンバーワンになりました。

p90

まずは、商品の数を増やしてはいけません。

商品の数が多いと、売るチャンスが増えて、売り上げも利益も上がるような気がしますね。
でも、結局は力が分散してどの商品も弱くなり、負け組商品ばかりになる。
売れない商品をたくさん抱えても経営を圧迫するだけで意味がありません。

なんでも扱うのは強者の戦略。
弱者は扱う商品を少なくし、業種の幅も狭くしなくてはいけません。
あれもこれもとやらない。
一つに絞りましょう。
これが大事です。

次は、非関連多角化は命取りになるので、絶対にしてはいけません。

商品の数と同じく、事業の数を増やしておけば会社の経営が安定すると考えがちです。
この事業がダメなときは別の事業で稼ぎ、それもダメならさらに別な事業でという考え方でしょう。
しかも、手広く事業展開している会社は積極的で熱心にも見えます。

しかし、わたしが企業調査会社勤務時に倒産した会社を1600件を調査した経験で言うと、本業とまったく関係のない事業に手を広げすぎている会社の業績はどこも悪く、倒産率も非常に高くなっていました。

商品戦略4大原則と七つのヒント p96

原則その1 「なに」を「どこ」で売って「ナンバーワン」になるかを「意識」して決める
原則その2 過去に扱ってうまくいった商品は成功率が高い
原則その3 市場規模の大きな商品、これから伸びる商品には手を出さない
原則その4 商品・業種は一つに絞る

ヒント1 大企業がやらない商品
ヒント2 同業が弱い業界
ヒント3 手間のかかるローテク商品
ヒント4 嫌われものの商品
ヒント5 〇〇限定商品
ヒント6 細分化=用途や客層や価格別に分けて対象を絞る
ヒント7 売る側と買う側のズレを狙う
ヒント8 業界の悪慣習のスキをつく 

p98

画期的な新商品や新サービスを自分で開発するのは宝くじにあたるようなものだし、実際に新商品を編み出しても、すぐにマネされるのが世の常です。
「商品3分に売り7分」。
商品の良し悪しよりも、どこでだれに、どうやって売っていくかというエリア戦略と客層・営業・顧客戦略のほうが大切なのです。

p100

逆に、アメリカでは細かいエリア戦略というのはありません。
だから、アメリカから輸入してきた経営学やマーケティングのなかには、エリア戦略はほとんどないのです。

営業エリアは狭くしよう p112

営業エリアを広げると市場が大きくなる→見込み客が増える→売り上げも利益も上がると考え、小さな会社でも「うちは関東一円どこでも行きます」的な企業が多いですね。

しかし、少ない人数で営業エリアを広げると、特定の単位面積あたりに投入する販売力がそれだけ低下してしまうんです。

たとえば営業マンの人数は同じなのに、営業エリアの半径を2倍に広げると、円の面積は半径の2乗になるから、単位面積あたりに投下する販売力は4分の1になってしまいますね。

究極の「陶山訥庵」エリア戦略 p118

狭いエリアで集中的にお客を作るときに参考になるのが、長崎県対馬で8万頭のイノシシを退治した「陶山訥庵のエリア戦略」です。

ときは1700年頃、昔から対馬には人口2万人に対してイノシシが約8万頭もいて、島民は農作物の被害に苦しんでいたんです。
ただでさえ、数はイノシシ4対人間1ですから、人間がいくらヤリや鉄砲で退治しても、春には子どもが生まれて、秋には育ったイノシシが仕返しにくる。
毎年この繰り返しで、島民はあきらめていたんです。

そこで立ち上がったのが郡奉行だった陶山訥庵。
鳥を北から9分割し、東西に大垣を打つ。
その大垣のなかをさらに内垣で細かく分断し、大垣内のイノシシを退治。
これを繰り返し、1年で最初の大垣内のイノシシを全滅。
2年目は次の大垣を東西に打ち、同じく内垣で囲んだなかのイノシシを全滅。
これを繰り返し9年で8万頭のイノシシを全滅させたんです。

それがこういうふうに、一つひとつ片づけていくやり方を「各個撃破主義」とか「個別目標達成主義」と言います。

つまり、一つのエリアに徹底して集中する。
バラバラあちこちに行かない。

これをずーっと繰り返し、そのエリア内で圧倒的なシェアを取る。

だから、損害保険、リフォーム、小口の印刷など、どんな家庭や会社でもニーズがあり、1回の小口の場合、陶山訥庵のエリア戦略が有効なんです。

まず自分の大垣=最大営業エリアを決めましょう。
そこから先には行かないラインを決める。

たとえば、電車の踏切、川、国道などで仕切ります。

次にそのなかに内垣を作り、ここを集中的に回ります。

そして、ここで1位になるまでがんばる。
1位になったら巡回数を減らして横へ移動。
あちこちに行かないこと。
じわじわといきましょう。
そして、内垣内にお客を少しずつ増して行き、敵を追い出すのです。
このやり方を東京で実行しナンバーワンになったのが事務機の「大塚商会」です。

この「敵を追い出す」というのが一番いいですよ。
業績は敵との競争の結果、上がらないんです。
だから、敵をせん滅するというのが大事ですね。

それが陶山訥庵の戦略です。
陶山訥庵の戦略は、ローカルな対馬の事例ですから、全国で応用がききます。

エリア戦略3大原則と四つの効能 p129

原則その1 強い競争相手が少ないエリアを選ぶ
原則その2 営業エリアを狭い範囲に絞る
原則その3 絞ったエリア内で集中的にお客を増やす

すると、

効能その1 ムダな移動時間が少なくなる!
効能その2 お客との面会時間が増えて売り上げが上がる!
効能その3 エリア内でのシェアが高まる!
効能その4 競争相手が逃げ出す業績アップ!

自分の顔と性格を考える p137

わたしの場合は法人向けの仕事が合っていたんです。
家庭向けや個人向けの営業は苦手です。
わたしは性格が気難しいし愛想が悪い。
成績が悪くて小さい頃からバカにされてきたせいか、人に会うのが好きじゃない。
だから、同窓会なんかも大嫌い。
それに、このアゴが張った人相。
こういう顔は家庭向けの営業や小売店ではダメなんです。
女性や子どもに嫌われますからね。

客層戦略3大原則 p144

原則その1 弱者は、大手が本気にしない客層に絞る
原則その2 あなたの顔と性格に合う客層がある
原則その3 法人向けでは、中小企業の社長が狙い目

どの営業方法があなたにピッタリか? p146

一口に営業といっても、業界や商品によって全然違います。
学校を卒業して1社しか経験がない場合は意外に気づきませんが、異業種に転職してみるとわかりますね。

わたしは最初に建材メーカーで営業をしました。
お客は工務店や左官屋で、スタイルは決まった法人客に定期的に顔を出す「ルートセールス」でした。

2社目は住宅会社。
一般家庭に一戸建てを売る「スポット型」飛び込み新規開拓セールスを短期間ですが経験しました。

3社目は企業調査会社で、法人向けに会社年鑑や調査チケットを売る営業でしたが、これは「スポット型+ルートセールス」でした。
実績で社内一になりました。

建材メーカーと企業調査会社は自分に合っていましたね。
とくに企業調査会社では営業実績で社内一になりました。

ところが、家庭向け新規開拓営業は散々でした。
まったくダメ。

わたしには法人向け営業のほうが向いていたんです。

一般に営業を大きくわけると、会社や商店を相手にする「法人営業」と一般個人を相手にする「個人営業」にわかれます。
さらにそれぞれは「新規開拓」と「継続取引=ルートセールス」にわかれ、かつ、こちらから相手に出向いて行く「訪問営業」とお客のほうからきてもらう「店頭販売」、広告やインターネットなどによる「通信販売」などに分類されます。

新規開拓ではノイローゼになる人が続出 p161

経験者はわかるでしょうが、エンドユーザー直販の新規開拓は非常に難しいものです。

法人営業だと会社やビルに飛び込み、個人営業では一般家庭に飛び込むことになりますが、普通はバンバン断られますね。
1日100件飛び込めたとしても、まともに話ができるのは1件くらいでしょう。

営業は質より量=面会件数が決め手 p169

もちろん、わたしが実際にやったのは「再度訪問式」だけではありません。
企業調査会社に入社して3年で九州一になったのですが、その次には日本一、そして他人の10倍を売り上げる方法はないかと、目標を大きく掲げました。

その頃にランチェスター法則の話を初めて聞き、攻撃力=量の2乗×質でピンときました。
これはつまり、営業力=面会件数の2乗×質。
これを微分すると、営業力は面会件数が7割で質は3割だということがわかったのです。

事実、当時の各業界のナンバーワンセールスマンに実際に会い、営業方法をヒアリングしてみたところ、例外なく「面会件数」が圧倒的に多かったのです。

よく、営業力はコンサルティング力だとか、質を磨かなければいけないと言われますが、それは「面会件数」=量が先にあっての話なのです。
量が上がると、その後に質も上がるのです。

〈チラシを近隣にポスティングする〉 p173

店舗を独立して始める場合、ベストは繁華街や人通りの多い立地ですが、普通は資金的にも一等地での開店は非常に難しいでしょう。

その場合、店の存在を知ってもらうために、地域への告知活動が欠かせません。
派手な広告を打つ予算がなかったとしても、黙っていてはお客はきてはくれません。
そこで、もっとも手っ取り早い方法は、地域限定のチラシをまくことです。

その場合、できれば新聞折り込みではなく、ポスティングをおすすめします。
新聞折り込みは曜日によってはチラシがどっさり重なり、目立ちません。
また、地域によっては新聞をとっている世帯が50%もなく、地域内での告知率が十分ではありません。

自分で作って自分で一軒一軒ポスティングをするのが一番いい方法です。
地味な作業ではありますが、コストもかからず、やれば確実に効果があるのです。

p172

自分が消費者・発注者として考えてみてください。
普段の消費活動をする場合、その8割はいままで行ったことのある店、知っている店のはずです。

また、すでに独立している場合でモノやサービスを購入する場合も、発注するのはいままでの取引先がほとんどのはずです。

つまり、自分が新規開拓で営業するのも大変ですが、実はお客も新しい店や購入先、仕入れ先を開拓するのは意外に勇気がいるものです。

商品の価格や品質に差がなければ、人は以前からの取引先、または以前から知っている人から買う確率が高いのです。

〈テレビやラジオCMは強者の戦略〉 p187

小さな会社はテレビCMやラジオCMは出すだけ無駄。

お金をどぶに捨てるだけです。

1回15秒ぐらいではなにも伝わりませんから、売り上げにはつながらない。
ええカッコしいや見えで出すのはやめましょう。

嘆く前に、まずはヤルこと p188

商店や飲食店の人からも「売り上げが上がらない」という相談を受けることがあります。
ですが、よくよく聞いてみると、店を構えて商品は並べているが、いわゆる営業活動はなにもやっていない店が多いのです。
単に店を開けて待っているだけです。

「景気が悪い」「立地が良くない」と嘆く前に、月に一度でもチラシを配ってみてはいかがでしょう?

いくら店内が立派でも、知ってもらわねばお客はきません。
それも、できれば折り込みよりもポスティング、ポスティングよりも直接手渡し。
この順番で接近戦・一騎打ち戦の度合いが高まりますから、効果は上がっていきます。

とくに、成功例であげた「地球屋」「いずみ田」「石村萬盛堂」がやっている「手渡し訪間あいさつ」は強烈です。
通常の訪問営業とは違い、飲食店や小売店が「よろしくお願いします!」とあいさつにくると、嫌われるどころか感心されます。

チラシを渡してあいさつし、3秒でさっと帰ればいいんです。

チラシの内容も大事ですが、そこで悩んでなにもやらないより、ヘタな内容でもいいから配ること。
わたしの経験上、99%の店は悩むだけでなにもやってませんから、ヘタでもいいからチラシを作って配るだけでものすごい差別化になるのです。

お金のかかるカラー印刷ではなく、モノクロ一色の手書きかワープロで、安い印刷でもいいのです。
チラシはきれいにカラー印刷されているものが多いですから、逆に一色のヘタなチラシは目立ちます。

郊外店などを除くと、飲食店・小売店にくるお客の9割は店周辺から徒歩10分圏内に住まいか勤務地がある人たちです。
お客にとっても遠くの有名店よりも近くの普通の店。

日本経済の先行きを気にするヒマがあれば、まずは自分の店や会社がある地域を回ってみましょう。

営業戦略3大原則 p191

原則その1 どんな業種でも、とにかくエンドユーザーにできるだけ近づこう!
原則その2 訪問式営業の場合は、再度訪問式で営業せよ!
原則その3 広告も再度訪問式&お金をかけない&エリアを絞った接近戦で!

リピーターをしっかりつかめばラクになる p196

お客の新規開拓には時間がかかり、経費もかかります。
しかし、リピーターや紹介客は、新規開拓に比べると格段に経費がかからず、この割合が増えていくと経営が安定します。

新しいお客を1件作るコストを10とすると、継続客をつなぎとめておくのにかかるコストは1~3くらい。
また、実績が15年、20年と長くなればなるほど、売り上げに占める既存客の割合が多くなり、経営は安定してきます。

これに対し、新規に独立したときは固定客ゼロ。
一度契約したお客さんを継続取引にしないと、自転車操業が続いてしまい、いつまでたっても経営は安定しませんね。
だから、固定客化が必要になるんです。

わたしの会社はいまの売り上げの約8割が古くからのお客さん。
この数年はビジネステープの制作に専念して新規開拓営業をあまりしていませんが、顧客戦略をきちんと実行すると、既存のお客さんが助けてくれますね。

3ステップで経営安定 p198

たとえば普通の飲食店の場合、新規顧客100人のうち2度目のリピート来店は約6割、3度目の来店は3割、その後も数年にわたって固定客になるのは1割程度といわれます。
つまり、なにもしなければ、新規にきたお客のほとんどは流出するんですね。

これは他の業界にもいえることです。
いくら自分はがんばっていると思っていても、それは単なる思い込み。
どんな業界にも多くの競争相手がいて、あなたのように常に新しい会社や店が市場には参入してきます。
とにかく、生き残るには競争に勝たねばならない。

そのためには、

競争相手以上に、お客から好かれ
競争相手以上に、お客から気に入られ
競争相手以上に、お客から忘れられないようにする

〈好かれる名刺のコツ1 電話・FAX番号は大きな文字で〉 p204

お手元にある、他人からもらった名刺を見てください。
社名や名前は大きな字ですが、電話やFAXの番号が小さな文字で書かれている名刺が多くありませんか?

小さな文字では中高年、とくに50歳を過ぎた人は虫眼鏡でも使わないと読めませんね。
中小企業向けの商売で決裁権を持っているのはたいがい社長です。
社長の平均年齢は50代より高くなっていることをご存じですか?

家庭向けの商売でも同じです。
お金をしっかり握っているのは中高年やシルバー層です。

だから、名刺の字は大きくする必要があります。
小さい字だと見るだけで頭が痛くなります。

名刺は相手に渡したら相手のモノ。
かつ、名刺はお客が保管しやすい数少ないツールです。
デザインよりも、もらった相手がちゃんと読めるかどうかが大事です。

顧客戦略成功例2 住宅リフォーム会社の場合 漢字も知らない、字もヘタくそ。それでも出すことに意義がある p214

前章にも紹介した「ホームテック」では「お礼ハガキ」を100%実行しています。

営業マンは契約後、本社に見積書・契約書・原価計算書・顧客データを提出しますが、このときに契約後に出す「お礼ハガキ」のコピーを必須事項と規定しています。
つまり、お客に「お礼ハガキ」を出さないと、社内的に契約が成立しないシステムにしているのです。

社員はみな漢字も知らないし、字もヘタくそ。
それでも出す。
とにかく、ヘタでもなんでも、仕事をもらったら「ありがとうございます」と意思表示する。
これはビジネスマンとしてあたりまえのことです。
だから、お礼ハガキを出さない社員はクビなのだそうです。

p216

ところで、わたしは45歳のときに独立して経営コンサルタントの仕事を始めたのですが、独立すると飛ぶようにお金がなくなっていきました。
これはサラリーマンのときは気づかないことでした。
事務所のコピー機などの備品や印刷物など、1万円や2万円の支払いはまだしも、10万円や20万円の支払いはつらいものです。

しかし、あるとき思いました。
このお金はわたしがサラリーマン時代に苦労してためたお金だが、さっと銀行振り込みしても「お礼のハガキ」が1通もこない。
そこで、普通の会社はどれぐらい「お礼のハガキ」を出しているのだろうと、礼状の実態調査をしてみました。

その結果は……

礼状を出している会社は平均すると3%。
97%は商品を買ってもらったり、送金してもらっても知らん顔をしているわけです。

「うらみ」と「のろい」と「たたり」の経営 p231

「初心7年」と言われるとおり、独立して7年もたつと初心の素直さや原点の心をすっかり忘れ、自己中心的になる社長が増えます。
さらに「横着15年」と言われるとおり、15年もたつと自分に直言する人がいなくなるため、経営が横柄になってきます。

すると、お客から注文をもらっても「当然」という顔をして、感謝を態度で表さなくなります。
さらに、得意先からみると大事な商品であっても、納期もサービスもいい加減になります。
でも、自社の商品だけはどんどん買ってもらいたいという、厚かましい考えを持つようになります。
これを「自己中心の経営」と呼びます。

こうなると、お客は嫌気がさして他社に注文を出すようになります。
ところが自己中心の主観経営をしている人は、自分の行ないの悪さを棚に上げ、「いままでうちの会社が面倒をみていたのに、よその会社から買うなんてけしからん」と、お客の悪口を言うようになります。
これを「うらみの経営」とか「のろいの経営」と呼びます。

お客の悪口を言うようになると、これが態度に出るので、お客の評判は一層悪くなり、そのうちにお客が少なくなって経営が危なくなります。
これが「たたり」です。

業績が悪いのは「景気が悪い」「政府が悪い」「場所が悪い」とか言いますが、実は業績不振の大半はこのタイプの会社が多いんです。
常に、自分の会社をお客からみたらどうなのか、チェックを怠らないようにしましょう。
とにかく顧客戦略で大切なことはお客が思っている以上のなにかをすることなのです。
お客の悪口を言うなどもってのほかです。

顧客戦略4大原則 p233

原則その1 顧客戦略は経営安定化のために欠かせない
原則その2 顧客戦略の基本は3ステップ(感謝は態度で示せ)
ステップ1 好かれて「お客」になってもらう
ステップ2 「お客」から気に入られて「リピーター」になってもらう
ステップ3 「リピーター」から忘れられず「ファン」になってもらう
原則その3 これらすべてに共通するキーワードは「お客が思っている以上のなにか」をすること
原則その4 慢心してはいけない

世の中はお金か人間性か? p236

孔子のお弟子さんが孔子に質問したんだそうです。
弟子「世の中にはお金はもっているけど人間性がダメな人がおりますね」。
孔子「うん、おるなあ」。
孔子「うん、おる」。
弟子「でも、人間性が素晴らしくて、人間の貴さとか命の大事さとかはわかっているのに、お金がない人がおりますねえ」。
弟子「先生。大体、人間というのはどういう人が一番良いんでしょうか」。
孔子「経済的に富み、人間の貴さがわかる人が一番良いんだ」。
これが熟語になったのが「富貴」。
お酒の名前にありますね。
これを2次元で図表化すると四つに分かれます。

1番は「経済的に富み、人間性も高い」。

2番目はどっちか。
100人中97人は経済的に一度富まないと人間性も高まらない。
だから「人間性は低いが経済的に富んでいる」が2番。

3番目は「金はないが人間性は高い」。

4番目は「金もなくて人間性も低い」。

まあ、反論もあるでしょう。
とくに2番と3番は逆ではないか、いや3番が1番ではないかと。
でも、経営では、お金がなくなると人間性も低くなる場合が多いのです。
残念ですが、新聞の犯罪記事を見てください。
その9割以上の原因はお金に困ったからですね。

たまに、お金はないけど、人間性が高い人がいます。
これを「清貧」と言います。
何年か前に『清貧の思想』という本が売れましたが、あれを実行に移すのは至難の業です。

まあ、いずれにしろ、資本主義社会では「経済的に富み、人間性も高い」のが1番。
そのためにはまず凡人は経済的に富むこと。
経営者ならなおさらです。

〈b・過去の蓄積〉 p242

過去の蓄積を大ざっぱに分類すると以下のようになります。
1 親の財産
2 親の七光り
3 親の事業相続
4 自分のお金
5 不動産
6 学歴

それぞれ、詳しくみていきましょう。

1 「親の財産の相続」。
土地とか有価証券とかお金とか。
わたしの場合は祖父の代からサラリーマンで、まあ大体祖父の代からサラリーマンだったら、ほとんどありません。

2 「親の七光り」。
いま、地方の県会議員の15%が2代目。
わたしなんか絶対に投票したくないですがね。
でも、こういう世界では親の七光りの力はあるんですね。
これに対し、サラリーマンだったらなにもない。
よほど有名企業の役員とかだったらあるけれど、普通はないものでしょう。

3 「親の事業の相続」。
跡継ぎ。
2代目。
ボロ会社なら継ぐのも大変ですが、会社が安泰なら継いでも経済的には悪くないですよね。

4 「自分で築いたお金」。
最近の調査によると一世帯の平均預金が1500万円。
でも家のローンとか借金もありますし、子どもの養育・教育資金などを考えたら実際に使えるお金は少ないですね。

5 「不動産」。
バブル時代のように土地が値上がりしていればいいですが、いまの郊外の家やマンションなんかはローン以上の価値はないですね。

6 「学歴」。
独立後も実力や人柄が同じなら、一般に学歴がある人のほうが有利ですね。
実力社会になったとはいえ、いまでも学歴のメリットは少なからずあります。

これら以外に、男性の場合は、「嫁さんの実家」。
場合によっては嫁さんの実家に財政的に助けてもらうという手があります。

しかし、大体75%の人はこの「b・過去の蓄積」がありません。
よそから移ってきて、代々の資産がないため、都会に住んでいる人のほうが過去の蓄積が少なくなっているようです。

人の3倍働くとは時間でいえば1.7倍でいい p246

では、どれくらい働いたらいいか。

まず物差しがないと比較できませんから、物差しを設けましょう。

一般的には8時間労働(昼休みを除いて7時間)としている会社が多いので7時間を基準にすることにしましょう。
そしてその何倍働けばいいかを考えていきます。

y=ax²+b。xには2乗がついています。

ですから、たとえば人の2倍働くといっても、単純に時間を2倍にするのではなく、ルートをかければいいのです。

7×√2。√2は1.41ですから、7×1.41=10時間。
人の2倍働くといっても10時間でいいのです。
そのくらい働くと人の2倍くらいのアウトプットが出せるようになります。
よく言いますよね「できないのなら人の2倍やれ」と。
労働時間でいうと労働時間2倍の14時間ではなく、人よりたった3時間多い10時間でいいのです。

同じように計算してみればいいのです。

人の3倍働こうと思ったら7×√3で12時間。

人の4倍がんばってみたいという場合は7×√4で14時間。
物差しが7時間ですから、労働時間を単純に2倍すれば人の4倍がんばったことになるのです。

5倍は7×√5。√5は2.33ですから15~16時間。

才能が中とか劣った人がどれくらい働けばそれなりの成果=アウトプットを出せるか。
これはランチェスター法則を応用した必勝の法則というのがあります。
アメリカ・コロンビア大学のバーナード・O・コープマンがシミュレーションして計算したんです。

すると、約3倍を投入すると大体勝てるようになります。

それで3倍が「必勝」。
よく必勝と言いますでしょ。
でも、はちまき締めるのが必勝ではないんですよ。
平均の3倍働くのが必勝なんです。
でも、ルート3ですから12時間でいい。

4倍が「圧勝」。
つまり、1日14時間働けば才能が劣る人でも絶対負けません。

なかには「死んだつもりでがんばる」と言う人もいますが、これを「決死型」と言います。

いまのは1日あたりですが、1年単位ではどうなるか。

年間100日程度の休日を除いた中小企業の平均は1850時間。

これが3倍の必勝型なら√3で3200時間。

4倍の圧勝型が3700時間、5倍の決死型が4140時間となります。

自分はどうも人より才能や実力が劣ると思った人は4140時間。

これを10年から15年くらい続ければいいのです。

「思いは実現する」に必要なこと p249

こういう話をすると大体「いやー、そんなに働かなくてもいいでしょう」と言われます。
でも、一代でなにかを成し遂げた人たちがどのくらい働いていたか知っていますか?

世界の偉人伝などを読んで概算すると、エジソンは年間6500時間で、それを40年間。
キューリー夫人も5000時間を35年はやってますね。
本田宗一郎さんは一代で世界のホンダを作った人ですが、あの方も5500時間を35年やってます。

「長時間労働は時代に合わない」か? p254

日本一とか九州一など、すごい人たちばかりの例を並べましたがね。
成功者はほぼ例外なく朝が早くて長時間労働。
実際に成功した人がやっていることが正しいですね。

最近は起業ブームとか言って、雑誌なんか読むと簡単にだれでも独立できるように書かれています。
とんでもないですね。

技の才能が100人中3位以内ならいいですよ。
天才はいいんです、長い時間働かなくても。
でも、凡人は働く時間が年間3200時間以上でないとダメです。
独立する場合、とくに最初の5年間は年間3700時間以上必要です。
「だれでも簡単にラクに成功」はウソ。
絶対そういうことはありません。
「長時間労働しなさい」というのはね、ウケが悪いです。
イメージも悪いし、カッコも悪い。
汗水垂らして働くなんてね。

でも、一つの分野で考えて考えて、一つの狭い分野でものすごい時間を投入しないと、人のできないものを身につけることはできません。
いまは大企業でも定年まで勤めるのは至難の業だし、ましてや独立起業する人はゼロからのスタートになります。
軌道に乗っても、遊んでいればすぐに環境の変化やライバルに抜かれる。

とにかく、天才以外の凡人が人より抜きんでて豊かな人生、経済的に豊かになるには長時間労働が不可欠なんです。
これを正直に書いているビジネス書や経営書は非常に少ない。

いかに時間を効率的に使うかなんて本はたくさんありますが、それは質の分野。
普通の人は、まず時間の絶対量を増やさねば質も上がりません。

上手な時間の使い方 p256

凡人は、長時間労働しないと、何事も成し遂げることができません。

では、どのように時間を使えばいいのでしょうか。

ポイントは、狭い分野に集中して投入し、研究することです。
どの分野に投入するかは35歳くらいまでに見つければいい。
そのためには転職もどんどんすればいい。

一つの分野に入門クラスで500時間。
たとえば簿記会計があまり好きでない人は、夜学に行って、その後、本や参考書で500時間くらい勉強すれば、ある程度わかるようになります。

知識というのは投入時間で決まります。
1000人のなかで上から5位以内になるには累計5000時間は必要です。
投入時間もケタ違いになります。

日本全国レベルで上位にいくには、つまり、ある仕事(1万人単位と考えて)で3位以内になるには、一つのことに1万時間はかける必要があります。
日曜祭日を使って1日に7時間投入したとしますね。
1万時間を7で割ってください。
何日かかるか。
20年かかります。

一つの狭い分野で、1000人から1万人のなかでもトップクラスになるには、日曜祭日も7割くらいを投入していって15年から20年かかります。

普通の人が、人にできないものを身につけるには1万時間は必要でしょう。
もって生まれた素質の高い天才ならいいですが、そうでなければ日曜も半分以上ぶち込んで10年ではちょっと難しいですね。
その程度では他流試合をやったらこてんぱんですね。

実際に1人でやってみたらわかります。
サラリーマンとして会社にいるときは集団の力だから、わかりにくい。
それくらい現実は厳しいものです。

長時間労働なんてイヤだと感じたかもしれませんが、自分は凡人でも、なにかで自己実現したい、独立して成功したいという人はね、この時間戦略が非常に大事です。

食べるためだけの長時間労働は悲しくて貧しい気持ちになりますが、自分の才能と人間性を磨くために時間を使うのであれば、決して貧しい心にはならないと思います。

時間戦略5大原則 p259

原則その1 人生の方程式 y=ax²+b まずは自分の目標と現状を確認しよう
原則その2 「a・才能」 「b・過去の蓄積」がなくてもがっかりするな
原則その3 「x・時間」を増やせば必ず成功できる
原則その4 時間を投入するポイントは、狭い分野に絞って長期間にわたって
原則その5 成功した先人をみよう。成功に比例した仕事時間を費やしている 

p262

1年、3年と継続する人はさらに少なく、おそらく1%もいないでしょう。

逆に言えば、「頭ではわかっているが、面倒でやらないこと」をやり続ければ、成功の可能性は高くなる。
弱者はすべての分野で一点集中し、コツコツやり続けるしかないのです。
いつの時代も、平凡なことを非凡に続けること。
これが、なにもない弱者が生き延びるための、最強の戦略鉄則だと思います。