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「入社1年目の教科書」を読んだ

投稿時刻2024年4月5日 16:49

入社1年目の教科書」を 2,024 年 04 月 05 日に読んだ。

目次

メモ

p35

同じようなことは、いわゆる「カバン持ち」にも言えると思います。
カバン持ちという言葉から連想されるイメージは、若いビジネスパーソンにとって忌避すべきものかもしれません。
でも、そう嫌がることでもないのです。

課長、部長、役員が、取引先の偉い人に会いに行く場面がそれぞれあると思います。
そのとき、こうお願いしてみてはいかがでしょうか。

「ご迷惑でなければ、一緒に連れていってください」

上司は、そうした機会があっても、わざわざ部下に声をかけるようなことはしないものです。
もちろん、面会の趣旨によっては「ちょっと困る。別の機会にしてくれないか」と言われるケースもあるでしょう。
しかし、たいていの場合は「構わないよ」という返事が返ってくると思います。

リップルウッド・ホールディングスに勤務していたころのことです。
CEOのティモシー・コリンズ氏が、日産自動車のカルロス・ゴーン氏に会いに行く機会がありました。
絶好の機会と考えた僕は、同行を願い出ました。
あっさりとオーケーが出たことにも驚きましたが、訪問したゴーン氏側も「お付きの人が一緒に来たな」程度にしか思わなかったようです。
受付で「ゴーン会長とのアポイントです」と伝えると、「取材ですか?」と聞かれました。
これほど若い面会者は、マスコミ以外いなかったのでしょう。

もう10年ほど前の話ですからオープンにしても差し支えないと思いますが、その面会の趣旨は、日産自動車に大きな子会社を売ってもらえないか相談する、というものでした。

面白かったのは、応接室に入ってからかなりの時間が経っても、まったく仕事の話を始めないのです。
「奥さんは元気かい?」「お子さんはどうしている?」などという話をしているのです。
場が和んでくると、ゴーン氏はこんな話をしました。
「この間息子が帰ってきて、こんなことを言うんだ。
『パパの会社は一番じゃないの?お前の父さんの会社が一番ではなくて、トヨタが一番なんだぜと友だちに言われてすごく悔しいから、パパ一番になって』。まいったよ、ハハハ」

一方のコリンズ氏も、際どい話題を投げかけます。
「この間ビル・フォードに会ったんだよ。フォードに来てほしいって言われたんだけれど、カルロス、きみフォードに移るかい?」

延々とそうした話をしてから、最後にようやくビジネスの話に入ったのです。

このようにしてトップ同士の対談は進むものだと、肌感覚で学ぶことができました。

名のあるビジネスパーソンは、ビジネスディールのときにこういう話をするのか。
商談というものはこんな具合に構成し、展開していくのか。
カバン持ちをすることで、一流の経営者が持つ視点やビジネスマナー、立ち居振る舞いを学べるのです。

p48

移動中の車内で、皆さんは何をしていますか。

僕はメモ帳を広げることがしばしばあります。
一日を通じて気づいたことについて復習するためです。

仕事中に取ったメモを読み返し、新たに気づいたことがあれば、メモに書き込んでいきます。
そして、あとからもう一度その内容を読み返します。
そうすることで、気づきや学びを定着させることができます。
どんな些細な仕事でも、必ず気づきや学びはあるはずです。
まずは自分の仕事のヒントとなるようなことを、どれだけ多く気づくことができるか。
「気づき力」のような感性を磨く必要があります。

復習をする意味がもう一つあります。
覚えたこと、学んだことを自分のスキルとして定着させるのです。

p59

若いうちは、とにかくアポイントを入れるようにしてください。
期日を設定することで仕事のスピードが上がります。
スピードが上がれば、数をこなすことができるようになります。
そして、外部の人にたくさん会うことで現場感覚が身につき、洞察力も高まります。
若者らしい付加価値がつけられるだけでなく、知らないうちに経験が蓄積され、成長を加速させることにつながるのです。

p60

あいさつが大事だということは、誰もが指摘することです。

「おはようございます」

朝のあいさつは元気良く大きな声ではっきりと言ってください。
上司や先輩が「おはよう」と言ってオフィスに入ってきたら、大きな声で「おはようございます」と返してください。

「小学生に言うような当たり前のことを言わないでくれ」とあなどらないでください。
あいさつをしない人、もごもごとつぶやくだけの人が多いのが現実なのです。
社会人として成長していくうえでは、当たり前のことを当たり前にできるということが、最も大切なことなのです。

p146

社会人にとって、言葉遣いのよし悪しは死活問題です。
言葉遣いによって、第一印象は決まってしまいます。
ビジネスパーソンにとっての敬語は、会社の全体像を把握するのと同じぐらい重要です。
最も基本的なビジネススキルだと考えて差し支えありません。

敬語を習得する近道は、外国語だと思って勉強することです。

知らない言語を学ぶのだと、割りきって覚えてしまいましょう。

ある一定のパターンがあるので、敬語について書かれた本で基本的なことは勉強できると思います。
英語の勉強のところでお話しした通り、確実に身につくまで時間をかけることが大切です。
敬語の習得に関しても、努力すればした分だけ確実にスキルアップするものです。

p150

その一方で、社外の人には年下でも敬意を払います。

ソーシャル・ネットワーキング・サービスのグリーを率いる田中良和社長と懇意にしているのですが、学年でいうと彼は僕の2年下です。
親しくしているのですが、僕は彼を決して「田中くん」とは呼びません。
優れた実績を上げている経営者として敬意を持って、会話でも敬語を使うことを心掛けています。

彼も僕を「岩瀬さん」と呼んでくれています。
あそこまで大成功を収めると、友人になったら「タメ語」になる人が多い中、敬語を使う姿勢をいまだに崩していません。

僕が苦手なのは、初対面やそれほどよく知りもしない段階で、年齢だけを基準にして無条件に偉そうにする人です。
社会の中では僕などまだまだ若い部類ですから、年上の方とのおつき合いのほうが多い。
だからと言って初対面で「いや、岩瀬クンはさあ~」と言われるのは、正直あまり心地よくありません。
自分がそうされたいということもありますが、知らない人にはやはり丁寧に接すべきだと思います。

会話以外で相手との距離感に気をつけるべき場面は、メールでの敬称です。
若い人にありがちなのは、社外の年齢や立場が上の人と仲良くなったり、可愛がってもらうと、相手と接近したと勘違いしてしまうことです。

学生向けの講演会に呼ばれ、講演のあとの飲み会で仲良くなった学生から、こんなお礼のメールが届きました。

「岩瀬さん、昨日はありがとうございました。また飲みに連れていってください!」

そのメールの返事に、僕はこう書きました。

「○○様、昨日はお疲れ様でした」

よそよそしいと思いますか?
社会人の礼儀として、仕事上のつき合いの関係では、一定の距離感を持って接することが望ましいとされています。
もちろん、相手に悪気がないことはわかっています。
しかし、若い人は勝手に仲良くなったと勘違いし、つい近寄り過ぎる傾向があるようです。
僕が「○○様」とメールを返したことで、学生はその距離感に気づいたと思います。

相手との距離感を誤らないように気をつけてください。
若い人にとっては苦手なところかもしれないので、仲良くなっても距離感は少し遠めにしておいたほうが無難かもしれません。

p182

ビジネスパーソンが気を配るべきコンディショニングのうち、睡眠と同じように重要なものがあるのですが、それは何だと思いますか。

まずは食事です。

朝ごはんは、毎日必ず食べてください。

以前から、若者が朝食をとらないと言われています。
その習慣が身に染みている若いビジネスパーソンにも、朝食をとらない人が増えているといいます。

朝ごはんを食べないことによる弊害は、様々に指摘されています。
食べる時間がないのなら、15分早く寝て、15分早起きしてでも食べてください。

本当なら、夕食を軽めにしたほうがいいというアドバイスもしたいのですが、まずは朝ごはんを食べることだけでも徹底してください。

p202

思いきって、仕事上の悩みは、会社や仕事に関係ない人に相談してはいかがでしょうか。
利害関係のない人、自分とは目線や立場、考え方の違う人の話を参考にするのです。

僕の場合は、他社の先輩経営者にアドバイスを求めます。
彼らは、かつて僕が悩んでいる問題に直面し、くぐり抜けてきた人たちです。
その経験を踏まえた助言をもらえると考えたからです。

例外はあると思いますが、25歳の人には25歳なりの経験しか持っていません。
同世代に悩みを相談しても、経験に裏づけられた具体策はなかなか出てこないものです。

それに対して、35歳の僕だったらこんなことが言えると思います。

「きみは十分頑張っているよ。25歳はこんなものだから、悩まなくて大丈夫」

「確かにそういうときもあるよね。僕はこうやって乗り越えたよ」

社外、年上、目線の違う人。
そういう人を探してください。
見つからなければ周囲を見渡してください。
思い当たりませんか。
あなたのご両親です。
意外な観点からのアドバイスをしてくれるかもしれません。
一人思い悩むより、周囲を見渡して意外な人に相談してみることです。

p219

社会人にとって最も大切な命題は、自分の能力を最大限引き出すことです。
最大になった力を、勝負どころに注ぎ込むのです。
勝負どころを知覚する能力は、アドバイスを聞いたり、経験を積んでいくことで高まっていきます。
自分の力の及ばない予兆に敬意を払い、ついているときを勝負どころと捉えることも必要でしょう。
ただ、それを待つだけでは成長は早まりません。
会食の事例で言えば、勝負どころかどうかわからければ、初めての機会はすべて参加するのです。
自ら経験することで、大事な局面か否かを判断する能力が培われていくのです。

p232

仕事とは、未知の分野への挑戦の積み重ねです。
それを自分の血肉としてはじめて、社会人としての的な成長が望めるのだと思います。
そして、勝負どころでチャンスをつかめた人が、より大きな次のチャンスの切符を手にするのです。
その積み重ねが、あなた自身の成長にもつながっていくのです。

挑戦するためには準備が必要です。
しかも、正しく洗練された準備でなければなりません。
来るべき「勝負どころ」をつかみ、近い将来飛躍できる人になるためには、準備の方法を理解し実践する以外にないと思います。