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「お味噌知る。」を読んだ

投稿時刻2023年12月18日 17:26

お味噌知る。」を 2,023 年 12 月 18 日に読んだ。

目次

メモ

p3

感覚所与の発達した先人は炊いたご飯に萌える菌から毒素のない「麹菌」を見出したのです。
千年以上前 平安時代末期には麹菌の製造販売をする種麹屋「もやしや」があったそうです。
麹菌 (アスペルギルス オリゼ) は日本にしかない菌なので国菌と言われます
味噌だけでなく酒 醤油 酢 みりん 日本の調味料のすべてが麹菌から造られています。

基本のお味噌汁 p10

これで一人分食べ切りのお味噌汁が出来上がります。
自分がいつも使っているお腕を目安の分量にして、具材を適当に煮えやすく包丁で切ったり、
手でちぎったりして、ひと腕分を小鍋に入れ、お椀に一杯の水も入れます。
お鍋は中火にかけます。
強火にしないことで、ゆっくり時間をかけて、煮立つ頃には具材に火が入ります。
火を止めて、落ち着いて、適当に、適量の味噌を溶いてください。
足りないと思えば、味噌を補ってください。
醤油を入れても結構です。
味噌汁は濃くても、薄くても、熱くても、冷めてもおいしいのです。
味噌に任せておけばいいのです。

お味噌汁の作り方 (応用) p12

お味噌汁の作り方には、先の「基本の作り方」に加えて、さらに二つの発展形の作り方ができます。
一つは、具材を油で炒める味噌汁。
もう一つは、別鍋で加熱した具材を、シンプルなベース (ベースの味噌汁) にプラスして仕上げた味噌汁です。
【基本形のお味噌汁】
お水に具材を入れて火にかけ、具材に火を通し、味噌を溶いて仕上げるもの。
すべての具材から溶け出した味が集まって、ひとつのおいしさが生まれます。
[お水 + 具材 + 火入れ + お味噌]
【1 油炒めのお味噌汁】
具材を油で炒めて旨みを引き出してから、水を加えて火を通して、お味噌を溶いたもの。
油のコク(旨み)でひと味深くなって、満足感の強い味噌汁になります。
[具材を油炒め + お水 + 火入れ + お味噌]
【2 フレッシュなお味噌汁】
ベースの味噌汁 (お水 + 煮干し〈昆布〉 + 火入れ + お味噌) をお椀によそったところに、別鍋で火入れした具材をプラスしたもの。
味噌汁と別鍋で料理されたものが出合った新しい味噌汁になります。
[ベースの味噌汁 + 別鍋で火入れした具材] (P17参照)

味噌の分量の目安 p14

【大きめ椀に1杯分の味噌汁】
煮初めの水分量 1.5 カップに対して、米味噌、豆味噌では 18 ~ 20g 程度。
白味噌では 30g ほどです。
【小椀に 1 杯分の味噌汁】
煮初めの水分量 1 カップに対して、米味噌、豆味噌では 13g 程度。
白味噌では 20g ほどを目安にします。
でも、実際に味噌を溶く時、分量を計量する人は滅多にいないと思います。
生まれて初めて作るとき、目安に「これくらい」と目で覚えるようにします。
汁の色を見て、濃度を確かめて、目分量で作ります。
あとは、慣れ、だんだんと味が決まるようになるものです。
この分量は、 50 人分、 100 人分と大量に味噌汁を作る時の目安にしてください。

味噌は漉すかどうか p15

味噌は味噌の素材である米や大豆が微生物によって分解、発酵によって、おいしさと健康につながるアミノ酸などを造り出すのです。
ですから、いい味噌とは、微生物がよくはたらいた熟成期間の長い、よく醸された味噌ということになります。
味噌によっては未分解な米や大豆が残るので、味噌漉しで漉します。
ですからよい味噌だと、濾さなくてもいいのです。
味噌の良否にかかわらず、漉さなくてよいようにあらかじめ漉したのが「漉し味噌」です。
それに対して漉してない味噌は「つぶ味噌(粗味噌)」と言われます。
味噌を溶くタイミングは、具におよそ火が入ったときです。
コンロに火がついていて、手が熱くなるようなら火はとめます。
また、火がついていると気持ちが焦るので、火をとめる、または火から下ろして落ちついて味噌を溶きます。
味噌の溶き方は、味噌を小鉢にとって、鍋の汁を少し加えて味噌を溶いて、鍋に戻す。
または、小さな泡立て器を用意して、泡立て器で味噌をすくい、玉じゃくしの中で、泡立て器の味噌を溶きます。

p17

お味噌汁の具材になる煮干し、昆布
だしがよく出て、しかも食べられる具材が、煮干しと昆布です。
煮干しからカルシウム、昆布から食物繊維が摂取できます。
家族に味噌汁を作る人の願いは家族の健康です。
それなら常備して、具材と一緒に、煮干しや昆布をぽいっと入れておくといいと思います。
また、前出のフレッシュな味わいの「ベースの味噌汁」にもなりますね。
ベースの味噌汁の作り方
【1杯分のベースの味噌汁】
水 1 カップ、煮干し 2 本 (または昆布 1 ~ 2 枚)、赤味噌 1g 程度。
鍋に水と煮干し (または昆布) を入れ、中火にかけてゆっくり煮立て、味噌を溶く。
湯に味噌を溶くだけでもOK。
これも味噌汁です。

お味噌いろいろ p26

味噌汁が日本人の健康な身体作りに貢献してきたことは間違いのないことでしょう。
江戸時代の『本朝食鑑』に「腹中をくつろげ、血を活かし、百薬の毒を排出する。
胃に入って、消化を助け、元気を運び、血のめぐりを良くする。痛みを鎮めて、よく食欲をひきだしてくれる。
嘔吐をおさえ、腹下しを止める。また、髪を黒くし、皮膚を潤す」とあります。

徳川家康は、味噌汁を好み、毎日欠かさず飲んで、当時としては驚異的な75歳の天寿を全うしました。
病気にかかったから対処する現代医学は効果がありますが、予防という観点では、伝統的な味噌の方が優れているように思います。
元気なうちにおこなう予防効果の証明は難しいですが、若い人、子供たちに味噌汁を飲む習慣を取り戻してください。
味噌は、腸内細菌によくはたらいて、体調を調節する機能を持つ食品です。

味噌の種類 p27

味噌には大きく分けて、大豆を主原料とする「豆味噌」、最もポピュラーな米麹と大豆を原料にする「米味噌」、
また九州地方などに多い麦麺と大豆を原料にする「麦味噌」、それに米麹を贅沢に使った西京味噌と言われる関西地方の「白味噌」があります。
また、それぞれの風土と伝統に育まれた、その土地ならではの豊かな風味を持つ、味噌が多くあります。
色の濃い順番にご紹介すると、次の 4 種類があります。
【豆味噌】
色は赤褐色で濃く、濃い旨みが特徴。
なかでも、伝統的な製法の東海豆味噌は2年以上と熟成期間が長く、大豆の旨みを凝縮した濃厚なコクと少しの酸味、渋み、苦みがバランスのよい味噌です。
甘みが少ないので、魚介によく合い、また夏場に重宝します。
【米味噌】
黄色味を帯びた淡色で、熟成期間が長くなるにつれ、濃い褐色になります(メイラード反応)。
一般的には、赤味噌と言われています。
もっとも標準的でバランスのよい味噌で、全国で造られ、淡色から濃い色まであります。
どんな具材にもよく合う味噌です。
【麦味噌】
淡色系のものから褐色まであり、麦の香ばしい風味が特徴です。
甘口・辛口があって全国のスーパーでも求められます。
九州地方では甘口の麦味噌は白味噌と呼ばれ、親しまれています。
どんな具材にもよく合う味噌です。
【白味噌】
色は、白っぽいたまご色です。
塩分が少ないのが特徴です。
米味噌は色の違いによって、赤味噌、白味噌と区別されます。
関西の白味噌は西京味噌とも言い、熟成期間の短かい早造りの味噌で、風味豊かな甘さを特徴として、正月の祝い事を始め、ご馳走料理に用いられます。
塩気が少ないのでその分使用分量は多くなって、とろみが強くクリーミーな汁になります。

p30

味噌の選び方
子供の頃から慣れ親しんだお味噌を基本にすればいいですが、もしなければ、伝統的な昔ながらの製法で造られた米味噌(赤味噌)をまずは選んでください。
見た目には、味噌の「冴え」と言いますが、濁りのないもので透明感のあるものを選んでください。
それは後口のよい、すっきりとした味噌です(値段の安い味噌には、新技術でひと月ほどで造るなど、極端にコストを抑えたものもあり、本来の価値のないものもあるので、ご注意ください)。
合わせ味噌
味噌は一種類をそのまま使っても、ブレンドして数種類を合わせて使ってもいいのです。
一般的に、夏場は甘みが少ないものが好まれ、冬場は甘みの強いものが好まれるようです。
赤い米味噌を基本にすれば、気温が下がると白味噌を混ぜて色を白っぽくします。
いつもの味噌汁にとろみがついて、温まります。
暑い夏場は、豆味噌を混ぜてもいいですが、味噌屋でブレンドして調えた「赤だし味噌」が売られています。
また、パックに少し残った味噌なども、ほかの味噌に混ぜて使い切ります。
味噌と醤油
味噌と醤油は同じ発酵食品です。
合わせると相乗効果でひと味おいしくなります。
旨み成分は味噌よりも、液体の醤油の方が多く含まれています。
具材を煮て、味噌を溶いた時、ちょっと物足りないと思ったら、醤油を少し垂らせばいいですね。
味がぎゅっとしまるので、最初から味噌を少なめに入れるというやり方もあります。

落とし卵といろいろ野菜の味噌汁 p36

具材
玉ねぎ、にんじん、かぼちゃ、アスパラガス、ベーコンなど

水分


味噌の種類
赤味噌

一人前のお味噌汁は、お椀に1杯分の食べやすく切った具材と、お椀に1杯分の水。
これを鍋に入れて中火にかけ、煮立てば、味噌を溶いた後、卵を小鉢に割り、そっと汁に入れて半熟程度に火を通します。
卵を入れてからの時間で、ほかの野菜も柔らかく煮えます。
かぼちゃなどが煮くずれても失敗ではありません。
その方がおいしいくらいです。
お椀によそう時は、半熟の卵はくずさないように最後に上にのせると、きれいに見えます。
[調理のポイント]

卵を小鉢に割ってから、煮汁が煮立ったところにそっと流し入れます。
卵が汁から飛び出していたら火が入りません。
煮汁の中に卵が沈むように整えます。

【落とし卵の作り方】
卵は、別鍋に沸かした湯 (3cmほど) の煮立ちを止めて、卵をそっと落として火を通すと落とし卵 (ポーチドエッグ) ができます。
湯に酢を入れるとタンパク質が凝固するので、白身が固まってよいとされていますが、表面が硬くなるので、私は入れません。
また、近年卵は鮮度がよくなっていますから散らばらず、酢は不要です。

炒めキャベツの味噌汁 p39

油で炒める
キャベツを油で炒めると甘みが出ておいしくなります。
私も好きでよくやります。
具材を油で炒めると、味噌汁はひと味グッと味わいが強くなります。
油脂も旨みと考えてください。
煮干しを入れるともちろんだしになりますが、食べればカルシウムを摂ることができます。
具材
キャベツ、ブロッコリ、鶏胸肉

だしが出るもの
煮干し(いりこ)

水分


味噌の種類
赤味噌
鍋に油と煮干し、適当にちぎったキャベツを入れて、中火(強め)にかけて焼き炒める。
焼き炒めるというのは、さわらず、焼き色がつくまで待つことです。
食べやすく切ったブロッコリ、鶏肉を入れて、水を入れます。
水を入れる時、鍋が熱くなっているため、とても大きな音がするので、注意。
キャベツが柔らかくなるまで煮て、味噌を溶いて、さらに馴染む程度に煮ます。
[調理のポイント]

【野菜炒め】
キャベツを炒める時、箸でさわりすぎると鍋の温度が下がって、焼き色もつかずに野菜から水が出てくることがあります。
野菜から水が出ると味を悪くします。
さわらず、焼き色がつくまで待つ。
待つことも料理です。
「焼き炒め」とは、フライパンなどで炒める意味ですが、焼くことを強調して言った言葉です。
片面からのみ火を通すことになりますが、熱の直接当たらない上部も蒸気で蒸されて、火は通ります。

鶏肉は、包丁の元でコツコツ叩いてから、切ると、火が通っても硬くなりにくいです。

豆腐と卵、白味噌が入った味噌汁 p44

具材
絹ごし豆腐、乾燥若布、えのき茸

水分


味噌の種類
赤味噌・白味噌

鍋にお椀1杯の水を入れてから、えのき茸を半分の長さに切って入れ、豆腐を(容器からそのまま)お玉を使って、まぁるくすくい取って、鍋にそっと入れます。
中火にかけてゆっくり煮立て、赤味噌と白味噌を加えたら、若布を加えます。
卵を小鉢に割ってから、そっと汁に入れて半熟程度に火を通したら、卵を割らないようにお椀によそいます。
[調理のポイント]

いつも使っている赤味噌に、白味噌を合わせることで、味噌汁に甘さととろみをプラスできます。
麹がたっぷりの白味噌は塩味が薄いので、少し多めに使っても塩気は気になりません。

お豆腐は口当たりのいいのは絹ごし豆腐、しっかり豆味のあるのは木綿豆腐です。
好みでどちらでも構いません。
お店によっては、柔らかい木綿豆腐もあります。
豆腐もいろんなものがありますから、自分がおいしいなと思うお豆腐を見つけてください。

野菜とソーセージの味噌汁 p48

具材
トマト、きゅうり、赤ピーマン、玉ねぎ、かぼちゃ、パセリなど
ソーセージ

水分


味噌の種類
赤味噌
具にしたソーセージは食べ応えがあり、また、だしもよく出ます。
食べやすく切った野菜(パセリ以外すべて)と、お椀1杯の水を鍋に入れて火にかけます。
煮立てば、野菜の中でも硬そうな野菜、この場合は大きめに切ったかぼちゃが一番火が通りにくいですから、串を刺して硬さを確かめて味噌を溶きます。
パセリを最後に入れて、馴染む程度に煮ます。
[調理のポイント]

水分を多く含む野菜は、煮ると野菜から水が思っているよりもたくさん出てくるので、最初から水分は少なめにするとよいでしょう。
逆に水分が足りないなと思えば、後から追い足せばいいです。

かぼちゃや赤ピーマンなど種は除かずに煮込みます。
種やワタからは旨みが出ますし、食べられないものは、食べながら除いてください。

里芋と油揚げの入った味噌汁 p51

油揚げで乳化
里芋に、大根、椎茸、根菜を集めると和食らしい味噌汁になります。
油揚げは昔から味噌汁のよき相棒。
旨みがぐんと増す食材で、ひと味奥行きが生まれます。
油揚げは食べ応えがあって、何にでも使えるので常備してもいいですね。
具材
里芋、大根、椎茸、ピーマン、油揚げなど

だしが出るもの
煮干し(いりこ)

水分


味噌の種類
赤味噌

トッピング
七味唐辛子
具材はそれぞれ食べやすく切ります。
お椀1杯のすべての具材、煮干し、お椀1杯のお水を鍋に入れて、中火にかけます。
煮立てば、里芋などの火の通りが遅い食材の煮え加減を確かめて、だいたい通っているなと感じたら、味噌を溶いて、さらに馴染む程度に煮ます。
お椀によそい、好みで七味唐辛子をかけてもいいでしょう。
【調理のポイント】

秋の新物の里芋であれば皮もむきやすいのですが、皮がむきにくいなと思ったら、包丁で面取りするように皮をむきます。
味噌汁では厚さ 7 ~ 8m くらいに切ります。

大根は皮付きのまま煮て大丈夫。
鉛筆を削るように(ささがき)、斜めに削ぎ切ると手早くできます。
生椎茸は、鮮度のよいものは軸をくるりとひねれば手で取れます。
軸の先端の硬いところだけ切り落とし、後は小さく切るか割いて、味噌汁に入れてしまいます。

デンプン質の多い根菜は、水から煮始めるのが基本です。
熱湯から入れると、表面が固まって壁になり、火が入りにくくなります(ただし、小さく切った時は、熱湯から入れた方がよいこともあります)。

火の通りにくい具材は、中火にかけてゆっくりと煮立て、時間をかけることで柔らかくします。
しかし、油脂の入った味噌汁の具は、しばらく強火にして煮立てることで、油と水が乳化してとろみになって、おいしくなります。

そうめんの入った味噌汁 p55

麺でボリュームアップ
茹でたそうめんを味噌汁に入れて、ボリューム感を出します。
当たりよく、食べやすいものです。
ご飯が少ない時、またご飯がなくても、そうめんを入れたこのひと碗に、一汁一菜の内容がすべて揃っています。
具材
赤パプリカ、トマト、オクラ、そら豆など

炭水化物
そうめん(茹でて取りおいたもの)

水分


味噌の種類
赤味噌
具材はそれぞれ食べやすく切ります。
お椀1杯の具材、お椀1杯の水を鍋に入れて、中火にかけます。
煮立てば、味噌を溶いてから、茹でおいたそうめんを適量入れて煮込みます。
お椀によそい自分で味噌を補い、汁に溶きながら食べるのもおいしいです。
【調理のポイント】

茹でたそうめんは、しっかりと押さえつけて水気を除き、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保管すると日持ちします。
固まったそうめんはさっと水洗いして味噌汁に加えます。

【そうめんの茹で方】
鍋に湯を沸かして、そうめんを入れ、再び煮立ったところに差し水をして煮立ちを止めます。
再び煮立てば、およそ火が入っていますが、少し煮たところで湯切りして水に取り、冷めれば、流水でもみ洗いしてぬめりをしっかり取ります(冷やしそうめんは、そうめんつゆで食べます)。

オクラは二つに切って入れました。
切り口からぬめりが出ますが、少しであれば気になりません。
煮物にする時は丸ごと煮ます。
オクラの塩揉みは不要です。

すいとんの味噌汁 p59

小麦粉のお団子
小麦粉を柔らかく練ったお団子を「すいとん」と言います。
すいとんはその練り方で硬さが変わります。
すいとんを練る小麦粉がとろみになって、とろりと温まるお汁になります。
ひと椀で、一汁一菜の要素を満たすお料理です。
玉ねぎ、にんじん、ハム、枝豆(茹でたもの)など

炭水化物
すいとん (すいとんの材料 2 人分:小麦粉 100g 、水大さじ 3 ~ 4 ほど、胡麻油大さじ 1 )

水分


味噌の種類
赤味噌
玉ねぎとにんじんは薄切りにします。
鍋に人数分の水、にんじん、玉ねぎ、ハムを入れて中火にかけて煮立てます。
汁が煮立つ間に、すいとんの生地を作ります(左ページ参照)。
鍋にすいとん生地をスプーンで落とし入れ、すいとんが透きとおるまで煮ます。
彩りに枝豆を入れ、味噌を溶いて全体を馴染ませます。
【調理のポイント】

【すいとんの作り方】
ボウルに小麦粉を入れて、水を少量入れてはスプーンなどで底から上に大きく 1 ~ 2 回混ぜる作業を繰り返す。
これを繰り返し、徐々に混ぜる回数を少なくして……大まかに粉をまとめ、最後に香りのよい胡麻油を入れ、軽く混ぜます。
これを味噌汁に落として煮ます。
すいとんは、あまり大きく作ると火が通りにくくなります。

p75

かぼちゃなどの野菜の種やワタは、きれいに除くのが日本料理だと昔、言ってきましたが、毎日の食事であれば、全部用いることが大事だと思います。
手間を省くというわけではなく、野菜の種の周りや、魚や肉の骨の周りはおいしいものです。
それは栄養価値もあるからです。

p93

【肉に火を通すこと】
お肉(鶏や豚)は、火が通りやすく、かつ食べやすく、小さく切ります。
火を通しすぎると肉が硬くなると言いますが、それは強火で短時間で火を通そうとした時に硬くなるのです。
その辺りを知って、先に入れるならあまり煮立たせないようにすることです。
煮汁が煮立ったところに入れるなら、火を弱めて煮立ちを止めたタイミングで入れて静かに火を通します。
強火にしない方が、肉の組織に傷がつかなくて、優しい感じに仕上がります。

厚揚げと白菜の味噌汁 p91

くたっと、柔らかく煮た白菜はおいしいものですね。
油揚げが入ると味わい深くなるものです。
白菜を柔らかく煮てから、味噌を溶きました。
ベースの味噌汁
煮干し、水、赤味噌

具材
白菜、厚揚げ
鍋に白菜と煮干し、水を入れて、煮立て、厚揚げと一緒に柔らかくなるまで煮てから味噌を溶いて、しばらく煮て馴染ませます。
【この味噌汁から学ぶこと】

油揚げには薄揚げ、厚揚げがあり、形も地方色があります。
油揚げは和食の野菜料理には頻繁に使われます。
肉や魚が西洋料理の主菜とすれば、油揚げは和食の主菜に当たります。
豆腐を高温の油で揚げたものですから、調理に使えば、油が滲み出て、ひと味おいしくなります。

油揚げは日本のベーコンと考えてもよいでしょう。
油揚げを入れる場面では、代わりにベーコンや豚肉、ハム・ソーセージに変えてもよいということです。
同じ油脂であっても、油揚げが一番優しい食材だと思います。

さつま芋の味噌汁 p100

さつま芋は一年中あるように思いますが、夏の終わりに新芽が出始めます。
ねっとりしたさつま芋もおいしいし、ほっくりした芋もありますね。
出始めの芋が赤いと皮を残したくなりますが、皮を全部むけば口当たりがよくなります。
むく、むかない、ところどころむく、いろいろあります。
焼き芋を味噌汁に入れたってよさそうですね。
ベースの味噌汁
昆布、煮干し、水、赤だし味噌

具材
さつま芋、青ねぎ
芋類は厚めに切って、水から煮るのがセオリーです。
昆布、煮干しと一緒に煮てください。
芋が柔らかくなれば味噌を溶き、青ねぎを入れます。
【この味噌汁から学ぶこと】
関西でねぎと言えば、青ねぎを指し、関東でねぎと言えば、白い根深ねぎを指すようです。
青ねぎは生でもよく食べる野菜ですから、大きめに切って味噌汁に最後に入れて、さっと火を通します。
甘いさつま芋に青ねぎはよく合います。

ひねり小芋と油揚げの味噌汁 p108

和食で芋といえば里芋を指します。
稲よりも歴史が古く大昔から先人が食べていたものです。
ひねり小芋とは、泥を落とした里芋を柔らかく茹で、里芋の皮をつるりとむいて、キッチンペーパーなどに包んで、ぎゅっと握り半潰しにしたものです。
潰すことで汁とよく馴染みます。
それだけでおいしそうだと思いませんか。
ベースの味噌汁
煮干し、水、白味噌、赤味噌

具材
茹でた里芋、油揚げ
ベースの味噌汁に油揚げを刻んでひねり小芋を入れました。
いったん冷めた芋は硬いので、味噌汁で煮てゆっくり中まで温め直します。
白味噌を加えてとろりと甘めの味噌汁に仕立てました。
吸い口に練り辛子、七味もよく合います。
【この味噌汁から学ぶこと】

【里芋の茹で方】
里芋の泥を洗って、鍋に入れてかぶるくらいの水で柔らかく茹でます。
煮立ってから25分ほどで柔らかくなるでしょう。
茹で上がればそのまま粗熱がとれるまで冷ますことで、しっとりします。
柔らかく茹でた里芋は味噌をつけて食べるだけでもおいしいもの。
パン粉をつければコロッケです。
小芋のコロッケには、味噌(刻んだねぎを混ぜて)がよく合います。
片栗粉をまぶしてじっくりと油で揚げて、天つゆに大根おろしもいいですね。
どの料理もキュッとひねった方が味が馴染んでおいしいものです。

菜の花の味噌汁 p122

[材料]
菜の花、油、ベースの味噌汁(煮干し、水、赤味噌)

[作り方]
菜の花は食べやすい大きさに切り、鍋に油を少量ひいて軽く炒りつけるように焼きます。
別に「ベースの味噌汁」を用意し、赤味噌を溶き入れたら、お椀によそい、菜の花を加えます。

p211

米を炊けばご飯。
ご飯についた黴(かび)が麹菌、蒸したご飯に麹菌が繁殖したのが米麹(こめこうじ)です。

昔は田んぼの周囲に大豆を植えていました。
稲と大豆は仲良しです。
大豆とは、夏に食べる枝豆のことで、秋になれば熟し、干されて白っぽく丸くなったのが乾物の大豆です。
ちなみに大豆を煎って粉にしたのが、お餅や団子にかけるきなこです。

味噌の材料は、茹でた大豆と米麹と塩。
発酵して、長期熟成したのがお味噌です。
具を煮た鍋に味噌を溶けば味噌汁です。
湯に味噌を溶いただけでも味噌汁です。

玄米を精米する時に出た粉が米糠(こめぬか)です。
米糠に塩と水を入れた漬け床に、野菜を入れて、発酵したのが糠漬けです。

p217

「味噌をお湯で溶く」
「溶いたものという基本から、その先は、自分で目的に合った方法を、思い思いに(組み合わせて)プラスして味噌汁は発展させることができるのです。
自分で工夫すればいいと思います。
繰り返しますが、味噌汁がおかずになるように、「油の旨み」と「コク」を出したければ、具材を植物油で炒める。
だしの出る食材(きのこ、油揚げ、ベーコン、脂のある肉、魚)を入れる。
一方、味噌汁だけを味わいたいなら、だし汁(昆布、煮干し + 水)に味噌を溶く。……という具合です。