「農家が教える ニワトリの飼い方」を2025年07月08日に読んだ。
目次
メモ
小屋 p7
小屋のサイズは最大5羽を目安に1畳分(180×90cm)。
隣の敷地との境は草ぼうぼうだったが、きれいに食べつくした。
地面から獣に入られないように深さ30cmくらいの穴を掘ってブロックを1段分埋めた。
側面2面は雨風よけのためベニヤ板を張った
p15
30a(ハウス2棟)でウコッケイ20羽、ボリスブラウン25羽、白色レグホン5羽、岡崎おうはん4羽、チャボ2羽です。
草取りを目的とすれば、10a5~10羽で十分だと思います。
p23
ニワトリの祖先は、ヤケイと呼ばれる野生ニワトリの一つ、「セキショクヤケイ」だといわれている。
東南アジアやインドで家畜化され、約2000年前、弥生時代に日本に渡った。
その後、稲作の伝播とともに日本各地に広まり、その土地独特の地鶏になっていった。
ニワトリは長い間、闘鶏や時計代わり、愛玩用のペットとして、庭先で放し飼いにされてきた。
江戸時代からは、卵や肉の生産のために、たくさんのニワトリを飼う養鶏産業が興った。
一方、江戸中期からは、チャボやウコッケイなどの多様な品種が観賞用としても珍重されていく。
明治以降、養鶏はさらに盛んになり、白色レグホンなどの外国種を導入したり、名古屋種などの地鶏を外国種と交配するなど、ニワトリの改良が進んだ。
そして、現在の採卵専用のニワトリは、60gくらいの卵を1年で300個以上産み、肉用のブロイラーは2ヵ月で約3kgにも育つ。
祖先のセキショクヤケイは、体重は500~600gで、20gの卵を年に20~50個しか産まないというから、すごい改良が行なわれたことになる。
(参考:『ニワトリの絵本』『農業技術大系 畜産編』(農文協))
じつは高い消化能力!? p29
ニワトリは体重を1kg増やすのに2.5kgの飼料で済むといわれる。
豚は5kg、牛は10kg必要とされる。
分解しやすい栄養は素早く体内に取り込み、消化・吸収に時間のかかるものはさっさと排泄。
空を飛ぶために進化した鳥類ならではの、見極め能力かもしれない。
ニワトリは、一生のあいだに何個卵を産むの? p30
卵用の品種の場合、メスのニワトリは生後5ヵ月目ごろから卵を産み始め、6~7カ月目になると毎日のように卵を産む。
その後だんだん産む数は減るものの、約7年間は卵を継続的に産み続け、一生のあいだに全部で1,500個くらい産卵する能力を持っている。
ただし、現在の大規模な養鶏場では、産卵の減る1年半~2年目をすぎたニワトリは効率がよくないので食肉処理される(廃鶏)。
エサはばらまきで糞出し不要 p39
エサは地面に直接ばらまいています。
そうすることにより、糞と一緒にエサを食べるので、鶏糞がほとんど溜まりません。
糞には60%ほど栄養が残っているので効率的であり、ニワトリがついばんだり蹴散らかしたりすることで、鶏糞のニオイもほぼ気にならなくなります。
私はここ20年で1回しか鶏糞を取り出していません。
手間のかからない方法です。
イネの育苗ハウスでもできる p39
もしニワトリ(自分の地域の地鶏など)を飼うのであれば、イネの育苗ハウスでも十分可能だと思います。
有効活用にもなります。
初めは20羽程度から始めてみてはいかがでしょう。
隣家に気を使わなければいけないのであれば、鳴き声が小さいメスだけにするといいでしょう。
ただし売り先をきちんと探してから始めるのがいいと思います。
また全国どこでも解体する業者がいると思いますので、自分で探してみてください。
p50
生ゴミを毎日鶏小屋に持っていくと、食べたいものはニワトリが食べ、そうでないものは、土とかき混ぜ、発酵処理してくれる。
コーヒーフィルターも分解される
多様な発酵の中でニワトリを飼う p54
「掃き溜めに鶴」というけれど、掃き溜めはまさにニワトリの天下です。
ミミズやゴキブリのような、腐敗からわいてでた虫は大好物。
糞入り泥水はうまそうに飲む。
腐った魚は血を出して争う。
まったく不衛生きわまりない。
なぜあんなに汚いものを食べても下痢一つしないのか。
ニワトリは病原菌を大いに食べる。
またそれに匹敵する有効な微生物もふんだんに食べる。
それこそがニワトリが生き残ってきた、食性の姿に違いない。
養鶏をするということは、どこまで多様な発酵にニワトリを関わらせるかだろう。
そこで私は2種類の発酵飼料をつくり、ニワトリに与えるようになりました。
一つが、おからを主体にした乳酸発酵飼料(嫌気性発酵飼料)。
もう一つが米ヌカの好気発酵飼料です。
緑餌って何がいいの? p60
「緑餌」とは、草や野菜、果物などの生の植物のエサのこと。
ビタミンやミネラル、繊維質が豊富で、ニワトリの健康維持に役立つといわれている。
51ページの岩崎奈穂さんは、とれすぎた野菜を丸ごと鶏舎の床にばらまく。
「かぼちゃやだいこんを丸ごと放り込むというと、多くの人がびっくりされます。
丸ごとやってもちゃんと食べます。
緑餌は、ニワトリ本来のつつく、ついばむという行動を満足させる役割もあると思います」。
市販の配合飼料には、ニワトリに必要なビタミンやミネラルがあらかじめ入っていることが多いが、自分でエサを配合して与える場合は、それらが不足しがち。
緑餌も組み合わせてビタミンミネラルを補うとよさそうだ。
どれくらいやればいい? p60
緑餌の量は養鶏農家によってさまざま。
これといった決まりはない。
ただ、大量に与えすぎると、メインの穀物などのエサを食べる量が減ってしまい、産卵が少なくなったり、やせてきたりしてしまう。
「おやつ」のような位置づけと考えるのがよさそう。
2週間以上保存した卵を孵化させる方法 p69
卵を2週間以上保存するときは、鋭端を上にし、モミガラを敷き詰めた箱の中に並べる。
その箱をポリ袋の中に入れ、できるだけ空気を抜いてから封をして貯蔵する(卵、つまり胚の呼吸を抑制し、活力を維持するため)。
産卵から2週間以上の時間が経った分、孵化率は低下するが、50%程度は孵化してくれる。
飼料米10haを全量エサに p77
私は富山県富山市土という小さな集落で、平飼い養鶏と棚田での有機米づくりを主軸にした有畜複合循環型農業を営んでいます。
土遊野では現在、有機米21ha、その他野菜や麦類5haで、すべて自家鶏糞堆肥を活用して有機栽培しています。
また飼料米を10haほどつくり、全量を土遊野のニワトリのエサにしています。
平飼い養鶏は、採卵鶏を約1200羽と肉用鶏約800羽を飼育。
卵や鶏肉、有機米やその他農産加工品はすべて地元食品店やネットで直売しています(卵は1個60円前後)。
高病原性鳥インフルエンザは怖い? p86
近年は高病原性鳥インフルエンザの流行が大きな問題となっている。
流行時期は秋から春にかけてで、カモなど等の野鳥(渡り鳥)が保有している鳥インフルエンザウイルスが、ニワトリ等の家禽に繰り返し感染する中で強毒化すると推測されている。
発生場所は、ニワトリが大量に密集して飼育されている大規模養鶏場がほとんど。
風通しのいい場所で、ゆったりと飼育する庭先養鶏では、いわゆる三密(密集、密閉、密接)になりにくく、ニワトリも健康で病気にもかかりにくい。
過剰に心配しなくてもよさそうだが、近隣で鳥インフルエンザが発生したときは、都道府県の指示に従おう。
(参考:『農業技術大系 畜産編』、『家畜飼育の基礎』『だれにもできる自然卵養鶏』『発酵利用の自然養鶏』『草刈り動物と暮らす』(農文協))
元気のないニワトリに唐辛子水 まとめ・編集部 p86
高知県のIさんは、ニワトリの病気予防に唐辛子を使う。
羽のツヤがなくなったり、とさかが黒っぽくなるのは病気になりかけの印。
こんなニワトリがいたらすぐに捕まえて口を開けさせる。
そして乾燥させた唐辛子1本を砕いてオチョコ1杯の水に入れたものを、無理やり一気飲みさせる。
すると、食欲が旺盛になり、元気が戻るのだとか。
また、普段もニワトリの飲み水5lに対して10本ほどの唐辛子を入れておく。
エサにも砕いた唐辛子を適当に混ぜてやる。
黄身の色を濃くする効果もある。
養鶏場で直売100%を目指す p127
現在、1日の産卵数は200~300個です。
販売方法はネット通販が2割、飲食店卸が1割、地元の個人宅配が1割、残りの6割は委託販売(数カ所)です。
じつはこれらの販売方法はベストではなく仕方なくやっています。
理想の販売方法は養鶏場にて、高価格で100%直売することだと考えています。
ネット通販は梱包の手間、個人宅配は配達の手間がかかります。
委託販売は委託手数料がかかります。
一方、養鶏場で直売できればそれらがなくなります。
理想のトレーサビリティを実現できるので、お客様に安心して卵を買っていただけます。