「レシピを見ないで作れるようになりましょう。」を 2,025 年 01 月 09 日に読んだ。
目次
- メモ
- p4
- 水分不足だから野菜が焦げるのです p15
- p15
- 「どうしてこんなに甘いの?」と驚かれる シンプル野菜炒め p16
- p16
- 失敗する原因を探ってみましょう p17
- p18
- シャキッと仕上げたい もやしのにんにく炒め p20
- p21
- 炒める前に青菜のお世話をします p22
- 色よく香ばしく炒める 青菜のにんにく炒め p23
- おいしくたっぷり食べるなら 野菜のオイル蒸し p25
- p25
- 一緒くたに炒める野菜炒めは難しい p33
- 簡単で美しくて美味! いろいろ野菜のオイルゆで炒め p33
- だしいらずでできるかぼちゃの煮物 p42
- だしなしでやさしい味わい かぶの鶏そぼろ煮 p43
- p44
- 体にしみる冬のごちそう 大根のおでん p49
- p50
- p51
- 母から教わった日本の味 里いもの煮物 p51
- p52
- 油を料理の「材料」と考えましょう p57
- サラダ作りにおいて大切なモノとコト p75
- 野菜の水をしっかりきる方法 p76
- 出番の多い基本中の基本 葉っぱのサラダ p77
- 味つけは、料理に合えば自由でいいのです p78
- おひたしは「青菜を上手にゆでる」ことから p79
- いろいろな野菜がごちそうになる おろしあえ p80
- p80
- p113
- p114
- 鶏肉は下処理で味が格段にアップします p119
- p114
- 膜切りと筋切り、していますか? p120
- 身はふっくらで皮がパリパリ! 鶏のロースト p120
- p121
- 冷蔵庫に入れておけばすぐ作れる 鶏のローズマリー焼き p121
メモ
p4
この本では、料理作りの流れや勘どころをお伝えしています。
まずは読んで、イメージをふくらませてください。
材料はどんな色なのか、鍋の中はどんな熱さなのか、火を通すと材料がどんなふうに変化していくのか、どんな味つけが合うのか……。
イメージが湧いたら、本を見ずに作ってみてください。
地図を持たずに旅をするようなもので、きっと不安になることでしょう。
でもそこで、自分の中に眠っている力を呼び覚まします。
「太陽はどちらにある?」と空を見上げるように、「鍋の中はどのぐらい熱くなっている?」と、よく見て感じてください。
次のことを心がけるといいです。
1 思いきってやってみる
失敗をおそれずに。
失敗は成功のもと。
「それなりにおいしいね」と思えればいいぐらいの気持ちでトライすべし、です。
2 “目指すところ”をイメージする
シャキッとした歯ごたえにしたいのか。
ほっこりとさせたいのか。
ジューシーさが欲しいのか。
色を鮮やかに仕上げたいのか。
自分が「こうしたい」と目指すイメージを持つことが大事です。
自分自身が「こういうのが食べたい」と思うものを作ろうとすることです。
3 味つけ以前に、食感にこだわる
料理=味つけ、と思っている人が多いようですが、その前が肝心。
たとえば、ほうれん草のおひたし。
味つけがどんなによくても、ゆですぎのほうれん草ではおいしくないですね。
白身魚の煮つけにしても、薄めの味つけの煮汁でふっくらと魚に火を通すことが第一。
いい具合に火の通った魚を鍋から取り出してから、煮汁が薄かったら煮詰めたり、調味料を足して頃合いの煮汁にし、それを魚にからめればいいわけです。
まずは食感、それから味つけです。
4 味見をする
自分の舌で味を決めてください。
そのために味見は必ずしましょう。
たとえば野菜をゆでたとき。
その野菜じたいがどんな味なのか、塩ゆでによってどの程度塩分がついているのかを知るために、ちょっと食べてみる。
食べてみてから、どんな味つけにしようかと私は考えます。
どの料理も途中で何度か味見をして、自分がおいしいと思う味に仕上げればよいのです。
料理は「一時期だけ作ればいい」というものではなく、だれにとっても、一生続けていくライフワークです。
レシピを見ないで作ることを続けていると、料理の勘が冴えてきます。
本当の基本が身につきます。
「次はこうしてみよう」と応用力がついてきます。
自然にレパートリーが広がっていきます。
だから献立に悩むこともなくなります。
そしてなにより、料理が楽しくなってきます。
水分不足だから野菜が焦げるのです p15
小松菜でもにんじんでもピーマンでも、シャキッと炒めた野菜は甘くてとてもおいしい。
単品を炒めるだけで、手軽に野菜がとれるし、しかも野菜のビタミン類は油と合わさることで栄養価が増すそう。
ぜひ、野菜炒め上手になってください。
熱いフライパンで短時間で炒める――が野菜炒めの基本ですが、「強火で炒めると焦げてしまう」という声も聞きます。
そうだとしたら、それは水分が足りないからです。
まずは野菜に水をたっぷり吸わせてあげます。
夏場でしたら、氷を入れた冷水に浸けます。
シャキッとするまで。
買ってきた野菜はやはり採れてから時間がたっていますから、水を吸わせて生き返らせてあげる。
表面に水をつけるのではなく、野菜の細胞の中に、しっかりと水分が含まれた状態にすることが重要です。
そこまで水分を含んで、土にはえていたときと同じ状態に戻してから調理をすると、早く火が通るし、野菜が甘くおいしくなる。
水を吸わせてシャキッとしたキャベツと、吸わせていないシナシナのキャベツとでは、炒めたときに別物のように味に差がつきます。
どんな野菜もそうです。
どうして、そこまで水分が大事なのかというと、「炒める」は、素材の持つ水分で火を通す調理法だからです。
p15
Q 野菜は長時間、水に浸けっぱなしでも平気ですか?
A 使う前の、たとえば30分とか1時間程度浸けておくことが私は多いです。
浸ける時間は、その野菜の状態(しおれ具合)によります。
あまり長く浸けっぱなしにしておいても傷んできます。
「どうしてこんなに甘いの?」と驚かれる シンプル野菜炒め p16
まずはキャベツ炒めを作ってみましょう。
キャベツを水に浸けます。
大きな葉のままでも、切ってからでもいいです。
切ってから水に浸けたほうが早くシャキッとします。
手触りでわかります。
触ったらキシキシと音がするまで充分に水を吸わせて、調理の直前にざるに上げて水気を軽くきっておきます。
鉄のフライパンを強火にかけてから焼きします。
うっすらと煙が立つほどに熱く熱して、油をひきます。
鍋肌にいきわたるぐらいに。
油の量はやや多めです。
油をひいたらすぐにキャベツを置きます。
「入れる」というよりも「置く」です。
鍋底の平らなところに置き、なるべく重ならないように菜箸で広げます。
広げたら、すぐに触らない。
菜箸などで触るのをちょっと我慢して、キャベツの水分が蒸気になって上がるのを見守ってください。
蒸気って、すごく熱い。
野菜は、甘みやうまみを含んだ“自分の水分”でおいしく熱せられるわけです。
キャベツがつややかになって透明感が出てきたら、ヘラで一度返します。
それぞれの場所で、キャベツの上下をサッと返すだけです。
上下を返したら、塩をパラパラとふります。
これで、キャベツ炒めのできあがり。
1分もかかりません。
野菜を単品で炒めるときは、すべてこのやり方です。
アスパラガスも絹さやも、水を充分に吸わせれば、下ゆでの必要もなく、むしろじかに炒めたほうが甘く、ふっくらと炒めることができます。
アスパラガス炒めの場合は、斜め薄切りでも、3~4センチ長さでも、手でパキッと折っても、切り方はご自由に。
根元5~6センチは皮をむき、かたい根元のほうから先に炒めます。
春の旬の時季に食べたくなる絹さや炒めは、短時間で仕上げるのがコツ。
「きれいな緑になったな」と思ったら、もうそれでできあがりです。
p16
Q キャベツの芯と葉は、時間差で入れたほうがいいでしょうか?
A キャベツの芯を薄切りにすれば、葉と同時に炒めて問題なしです。
失敗する原因を探ってみましょう p17
「水気が出てしまう」「油っぽくなってしまう」と野菜炒めに苦手意識を持っている方もいるでしょう。
充分に熱していないフライパンに油をひき、シャキッとしていない野菜を入れてかき混ぜるという炒め方だと、時間がかかり、ベトッとした油がしんなりとした野菜にからむので、おいしくないのです。
また、野菜に火が通る前に塩を入れると、野菜から水が出てしまうなど、炒め物がうまくいかない理由はいろいろです。
まずは野菜の状態です。
野菜は、表面にだけ水分がついている状態ではなく、しっかり水を吸わせて、細胞の中にまで水分が充分にあることが大事です。
細胞の中の水分を熱することで火を通す炒め方ならば、炒め物が水っぽくなることはありません。
また、「鍋の中の温度が低い」こともうまくいかない原因のひとつです。
フライパンはから焼きして、カンカンに熱くすること。
そこまで高温にしたフライパンでないと、野菜の細胞の中の水が熱せられない。
から焼きができる鉄のフライパンに、私がこだわる理由もここにあります。
野菜どうしがフライパンの中で重なっているのも、なかなか火が通らず、水気が出てしまう原因です。
重ならずに野菜を平らに「置く」ことができるように、少量を炒めるときでも大きめのフライパンを使うことをおすすめします。
私はひとり分を作るときも、直径26センチの鉄のフライパンです。
すぐに混ぜないことも大事です。
いきなり「かき混ぜる」と、鍋の中の温度が下がってしまうので、少し待つことが肝心。
鍋(フライパン)の中を見て、返すタイミングをはかります。
野菜の片面を焼いたら、裏返して焼く。
返すのは一度ぐらいで充分です。
最後に火加減についてですが、じつは「強火」「中火」とは簡単に言えないのです。
気にしたほうがいいのはガス火の炎の大きさではなく、“鍋の中の温度”。
鍋の中を見ていて「焦げそう」と思ったら火を少し弱めればいいし、逆に蒸気の上がりが悪ければ、火を強めればいい。
「火加減は、鍋の中と相談しながら調節してください」と料理教室でもよく話しています。
p18
Q 炒め油もアツアツに熱したほうがいいですか?
A 油を熱するのではなく、熱した鉄のフライパンに油をひくのです。
それでフライパンの表面に油がなじむ。
油の膜を鍋肌に作ってあげるわけです(フッ素樹脂加工のフライパンは違います)。
シャキッと仕上げたい もやしのにんにく炒め p20
私はもやしが好きですので、「シャキッ」にこだわります。
「シャキッ」と作るには、やはり高温のフライパンで、できるだけ短時間で炒めるに限ります。
もやしも炒める前に水に浸して、水分を充分に含ませます。
その前にぜひやっていただきたいのが、ひげ根を取ることです。
ちょっと手間ですが、取るのと取らないのとでは大違い。
おいしさがまるで違うのです。
ひげ根は、もやしが成長するときに水に浸かっている部分。
袋詰めされて時間がたつうちに、ひげ根についている水が傷んできて、ひげ根のところからくさみが出ます。
ですから、きれいに取り除いてしまいましょう。
ひげ根を取ったら、冷水に浸けてパリッとさせ、ざるに上げて水気をきります。
もやしのような淡白な野菜は、にんにくの風味をつけて炒めてもおいしいものです。
にんにくはみじん切りにしてもいいですが、たたいてつぶすととても簡単。
薄皮をつけたままでまな板に置き、包丁をねかせてにんにくの上にあて、げんこつで上からドンッとたたきます。
こうすると、にんにくがつぶれると同時に薄皮もむけ、にんにくの繊維が崩れて香りがよく出ます。
大きめにつぶれるようにたたけば、器に盛るときににんにくを取り除くのもラクです。
にんにくの量はお好みで。
もやし1袋を炒めるなら、私は1片をつぶして使いますが、もっと多くても少なくてもいいです。
フライパンににんにくを入れて、多めの油(直径26センチのフライパンなら、大さじ1~2杯ぐらい)を注ぎます。
火をつけるのは、それからです。
そう、にんにく炒めはフライパンをから焼きせずに、冷たいフライパンから始めるのです。
でないと、にんにくが焦げてしまう。
焦げたにんにくは香りが悪いので、焦がすことなく、香りを油によく移すのがポイントです。
にんにくとオイルを入れたら、フライパンを弱めの火にかけて、にんにくを菜箸で鍋中に広げます。
そして、弱い火でじわじわとにんにくを炒めます。
箸で転がしながら。
全体がうっすらと色づくまで、よく炒めて香りを出します。
もやしを炒める時間よりも、にんにくを炒める時間のほうが長いくらいです。
にんにくが色づくころには、フライパンも充分に熱されていますから、ここにもやしを入れます。
冷たいもやしが入れば鍋の温度が下がるので、火を強めます。
このあとはキャベツ炒めと同じ手順ですが、もやしはとくに手早く短時間で仕上げたい。
もやしを鍋中に広げたら、2、3秒でサッと返し、裏も同様に焼きつけて塩をパラリ。
お好みで黒こしょうをひいて完成です。
余熱で火が通ることも見越して、早めにお皿に上げましょう。
p21
Q にんにくの切り方はどのように決めますか?
A にんにくも赤唐辛子も、細かく切るほどに風味や辛みが立ち、料理全体にまぶされます。
あまり香りや辛みをつけたくないときは、粗く切ったり、ちぎったりすればいいのです。
炒める前に青菜のお世話をします p22
小松菜、ほうれん草、チンゲン菜などの青菜も、炒める前に必ず水を吸わせます。
買ってきて袋から出すと、しなっとしていることが多いでしょう?
そういう青菜でも、しばらく冷水に浸けておくと、土にはえていたときのシャンとした状態に近づいてくれます。
青菜を手にとったら、まずは1株ずつ根元に十字に切り目を入れます。
こうすることで、根元についている泥や汚れが自然に水の中に落ちるし、炒めたときも火の通りが早いのです。
次に、葉と茎に切り分けます。
葉先と茎では火の通りが違うので、時間差で炒めることになりますから、あらかじめ分けておく。
そして、これをどうやって水に浸すかですが、切ったものをまとめて水に浸けてしまうと、炒める前にまた葉と茎に分けなければならない。
だから私は大きなボウルに冷水を張り、まずは葉のほうを浸けて、茎はボウルよりひとまわり小さいざるに入れ、同じボウルにジャボッと浸けておきます。
ボウルの中で葉が下に、茎が上にある状態です。
上にある茎から炒めますので、こうしておくとスムーズに作業が進みます。
野菜炒めは手早く炒めたいので、こういう段取りがじつはとても大切です。
水を吸わせた野菜は表面の水気をよくきります。
色よく香ばしく炒める 青菜のにんにく炒め p23
小松菜炒め、ほうれん草炒め、チンゲン菜炒めを作ってみましょう。
炒め方はどれも、キャベツやもやしと同じです。
シンプルに炒めるならば、煙が立つほどに熱したフライパンに油をひいて、青菜を炒めます。
にんにく炒めならば、冷たいフライパンにつぶしたにんにくを入れ、油を多めに入れて火にかけます。
弱火でじわじわと、にんにくの香りを出してから青菜を炒めます。
まずは茎のほうを入れて、鍋中に平らに広げます。
そうしたら、すぐにいじらない、混ぜない。
でも、いつまでもフライパンの上に置いておくと焦げるので、そろそろかな、と思うギリギリのタイミングで、ヘラでその場で上下を返します。
茎の片面を、少し焦げ色がつくぐらいに焼きつけてから裏返し、裏面も焼きつける感じです。
味に変化をつけたいときは、赤唐辛子を加えることもあります。
赤唐辛子をちぎって種を抜き、フライパンにポンと入れるだけ。
葉のほうを、茎の上にのせます。
均一にのせるだけです。
箸で平らにして、なるべく重なりがないようにします。
しばらくして全体がしんなりしたら、葉っぱのための塩をパラパラとふり、上下を一度返して、茎のための塩をパラパラとふったらできあがり。
おいしくたっぷり食べるなら 野菜のオイル蒸し p25
野菜のオイル蒸しは、とても便利な料理です。
鍋にオリーブオイルと、つぶしたにんにくや赤唐辛子を好みで入れて、たっぷりの野菜(青菜でもキャベツでもトマトでも)を詰め込みます。
パラパラと塩をふり、ふたをして、中ぐらいの火で5~10分ほど野菜のかたさに合わせて蒸し煮にします。
すると大量の野菜もかさが減り、うまみが凝縮されたおいしい一品に山ほどの野菜もペロリと食べられてしまう、この「オイル蒸し」という調理法をイタリアで知ってから、野菜を摂る量が増えました。
いろいろなきのこで作るきのこのオイル煮は、「炒める」と「煮る」の中間の料理で、これもわが家の十八番。
小さめのフライパンにオリーブオイルを鍋底を覆うぐらいにたっぷりとひき、2、3片のにんにくをつぶして入れ、赤唐辛子をちぎって入れます。
この上に食べやすくほぐしたきのこ(しめじ、しいたけ、エリンギなど)をどっさりのせます。
本当に山盛りなので、うちでこの光景を見るとみなさん驚くほど。
でも、きのこはほとんどが水分なので、火を通すとかさが減るので大丈夫です。
上からもオリーブオイルをまわしかけて、中火にかけます。
あとは放っておくだけ。
かさが減ってきたら塩をパラパラとふり、ときどき箸で押してみたり、上下を返したりして、きのこがおいしそうな色つやになればOKです。
p25
Q きのこのオイル煮はどんなふうに食べますか?
A カリッと焼いたパンにのせる。
魚や肉料理の付け合わせに(たっぷりと)。
パスタに混ぜる。
少ししょうゆをたらして、ごはんのお供にも。
一緒くたに炒める野菜炒めは難しい p33
野菜炒めというと、いろいろな野菜をフライパンに入れて、一緒に炒めるイメージがあるかもしれません。
でも、それはじつは難しいです。
野菜はひとつひとつ火の通り方が違います。
火が通る温度、火が通る時間が違うのです。
たとえば絹さやとキャベツを一緒に炒めるのは、とても難しいこと。
絹さやはシャキッとした歯ごたえを味わいたいから、私はほんの一瞬、サッと火を通すぐらいです。
キャベツはそれよりも少しよく炒めたほうが、甘みが引き出されます。
一度に炒めようとすると、キャベツにほどよく火が通ったころには、絹さやには火が入りすぎていて、ペシャッとしてしまう。
炒めすぎた野菜からは、水気が出てきてしまいます。
それでも、いろいろな野菜が少しずつ残っていて、一度に食べてしまいたい、というときはどうするか。
そんなときにおすすめの調理法があります。
簡単で美しくて美味! いろいろ野菜のオイルゆで炒め p33
野菜炒め、なのですが、最初に湯通しするのです。
中華料理の手法のひとつで、野菜がとてもおいしく、たくさん食べられます。
いろいろ野菜のオイルゆで炒め、とでも名づけましょうか。
必ずおいしくできますので、ぜひ試してください。
野菜は、火を通しておいしく食べられるものなら、なんでもOKです。
単品でもいいし、何種類使ってもいい。
キャベツ、レタス、にんじん、ブロッコリー、さやいんげん、絹さや、スナップえんどう、小松菜、チンゲン菜、アスパラガス。
どれも水を吸わせて元気にして、数種類を炒め合わせるときは大きさをだいたいそろえて切っておきます。
そのほうが食べやすいし、見た目もきれいです。
中華鍋にお湯を沸かします。
塩少々と、ごま油かオリーブオイル(いずれもおいしいもの)をたらします。
オイルの量は適当です。
上に油が浮いているぐらい。
ここに野菜を1種類ずつ入れて、色がきれいになったらザルに上げて水気をきります。
あとでもう一度火にかけるので、ゆですぎは禁物。
歯ごたえが感じられるくらいの半ゆでの状態に。
キャベツをゆでたら、次にブロッコリーをゆでる……というふうに、ひとつの鍋で次々に野菜を湯通しして取り出します。
油が入って高温になったお湯でゆでると、野菜がすばらしくきれいな色になります。
全部の野菜をゆでたら、中華鍋をきれいにして、そこにほんの少しの油とつぶしたにんにくを入れ、弱火でじわじわ炒めて香りを出します。
香りが出てきたら、鍋肌からしょうゆをジャーッと入れる。
野菜の量によって、しょうゆの量も変わってきます。
「しょうゆの味を野菜にこれぐらいつけたいかな」と思う量です。
さらに、お好きでしたら赤唐辛子や豆板醤も加えて、鍋の中にたれのようなものを作ります。
たれがワーッと沸いている鍋の中に、湯通しした野菜を全部入れます。
そして、あえる。
はい、完成。
これだけですが、すごくおいしい。
それぞれの野菜に、歯ごたえが残るようにちょうどよく火を通してから、中華鍋の中で合わせる、だからこんなにおいしいのだと思います。
この調理法だと、残った野菜が一気に食べられるし、レタスなんて2玉ぐらいペロリと食べられてしまいます。
野菜不足が解消できて、人にふるまっても喜ばれる美しさです。
だしいらずでできるかぼちゃの煮物 p42
野菜の煮物にはだしが必要、と思うかもしれませんが、だしを使わない煮物もたくさんあります。
まずはそこからお話ししましょう。
かぼちゃ、さつまいも、くわいといったホクホク系の野菜は、だしを使わないで煮ることも多いのです。
甘い味つけにしたいときは、とくにそうです。
ほっくりとしたかぼちゃの煮物はおいしいですよね。
私はかぼちゃはだしどころか、水もほとんど入れずに蒸し煮にします。
種とワタを取りのぞき、皮をつけたまま、かぼちゃをちょっと大きめに切ります。
ふたの密閉度が高い厚手の鍋(無水鍋があればベスト)に入れて、砂糖と塩をまぶします。
かぼちゃを1/2個使う場合は、砂糖大さじ4~5杯、塩は少々。
しっかりもみこむようにかぼちゃにまぶし、そのまま30分~1時間ぐらいおいておく。
すると汗をかいたように、かぼちゃから水分が出てきます。
それから火にかけるのですが、ここで水を大さじ2~3杯ほど入れます。
この少量の水と、かぼちゃの水分で蒸し煮にするわけです。
しっかりとふたをして火にかける。
最初は強めの火です。
煮立ってきたら弱火にして10~15分ぐらい、そのまま放っておく。
これだけです。
竹串を刺してみて、まだかたいようならば、もう少し蒸し煮にします。
ふたをあけたときに汁気がまだ残っていたら、ゆすりながら水気を飛ばします。
ふたをして、鍋の取っ手を両手で持って大きくゆすり、また火の上に置く――を数回繰り返し、水分をすっかり飛ばしてしまう。
こうすると、かぼちゃが粉ふきいもみたいになって、見るからにすごくおいしそう。
この方法で煮るのが、かぼちゃはいちばんおいしいと思います。
砂糖がキャラメル状になって糸をひき、かぼちゃにまとわりついているところも私は好きです。
だしなしでやさしい味わい かぶの鶏そぼろ煮 p43
肉など味の出るものと野菜を一緒に煮る場合も、だしは不要です。
たとえば、かぶの鶏そぼろ煮。
これも私の大好きな料理です。
かぶの大きさにもよりますが、小さめを6つぐらい煮るのなら、鶏のひき肉100~150グラムを使います。
かぶは皮をむき、2~4等分に食べやすく切ります。
葉と茎はサッと湯通ししてから細かくきざみ、さらしのふきんで包んで水気をギュッと絞っておきます。
鍋に鶏ひき肉を入れ、しょうがのみじん切りをたっぷり入れます。
1かけ分ぐらい。
次に調味料を入れます。
鶏ひき肉にひたひたの水分量になるように。
目安としては酒と水が同量で各カップ強ぐらい。
しょうゆとみりんが大さじ1杯ずつぐらい。
あまりしょうゆ色にしたくないので、塩分の補いとして塩を少々入れます。
味はあとから調整がききますので、最初は薄めのほうがいいです。
菜箸4~5本をまとめて持って鍋の中をぐるぐるとかき混ぜ、ひき肉をよくほぐします。
ひき肉がほぐれたら鍋を火にかけます。
菜箸でかき混ぜながら、鍋の中がやさしく煮立っているぐらいの火加減で、はじめは濁っていた煮汁が透き通ってくるまで煮ます。
透き通らないうちは、煮汁に鶏くささが残っているということですから。
ここで味をみて足りないようならば、塩、しょうゆ、甘み(メープルシロップ)などを少し足します。
煮汁が透き通ったら、かぶ(葉と茎以外の実の部分)を入れます。
煮汁が多くないので、全体に汁がまわるように落としぶたをして(クッキングシートでOK)、静かに煮立つ火加減で、やわらかくなるまで煮ます。
野菜の状態にもよるけれど、かぶは早いです。
5~6分で煮えます。
片栗粉を多めの水で溶き、煮汁を箸で混ぜながら、汁の部分に加えていきます。
く混ぜて全体にとろみがついたら、ひと煮立ちさせ、かぶの葉をパーッと散らします。
グリーンの中に白いかぶと鶏のあんが浮かんで、見た目もおいしい一品のできあがり。
そぼろあんをからめながら、かぶをいただきます。
p44
Q 水溶き片栗粉をダマにしないコツは?
A まず、薄めにすること。
片栗粉1に対して、水は2~3の割合です。
かぶを少し寄せて、煮汁のたまったところへ薄い水溶き片栗粉を少しずつ入れます。
入れたところを混ぜながら、しばらく煮て再び煮立つのを待ち、とろみが足りなければまた加えます。
体にしみる冬のごちそう 大根のおでん p49
時間をかけてやわらかく煮た大根に、箸を入れるとじゅっとおだしがにじみ出て……格別なおいしさですよね。
うちでは、そんなふうに煮た大根が大好きで「大根のおでん」と呼んでいます。
薄味のよいお味に仕上げたいと思ったら、大根はちょっと手をかけなければなりません。
まずしなければならないのは、下ゆでです。
大根の辛みやえぐみは、前出の炒め煮のように油を使ったり、濃いめの味で食べる場合は気になりません。
でも、だしで薄味で煮る大根は、ぬかを入れた湯で下ゆでして風味よく仕上げたい。
下ゆでしてから、さらにゆっくりじっくり煮た大根は、自然の甘みが出ておいしいのです。
大根を厚さ4~5センチの輪切りにして、皮を厚めにむき、面取りをします。
大きな鍋にたっぷりの水を張り、米ぬかを大きくひとつかみ入れ、泡立て器でよく混ぜます。
ここに大根を入れて火にかけ、沸いたら、ふつふつとやさしく煮立つ火加減にしてゆでます。
竹串が通るぐらいのやわらかさになったら引き上げて、ぬかをきれいに洗い落とし、水気を拭き取り、それから煮はじめます。
鍋は、大根をきっちり並べて入れられるぐらいの大きさが理想的。
あまり大きすぎてもよくないし、大根を重ねなければならない小さな鍋も不向きです。
鍋に大根を並べ入れたら、だしを注ぎます。
かぶるぐらいの量のかつおだしです。
次に味を入れます。
まず、酒をたっぷり。
しょうゆは少し色がつく程度に入れましょう。
しょうゆを入れて、味をみて、塩分を補う意味で塩を入れます。
お吸い物よりもだいぶ薄めの味にします。
わりと長く煮ますから、煮る間に味も煮詰まるので、最初は薄めのほうがいいです。
火にかけて沸騰したら弱火にし、鍋の中がユラユラと静かに煮えている状態で、大根がやわらかくなるまで煮ます。
少なくとも45分、50分……。
静かに煮て、「これがおいしい」とご自分が感じる状態になるまで、ゆっくりと時間をかけて煮ます。
大根と一緒に、厚揚げやこんにゃくを煮るのもおいしいものです。
こんにゃくは下ゆでして両面に格子状に切り目を入れます。
厚揚げは熱湯にサッとくぐらせて(30秒ぐらい)油抜きをし、1枚を6等分くらいに切ります。
大根と一緒に最初から鍋に入れて煮てもいいですし、厚揚げだけあとから加えても。
こうして煮たおでんを、わが家ではねぎみそでいただきます。
ねぎみそのみそはあまりたくさんだとしょっぱくなりすぎるので、小口切りにした長ねぎがギリギリまとまるぐらいの塩梅で入れてよく混ぜます。
これを少しのせていただく大根は最高。
ぬかで下ゆでする手間も、体にしみわたるような大根のおいしさを知ってしまうと、いたしかたなし。
シンプルなお料理こそ、下ごしらえの丁寧さがものを言うのです。
p50
Q だしを簡単にとる方法はありますか?
A だしをとるのは難しくありません。
とり方を覚えて、習慣にしてしまいましょう。
【昆布とかつお節のだし】
だし昆布20センチを水カップに浸し、2時間~半日浸けておく。
弱めの中火にかけて、昆布がゆらゆらとしてきたら引き上げる。
削り節40グラムを入れて火を止め、そのまましばらくおいて味見をする。
おだしの味になっていればできあがり。
ボウルの上にさらしのふきんをかけて、こす。
p51
Q 野菜の煮物に向くだしとは?
A 昆布とかつお節のだしを使うことが多いですが、煮干しのだしでも、また違った味わいでおいしいです。
【煮干しのだし】
煮干し90グラムの頭を取り、頭の中の黒い部分を取り除く。
身は二つに裂いて、はらワタを取り除く。
水カップ5に煮干しの頭と身を浸し、冷蔵庫にひと晩入れる。
ざるの上にさらしのふきんをかけて、こす。
母から教わった日本の味 里いもの煮物 p51
子どものころ、学校から帰ると、母が台所で里いもを煮ていて。
のぞきに行くと、煮えたての里いもを長い菜箸にすっと刺して「はい」って渡してくれました。
ほっくり、ねっとりとして、ほのかに甘い、そのおいしさは今でも忘れられません。
薄味の里いもの煮物も、ちゃんと“お世話”をすることで、おいしくなる料理です。
下ごしらえの丁寧さが、できばえに反映されます。
なるべく泥のついた新鮮なものを買ってきて、タワシでごしごしこすって洗います。
濡れたまま、すぐにむいてはいけません。
ぬめぬめとして、きれいにむくことができませんから。
洗ったら、そのまま乾かしておきます。
明日使う里いもなら、前日に洗って乾かしておくといいです。
皮は厚めにむきます。
どうしてかというと、おいもは身を守るために、まわりが時間とともにかたくなります。
つまり、芯のところがいちばんやわらかくておいしいのです。
ですから逆に、今掘ったというほどの掘りたてならば、皮を包丁でこそげとる程度でよいのです。
また掘りたての里いもは皮がやわらかいので、すり鉢に入れてゴロゴロと転がしても皮がむけます。
皮をむいたらすぐに、ペーパータオルやギュッと絞ったさらしで、里いもの表面をきれいに拭き上げます。
皮をむいていると、里いもの繊維や汚れが、どうしてもついてしまうので、それをきれいに拭き取る。
そして、これ以降は絶対に水に浸けないこと。
皮をむいてから水で洗うと、ぬるぬるがたくさん出てしまう。
ぬるぬるはうまみの素ですので、里いもの中に閉じ込めておきたいのです。
ここまでの里いものお世話が、じつはすごく大事。
これをきちんとするかどうかで、煮物のおいしさが決まります。
次に鍋にだし汁を用意しますが、里いもを入れたときにひたひたになる量を目安に入れてください。
だしに味をつけます。
酒、しょうゆ、塩。
大根を煮るときと同じで、お吸い物よりも少し濃いめの味です。
味見をして、自分の好きな味にすればいいのです。
甘くしたければ、みりんをちょっと入れてもいいけれど、里いもじたいに甘みがあるから、私は甘みを入れないで煮るほうが好きです。
里いもは、こうして味つけした煮汁に、皮をむいたいもをすぐに入れて煮ると、ヌルヌルが出ることはありません。
きれいに拭き上げた里いもをどんどん鍋に入れていきます。
全部入れてからコンロの火をつける。
沸いたら火を弱め、里いもがあまり踊らない火加減でゆっくりと煮る。
煮汁がひたひたにあれば、落としぶたをしなくても大丈夫です。
里いもに亀裂がふうっと入ったら、そこで火を止める。
そのぐらいの煮え方がおいしいです。
p52
Q 里いもの味は鮮度によって違うものですか?
A 掘ってすぐのものと、掘ってから1週間たったものとでは、里いもは別物のように味が違います。
泥つきや、皮がちょっとしめったものを選んでください。
新鮮な里いもはタワシでこすっただけで皮がすぐにとれます。
油を料理の「材料」と考えましょう p57
揚げ物をしない人が増えているようですが、揚げ物は家庭料理において、とても便利な調理法です。
とくに野菜は、揚げることで甘みが増して、驚くほどおいしくなる。
家で揚げれば、酸化していない油を使えるのでヘルシーです。
また、場合によっては炒めるよりも揚げたほうが素材は油を吸わず、さっぱりと食べられたりもします。
それに思っているよりもずっと早くできる、いわば揚げ物は時短料理なのです。
だから私は子育て中から、よく揚げ物をしていました。
揚げ物が得意になれば、毎日の食事作りがとてもラクになります。
油は、料理の「材料」ととらえて、良質なものを惜しみなく使ってください。
おいしい油で揚げることをおすすめします。
私は和食や中国系の料理を作るときにはごま油、イタリアンならオリーブオイルを使うことが多いです。
でも、和のおかずにエクストラバージンオリーブオイルを使うこともよくあります。
ほかにも紅花油など、なるべくナチュラルな材料から作られる、混じりけのない油を選びましょう。
野菜の素揚げをした油ならば、二度ぐらいは使えます。
でも肉や魚を揚げた油は汚れていますから、一度きりにして、私は使用済み油を固める薬剤を使って処分しています。
サラダ作りにおいて大切なモノとコト p75
お肉を焼いたり、パスタにしたときは、「あとは縁が欲しいわね」ということで、サラダを用意します。
食卓に緑がないと、心も体もなんとなく落ち着かないものです。
いちばんよく作るのは、ただの葉っぱのサラダ。
いろいろな野菜を入れてもいいですが、1種類の野菜だけでもいい。
サニーレタスだけでも、ルッコラやクレソンだけでも、おいしく作れれば存在感があるものです。
サラダ作りにおいて、大事なモノはなんでしょう?
①シャキシャキの野菜です。
冷水に浸けて、水を吸わせてシャキシャキにします。
②野菜の水気をしっかりきるために、サラダスピナーは必需品。
③大きなボウルです。
ひとり分を作るときも、家でいちばん大きなボウルを使ってください。
混ぜるときに空気がふわっと含まれて、まろやかでおいしくなります。
④手です。
野菜とドレッシングをあえる、手。
手が今のところいちばんいいと思いますけれど、手で混ぜることに抵抗のある方は、サーバーなどの手に代わる道具を使ってください。
⑤調味料です。
オイル、ビネガー、塩、こしょうが、ドレッシングの基本となります。
それらをあらかじめ混ぜ合わせることもありますが、私はボウルの中の野菜に順番に直接ふりかけて、手であえて味をからめます。
野菜の水をしっかりきる方法 p76
ドレッシングは、その名の通り、葉っぱにドレスをまとわせるようにからめるのが理想。
葉っぱの表面に水がついた状態では、“水と油”で、ドレッシングがうまくまとわりついてくれません。
それに、野菜が水っぽいと、油も塩もたくさん入れることになり、味がなかなか決まらないのです。
だから、大事なのは“水気をしっかりとる”こと。
私はサラダスピナーを使います。
くるくると回して、遠心力で水分を飛ばす道具です。
うちではいちばん小さなサイズのものを使っているのですが、あるとき、25人分ぐらいのサラダの野菜を水切りしている様子を見た人に聞かれました。
「こんなに人がたくさん集まるところで、そんなに小さいサラダスピナーですか?」
それに対する私の答えはこうです。
「ちゃんと理由があるの。
小さいところに野菜を少しずつ入れて回したほうが、回転が速くて水がよくされる。
それに小さい力で速く回るので効率がよくて、結局は仕事がスピーディに進むんです。
何度も野菜を入れ替えることにはなるけれど、わざと小さいのを使っているのよ」
食べやすくちぎった野菜を、サラダスピナーに少量入れて、ぐるぐると回す。
回転が止まったら、たまった水を捨てて、2回ぐらいはスピナーにかけます。
出番の多い基本中の基本 葉っぱのサラダ p77
では、葉っぱのサラダを作りましょう。
サニーレタスなどの水気をきった野菜を大きなボウルに入れていきます。
このボウルに調味料をふりかけて、味をからめます。
調味料は、多すぎるとおいしくないのです。
酸っぱすぎても、オイルが多すぎてもだめ。
だからまずは少しずつ、オイルとビネガーをふりかけて、塩をパラパラとふって、こしょうもふって。
ボウルの底から、ふわっと空気を含ませるように両手で返して野菜にドレッシングをからめる。
そして、葉っぱを1枚食べてみる。
足りなかったら味を足して、ふわっと混ぜて、味見をして……をやっているうちに、いずれ加減がわかってきます。
野菜をあえたら、ボウルの底にちょっとぐらいはドレッシングが残るけれど、ほとんど残らないぐらいの感じで調味料を入れるのが理想です。
塩も、入れすぎてはいけないけれど、あまり味のないのもおいしくない。
うちでは、大勢で食卓を囲むときは塩分は控えめにしておいて、テーブルに塩を用意し、必要な人が自分でかけるようにしています。
ドレッシングは一般的に油3対ビネガー1の割合といわれていますが、目安として覚えておくといいですね。
でもこれはワインビネガーを使う場合で、日本の米酢を使うときは、この分量では酸味が足りない。
まろやかでおいしい米酢をサラダに使うこともよくありますが、その場合は私は油と米酢を半々にして入れています。
味つけは、料理に合えば自由でいいのです p78
そう、ドレッシングには、好きな調味料を使っていいのです。
一緒に食べる料理によっては、サラダを少し甘酸っぱくしたい場合もありますね。
たとえばソテーした豚肉や鴨と合わせるサニーレタスのサラダならば、私は白ワインビネガーにメープルシロップを少し加えたりします。
豚肉には、甘酸っぱい味が合うので。
魚料理のときは、甘酸っぱいサラダは嫌だから、ビネガーをレモンのしぼり汁にして、オリーブオイルと塩、こしょうでさっぱりと食べる。
和食や中華に合わせるサラダなら、オイルを玉締めごま油にしたり、塩ではなくしょうゆにしたり、ちょっとにんにくのすりおろしを加えてみたりとか。
そのときどきで、ほかの料理との味のバランスをみて、自由な味つけを楽しみます。
おひたしは「青菜を上手にゆでる」ことから p79
和食のときも、野菜たっぷりがうれしいです。
ほうれん草や小松菜をサッとゆで、大根おろしとあえて、かつおぶしのだしたっぷりめ、かぼすのしぼり汁、しょうゆを合わせた自家製ポン酢しょうゆをかけて食べたりするのが、とても好きです。
シンプルなあえものも、野菜の歯ざわりや色が残るように、ちゃんとゆでると、味わいがまるで違ってきます。
ほうれん草や小松菜は、根元に十字に切り目を入れ、冷水に浸けてパリッとさせます。
切り目は、根元の泥を落ちやすくするため。
最近は水耕栽培の野菜も多いですが、洗うのが大変なぐらい泥がついている野菜のほうが、断然おいしいです。
野菜そのものの味をよく味わってみると、土で栽培されたものがおいしいのがわかるはず。
よく洗ったら、3~4株ずつゆでます。
少量ずつゆでたほうが早いし、色がきれいに仕上がります。
多めの湯を沸かし、塩をちょっと入れて、青菜の茎のほうから先にお湯に入れ、1、2と数えたら、葉先のほうまで全部入れる。
パッときれいな緑になって、葉がしなっとしたら、すぐにお湯から上げます。
ゆですぎは禁物。
昔は青菜をゆでたら水にとっていましたが、今の野菜はアクが少ないので、ざるに上げて冷ます陸上げ(水にとらずに自然に冷ますこと)で大丈夫。
でも、そこは好みですから、冷水にとってもいいです。
とくにほうれん草は余熱でどんどんやわらかくなるので、冷水にとって、それ以上火が入らないようにします。
水にとった青菜はすぐに引き上げて、水気を絞ります。
陸上げした野菜は熱がとれてから、青菜を両手で縦につかんでギュッと絞ります。
ギュッと絞ったときにくにゃっとならない程度にゆでることが大事です。
いろいろな野菜がごちそうになる おろしあえ p80
ゆでた青菜を3~4センチに切って大根おろしであえれば、ボリュームのある和のサラダになります。
ほうれん草のおろしあえ、春菊のおろしあえ、小松菜のおろしあえ、クレソンのおろしあえいろいろな青菜で作れます。
大根おろしはざるに入れて自然に水をきっておきます。
くれぐれも大根おろしを絞らないように。
ほどよく水気をきった大根おろしと、歯ごたえが残るようによい塩にゆでた青菜をあえて、ポン酢をかけていただく。
これが最高なのです。
さらにそこに秋だったら、ゆでて甘酢に漬けた菊の花や焼きしいたけを入れると、もう、すごいごちそうです。
じゃこをひとつかみ入れたり、蒸した里いもを入れたり、にんじん、れんこん、ゆり根をゆでて入れたり。
いろいろな野菜を取り混ぜたおろしあえも素敵です。
大鉢にさっくり盛れば、立派なおもてなしのひと皿になります。
p80
Q 自家製ポン酢しょうゆの作り方を教えてください。
A 柑橘(かぼす、すだち、ゆずなど)のしぼり汁2、しょうゆ1、かつおだし1の割合で混ぜるだけ。
保存容器に入れて、冷蔵庫で1週間を目安に使いきります。
p113
Q フッ素樹脂加工のフライパンで焼いてもよいですか?
A その場合はから焼きはしないで、油を引いて肉を焼きます。
ただし、味は鉄のフライパンで焼いたほうがおいしいです。
から焼きして高温にできないフライパンで肉を焼くと、どうしても肉から水分が出てしまい、カリッ&ジューシーな仕上がりになりにくいのです。
p114
Q 肉がフライパンにくっついてしまいます。
A フライパンをよく熱しないと、肉がくっついてしまいます。
充分に熱したフライパンに少しだけ油をひいて肉をのせ、火を少し弱くしてジワジワと焼いていきましょう。
鶏肉は下処理で味が格段にアップします p119
鶏肉のいいものって、なかなか手に入らないですね。
マーケットで売られている普通の鶏肉をできるだけおいしく食べるには、買って帰ったら必ず、“塩をしておく”ことです。
とくに骨つきの鶏肉は、できれば使う前日に買い求め、多めの塩を全体にふって、手でよくすりこみ、冷蔵庫にひと晩ぐらいおいておきます。
これをすると、鶏から水分が出ます(よい鶏肉はあまり水が出ないので、品質もチェックできます)。
使う前に、鶏肉を水でよく洗います。
そうして、すりこんだ塩と鶏から出た水分を洗い流し、きれいさっぱりとさせましょう。
ペーパータオルで水気をしっかり拭き取って、それから料理にかかります。
焼く・揚げる・蒸すなど、どんな調理をするときでも、鶏はこんなふうに塩で下処理をしたほうがおいしく食べられます。
とくにブロイラーには必須です。
ブロイラーも塩をすりこんでひと晩おくことで、地鶏のような味わいになってくれます。
きちんと下処理をした鶏に、あらためて塩を少しふって、ガス台の魚焼きグリルでこんがりと両面を焼いてみてください。
今まで食べていた鶏肉との違いに、きっと驚くはず。
焼き鳥屋さん顔負けの、自家製焼き鳥ができます。
p114
Q 牛肉や豚肉にも塩をしたほうがいいですか?
A 豚のかたまり肉は、鶏肉と同様に塩をすりこんで、冷蔵庫にひと晩入れておくのがおすすめです。
上等な牛肉や豚肉は塩をしないで、そのまま調理したほうがおいしいことが多いです。
筋肉の発達した放し飼いの鶏もそう。
塩をすることで身がさらに締まってしまうからです。
膜切りと筋切り、していますか? p120
「鶏肉をうまく焼くことができない」という人が意外に多いようです。
まわりばかりが焼けて中が生焼けだったり、大きかった鶏肉が縮んでしまったり……。
縮んでしまうという方に質問です。
膜切りと筋切りをしていますか?
鶏肉、とくにもも肉は筋肉のかたまりです。
よく見ていただくとわかるのですが、筋肉の1本1本に膜がかかっています。
この筋膜に包丁の先で切り目を入れて切ってから焼かないと、肉が縮んでしまうのです。
白い筋も何本か通っています。
これも包丁の先で取り除いたり、途中で切り目を入れたりして分断しておきます。
こんなふうに包丁を入れておけば、バランと開いた状態で鶏肉を焼けるので早く火が通ります。
どんなふうに食べるときでも、鶏もも肉はまず筋切りをしてからです。
身はふっくらで皮がパリパリ! 鶏のロースト p120
シンプルに焼いて食べる鶏のローストは、鶏肉の表裏に塩をふります。
新鮮な豚肉や牛肉は塩をしないで焼くとお話ししましたが、鶏肉は塩をきかせたほうがおいしい。
鉄のフライパンを熱して、油を少しひいたら、鶏の皮面を下にして置きます。
あれば何か上に重しをのせて、肉が平らになるようにします。
重しはなんでもOK。
重めの鍋のふたをのせたり、ボウルやお皿を重しにしてもいいです。
こうして重しをして、強めの中火で焼くと、皮が平らにパリパリに焼けます。
そして、皮のすぐ下にある脂もしっかり焼くことができる。
重しをしないで焼く場合も、皮面をしっかり焼いておくことがおいしく食べるポイントです。
皮を焼きつけたら、裏返して焼きます。
何回もひっくり返さずに、裏表を一度ずつ焼きたいので、まずは皮の面をしっかりと焼きつけること。
そして裏返したときに、肉がまだだいぶ生っぽいようならば、火を少し弱めて、じっくりと時間をかけて焼いてください。
ちなみに焼くときにふたはしません。
ふたをすると蒸気がこもって、皮がパリッと仕上がらないからです。
こんがりとジューシーに焼いた鶏肉に、私はアリッサをつけて食べるのが好きです。
p121
Q アリッサとはなんですか?
A 唐辛子をベースにした辛みのあるペーストで、よくクスクスに添えられます。
市販もされていますが、私は手作りすることも。
赤唐辛子、にんにくをつぶして、塩、クミンやコリアンダーなどのスパイスと一緒に、オリーブオイルによく混ぜ合わせます。
焼き魚につけて食べてもおいいです。
冷蔵庫に入れておけばすぐ作れる 鶏のローズマリー焼き p121
食材に調味料やハーブで下味をつけて時間をおくことを、「マリネする」といいます。
鶏肉はマリネしてから焼くと、またひと味違っておいしい。
作り方を教えると、みなさんが「おいしかった!」と報告してくれます。
わが家の定番、鶏のローズマリー焼きをご紹介しましょう。
膜切りと筋切りをした鶏もも肉に塩をふり、少しおいて塩がなじんだら、つぶしたにんにく、ローズマリー(この香りがポイントです)、オリーブオイル、こしょうをまぶしてマリネします。
分量はお好みですが――鶏もも肉1枚に対して、塩大さじ1/3ぐらいをすりこみ、にんにく1~2かけ、ローズマリー4枝ぐらい、こしょう少々、表面を覆うぐらいにたっぷりのオリーブオイル――といった感じ。
マリネはおいしいだけでなく、とても便利なもの。
オイルや塩の保存効果もさることながら、ローズマリーには殺菌作用があるので、マリネした状態で鶏肉を冷蔵庫に入れておけば2~3日はもちます。
ですから鶏肉を買ってきて、すぐに調理できないときは、マリネしておくのがおすすめです。
冷蔵庫から出してソテーするだけで、すぐに一品ができてしまうのですから。
焼くときは、熱したフライパンに皮側から入れ、あれば重しをして、おいしそうになるまで焼く。
皮目がキツネ色に焼けたら返して、とにかくおいしそうになるまで焼く。
何分と測って焼くのではなく、フライパンの中の鶏肉を見て、火加減を調節しながら焼きます。
五感を使って、鶏肉と向き合ってみてください。