「小さな習慣」を 2,024 年 07 月 14 日に読んだ。
目次
- メモ
- 小さな習慣は、ばかばかしいほどステップから成り立つ p34
- 習慣は繰り返すことによって身につく p37
- p46
- モチベーションが信頼できない理由 p66
- モチベーションを上げたいと思ってはいけない p68
- p71
- モチベーションと感情に頼らない「熱意減退の法則」 p72
- p136
- 報酬は意志の力を回復させる p176
- すべてを書き留めておく p178
- p194
- 意志の力の消耗を和らげる小さな習慣 p195
- 小さな習慣をやりすぎないための注意 p200
- 1.決してごまかさない p204
- 5.強い抵抗を感じたときは、後戻りして小さく考える p210
- 7.ステップが小さすぎるとは決して考えない p216
- 8.あまったエネルギーと野心はおまけに使う。目標は大きくしない p217
メモ
小さな習慣は、ばかばかしいほどステップから成り立つ p34
小さな習慣とは、あなたが新たにしたいと思っている行動を、もっともっと小さい形にしたものです。
毎日100回の発立てが目標なら、毎日1回の腕立て伏せをする。
毎日3000ワードの文章を書くことが目標なら、毎日50ワードを書く。
いつもポジティブに考えたいのなら、一日にふたつポジティブなことを考える。
起業家として人生を送りたいのなら、(たくさんの発想が可能な中で)一日にふたつのアイデアを考え出す、といった感じです。
小さな習慣は、“ばかばかしいほど小さなステップ”から成り立ちます。
小さなステップというコンセプト自体は新しいものではありません。
ただ、その小さなステップが、なぜうまくいくのか、どう作用するのかについては、これまで十分に分析されてきませんでした。
もちろん、何が“小さな”ステップになるかは人によって違うでしょう。
あなたにとっては小さな一歩でも、私にとっては大きな謎かもしれません。
“ばかばかしいほど小さい”と声に出して言ってみれば、その行動が本当に小さなステップかどうかがわかるでしょう。
あなたがすでにできる多くのことに比べて、ばかばかしいほど簡単に聞こえるとすれば、それは間違いなく小さなステップです。
小さな習慣には多くの長所があります。
応用の幅が広く、いつもポジティブな気持ちでいられます。
ひとつの達成が次の達成につながり、つねに成功できるため、自然に自己肯定感が高まります。
もちろん、小さな習慣として始めた行動がやがて本物の習慣に変わっていきます。
そして、これはあとから説明しますが、小さな習慣にはもともと力が備わっています。
これは、見た目にはシンプルでも、実はうまく考え抜かれた生活改善の方法なのです。
小さな習慣の基本は、こんなに簡単でいいの?と思うくらいの課題を自分に与え、それをほんのわずかな意志の力を使って実行するというものです。
腕立て伏せを1回するのに、あるいはひとつかふたつのアイデアを思いつくのに、それほど強い意志は必要ありませんよね。
小さな習慣を使えば、驚くほど大きな成果が得られます。
まず、小さな課題をこなしたあとに、ほとんどいつも“おまけ”でもっと多くをこなせます。
これは、私たちがすでにポジティブな行動を望んでいて、いったん始めてしまえば、やりたくないと抵抗する気持ちも弱まるからです。
そして、小さな習慣として始めた行動は徐々に生活の一部になっていきます。
たとえ自分で決めた目標を毎日上回れなくても、その行動は(小さな)習慣に育ちます。
そうなれば、“おまけ”を加えるのも楽になり、やがて小さな習慣から大きな習慣へと成長するでしょう。
この方法のもうひとつ優れた点は、つねに成功できることです。
2008年の金融危機のころ、銀行は「大きすぎて潰せない」という言葉がありましたが、小さな習慣の場合は「小さすぎて失敗するわけがない」といえます。
そのため、目標を達成できない自分への失望感や罪悪感に悩まされる心配もありません。
なんといっても、最初から毎日の成功が約束されているのですから。
つねに目標を達成できることが励みとなり、さらに続けようと思うポジティブなサイクルが生まれます。
私は小さな習慣から、立ち止まらずに進み続ける力をもらいました。
以前には、始めることさえできないと感じていたのですから、これは大きな変化です。
習慣は繰り返すことによって身につく p37
それでは、すぐにでも毎日の生活に小さなステップを取り入れるといいのでしょうか?
確かにそうなのですが、生活を形作るのは習慣ですから、それを利用しない手はありません。
私が「腕立て伏せ1回チャレンジ」を通して小さなステップの力を発見したときには、自分の特別な力に気づいたスーパーヒーローにでもなった気分で、「この力はどう使うのがいちばんいいだろう?」と考えました。
その答えが、習慣にするというものでした。
習慣ほど重要なものはありません。
ですから、この本でも小さなステップに分けて習慣を築いていく方法に取り組みます。
デューク大学の研究によれば、私たちの行動の約45パーセントは習慣で成り立っているそうです。
実際には、45パーセントという数字以上に重要ともいえるでしょう。
なぜなら、習慣とはしばしば(多くの場合は毎日)繰り返される行動のことをいい、その積み重ねが将来の大きな成功または失敗につながるからです。
毎日1000ワードの文章を書き続けると、1年に36万5000ワード書く計算になります。
これは5万ワードの小説7作分に当たります。
レフ・トルストイの58万ワードの超大作『戦争と平和』に比べれば、ささやかなものかもしれませんが、わざわざトルストイと比べる必要もないでしょう(トルストイならなんと言うか、意見を聞いてみたいところです)。
p46
行動が習慣になるまでにかかる日数は平均66日――これはあくまでも平均値で、実際には18日から254日と大きな幅がありました。
何かの行動が自動化されるまでの時間には大きな個人差があり、場合によっては非常に長い時間がかかります。
21日で本当に習慣が身につくのならうれしい話ですが、それほど早く達成できる習慣はあまり多くはないでしょう。
毎日グラス1杯の水を飲むことなら21日で習慣になるかもしれません。
毎日腹筋を100回するなどもっとむずかしい課題になると、習慣になるまでには200日以上かかるかもしれません。
でもご心配なく。
悪い知らせはここまでで、次にはよい知らせが続きます。
習慣はすぐには身につかないと同時に、すぐに消えてしまうものでもありません。
もしあなたが腹筋を毎日100回しようと決め、60日間続けてきたのなら、たとえまだ完全に自動化された習慣にはなっていなくても、61日目は1日目よりずっと簡単になっているはずです。
習慣づくりは自転車で丘を越えるのと似ています。
急な坂道を登っていくと、やがて平らな場所に出て頂上に達し、あとは下り坂になります。
スタートするときには、脚にありったけの力を込めて懸命にこがなければなりません。
そのあとはどんどん楽になっていきますが、頂上に達するまではペダルを踏み続ける必要があります。
そうしないとずるずる後ろに滑り落ちて、せっかく登った分を無駄にしてしまいますから。
モチベーションが信頼できない理由 p66
モチベーションが信頼できないのは、それが感情に基づいたものだからです。
ずっと昔から、人間の感情は変わりやすく予測できないものでした。
あらゆる要素が感情を左右します。
何かの出来事、血糖値、気分の落ち込み、体内の化学物質の変動、ホルモン、健康状態、外部からの刺激、エネルギーレベル、信念など、言い換えれば、あらゆるものがあなたの感情に影響を与えます。
あなたは本当にそんな不確かなものに希望を託したいのでしょうか?
どんなものも、まず基礎がしっかりしていなければなりません。
モチベーションを基礎にするのは、木の上に家を建てるようなものです。
モチベーションを上げたいと思ってはいけない p68
自分を変えるためのモチベーション理論は次のように説明されます。
「何かをしたいという気持ちになれば、それを自分に強いる(意志の力を使う)必要がなくなる」。
それは本当です。
モチベーションが高いときには何をするのも簡単で、意志の力はほとんど必要としません。
そのため、最初のうちはモチベーションを上げることがいちばんいい方法に思えるかもしれません。
意志の力にかぎりがあるとわかれば(これについては後述します)、とくにそうでしょう。
理論的にはモチベーションを上げるのは優れた方法に思えるのですが、実際にはそううまくはいきません。
狙いどおりにモチベーションを上げるのは簡単ではありません(ほぼ不可能という場合もあります)。
自分自身の経験を振り返ってみれば、思い当たるのではないでしょうか?
疲れているとき、病気のとき、頭が痛いとき、何だか不調〟なとき、あるいはもっと楽しい何かをしたくてたまらないときに、モチベーションを上げるのはむずかしいはずです。
結果として手に入るものの大きさに気持ちを集中すれば、自分の行動を変えられると思うのは、私たちがどれほど感情に影響されやすいかを忘れてしまっているからです。
思考によって感情を変えるのはむずかしいのです。
モチベーションを使う方法がうまくいくのは、エネルギーがありあまっているとき、健康的な考え方をしているとき、ほかに大きな誘惑がないときにかぎります。
それでさえ、実際に行動するときがきて、目の前の状況が思っていたより大変そうだとわかれば、「明日にしよう」と思ってしまうかもしれません。
p71
たとえば、運動をして望みどおりの効果を得られたとしたら、その理由には3つの可能性が考えられます。
モチベーション、意志の力、そして習慣です。
すべての行動はモチベーションと意志の力がいくらかずつ組み合わさって成り立ちますが、たいていはどちらかに重心が偏るものです。
そして、なんとしてでもそれをしなければという強い意志を持つ一方で、モチベーションを上げようとする奇妙な混合状態も存在します(戦いに敗れるのは、通常はこの状態のときです)。
行動するのにモチベーションが必要だと信じることほど、危険な習慣はありません。
モチベーションを上げたいと思うこと自体は問題ではないのですが、それがないと何もできないと考えるのは問題です。
この考えが行き着く先は、怠け癖のサイクルでしかありません。
怠け癖がつくと自分を怠け者だと思うため、いつも怠けたいと感じます。
そして、モチベーションのルールに従っていると、そのままずっと怠けている状態が続きます。
そこから抜け出すことはできません。
モチベーションと感情に頼らない「熱意減退の法則」 p72
たとえば、あなたは毎日2時間の読書をするためにモチベーションを上げ、これを3週間続けられたとしましょう。
この時点で、あなたの中にこの行動を習慣にするための小さな芽が育ち始めます。
ところが、あなたはモチベーションに頼っているために、ここから先に進むことなく、習慣は芽のままで成長の終わりを迎えてしまうかもしれません。
「熱意減退の法則」は、私が考えた用語です。
「限界効用逓減の法則」という経済原則よりはずっとわかりやすいのではないでしょうか。
この経済原則は、4枚目のピザを食べる楽しみは、3枚目のピザを食べる楽しみよりほんの少し薄れ、5枚目になると4枚目よりさらに薄れることを意味します。
行動の繰り返しもこれと同じです。
行動が習慣に変わり始めるころには、その行動への感情は薄れていきます。
退屈でつまらなく思えてくるかもしれません。
おそらくそうなるでしょう。
心理学者のジェレミー・ディーンは、著書「良い習慣、悪い習慣』の中で、「習慣的行動は無意識におこなわれるだけではない。感情から切り離されている。……習慣的行動は不思議なほど無感情におこなわれる」と述べています。
前述のウェンディ・ウッド教授のチームも、テキサスA&M大学で実施した研究で、被験者が習慣的な行動をするときには、明らかに感情的な反応が乏しいことに注目しました。
これこそが、何をするにもまずモチベーションという考え方自体が、習慣づくりにおいては不利になる理由です。
同じ行動の繰り返しで興奮が高まることはなく、逆に薄れていきます。
習慣化が進めば進むほど、それをすることへの抵抗が少なくなり、どんどん自動的におこなうようになるからです。
ディーンは、「強い感情を引き起こさないことが、習慣化の利点のひとつ」と言っています。これは本当です。
p136
一度に4つ以上の小さな習慣に取り組むのはすすめません。
ひとつひとつの習慣は簡単に達成できたとしても、量が多くなると注意力が分散され、どれかひとつを怠ったり忘れたりしがちです。
それだけではありません。
毎日100の小さな課題をこなすところを想像してみてください。
これは大変!
毎日決まった数の物事をこなさなければならないと思うと、意志の力が奪われていきます。
普通はふたつか3つの小さな習慣がちょうどいいと思います。
報酬は意志の力を回復させる p176
報酬は特定の行動を繰り返す励みになりますが、意志の力を回復させる効果もあると知っていましたか?
認知科学者のアート・マークマンはこう言っています。
「デザートがたくさん並んだビュッフェテーブルの前に立ったら、友人を探し出して楽しい会話をするといい」。
どういう意味なのでしょう?
なんだか謎解きの問題のように思えてきますが、どんな種類の報酬にも、意志の力を回復させる効果があるのかもしれません。
ロイ・バウマイスター教授の「自我消耗」のコンセプトに基づいて実施された複数の研究で、血糖値を上げると自我消耗を克服できると結論づけられました。
しかし、もうひとつ、意志の力を回復する別の理論を証明したいと考える科学者たちもいました。
それが報酬の働きです。
彼らは、意志の力を回復させるのは糖分という報酬なのではないかと考えました。
糖分は脳の報酬中枢を活性化させることがわかっています。
この実験では、被験者はまず、意志の力を消耗させる運動をおこないます。
次に、片方のグループが人工甘味料入りの溶液を口に含んでから吐き出します(人工甘味料は脳の報酬中枢を活性化させません)。
もう一方のグループは砂糖入りの溶液を口に含んでから吐き出します(こちらは味蕾に触れると報酬中枢を活性化させます)。
結果は、人工甘味料を口にした人たちには自我消耗の改善は見られませんでしたが、砂糖を口にした人たちには改善が見られました(つまり、彼らの意志の力は通常レベルにまで回復しました)。
血糖値は回復しないのに意志の力は回復したので、少なくともこの意志の力の回復の一部は、脳に報酬を与えることで達成されたように思われます。
これは減量したいと思っている人には朗報です。
食べ物以外の報酬が意志の力の回復に効果があるという意味なのですから。
つまり、マークマンの「友人を探し出して楽しい会話をするといい」という言葉は、脳への報酬で意志の力を回復するように言っていたのです。
そうすれば、チョコレートやチーズケーキの誘惑に打ち勝つ可能性が増すでしょう(あくまでも「可能性が増す」のであって、絶対ではありません)。
このように、意志の力は悪習慣を避ける方法と結びつけられることが多いのですが、私たちはよい習慣を自分に強いるためにも意志の力を使っています。
報酬はさらなる行動をとらせるとともに意志の力を回復させるので、小さな習慣を続ける助けになるといえます。
すべてを書き留めておく p178
何かをすぐに書き留めておくと、頭の中にあるさまざまな考えの上位に位置づけることができます。
ある研究で、すべての考えは(ポジティブなものもネガティブなものも)、紙に書くことで意識の中での重要性が高まるとわかりました。
不思議なことに、パソコンに打ち込んでもこれと同じ効果は得られません。
ひとつのアイデアを膨らませるには手書きをする必要があるのです。
ここで、習慣づくりの進行状況をチェックする方法として、私が実際に使っている手書きをするアナログの方法とスマホなどを使うデジタルの方法をご紹介します。
どちらの方法を選ぶにしても、毎日就寝する前に結果を確認することが重要です。
一日の早い時間にチェックすると、「もっとやろう」というモチベーションを弱めてしまうかもしれませんが、寝る前に確認するとやり忘れもなくなるので、効果的な方法といえます。
p194
忘れないでください。
小さな習慣は決してあなたを後戻りさせません。
「本当の目標」は毎日2000ワードを書くことかもしれませんが、その数字は最低限の目標にもなれば上限にもなります。
あなたは2000ワード書いたことに満足して「これで十分だ」と考えるでしょう。
私は500ワードという目標を設定し、一日に5000ワード以上書いたこともあります。
この違いを理解しておくことは重要です。
間違った考え方をしていると、小さな目標は行動にブレーキをかけるものになりかねません。
もしあなたが今すぐに目標をレベルアップしたいなら、そうしてもかまいません。
もし望むなら、へとへとになるまで努力してください。
私がこれを言うのは、力強いスタートを切れば、それだけモチベーションを上げられる可能性が高まるからです。
意志の力の消耗を和らげる小さな習慣 p195
小さな習慣がすばらしいのは、やりそこなっても言い訳ができず、失敗を恐れる必要はなく、罪の意識を感じずにすむからです。
たとえ意志の力を使い果たしていても、やるべき課題は本当に小さなものなので、どうにでもやり遂げる方法を見つけられるはずです。
私はどんなに意志の力が不足しているときでも、腕立て伏せを1回する、本を2ページ読む、50ワードの文章を書くという課題すらこなせないと思った日は一日としてありません。一度もです。
以上のようなさまざまな理由のために、小さなステップはあなたの歩みを止めません。
それが成功の秘訣なのです。
小さな習慣をやりすぎないための注意 p200
私が小さな習慣を気に入った理由のひとつは、目標を上回る成果が得られるからです。
すでに述べたように、たびたび設定目標を大幅に上回るようになると、つねにそうしようという期待を持ってしまい、必要な意志の力の準備が追いつかなくなる恐れがあります。
これについてはよい面もあれば、悪い面もあります。
あなたの脳がそれを習慣にしつつあるという面ではいいのですが、すぐにハードルを上げてしまい、小さな習慣の持つ多くの利点を失ってしまうという面ではよくありません。
小さく始め、期待のプレッシャーを取り除くことが、小さな習慣のための成功のレシピです。
間違いなく目標を達成できるので、できるだけ長くその成功を保ちたいと考えるわけです。
もう一度繰り返しますが、私はあなたに目標以上のことをやってはいけないと言っているわけではありません。
設定目標が玄関から外に出るだけなのに、どうしても今日8キロ走りたいのだとしたら、それはすばらしいことです。
どうぞ8キロ走ってください。
ただし、目標を8キロに修正してはいけません。
小さな課題さえ達成すれば、いつでも家の中に戻っていいのだと忘れないでください(そうする自由があっても、普通ならすぐに家に戻ったりはしないと思いますが)。
すぐにもっと多くを達成できないとしても、心配はいりません。
私の書くことに関する小さな習慣はすぐに火がつきましたが、読むほうに関しては、つねに目標を大きく上回るようになるまでに57日かかりました。
小さな習慣の種類によっては、火花が炎に変わるまでに時間がかかるものもあります。
それはおもにその習慣へのあなたの関心の度合いと、最初の設定目標を継続的に上回ることがどれくらいむずかしく感じるかによります。
私はほとんど毎日、目標よりもたくさん書いていますが、どれだけ書くかは自由なので気持ちを楽に保てます。
50ワードで終えてもまったくかまわないのですから。
もしその日に何か予定が入っていれば、数分で50ワードを書き上げ、残りの一日は存分に楽しみます。
目標を大幅に上回るのは、すばらしいことです。
目標を上回ることが少ないとしたら?
それでもすばらしいです。
ただオーケーというだけではなく、すばらしいといえます。
小さな習慣ではすべての進歩が称賛に値するのです。
というのも、脳を変化させるのは簡単ではないからです。
それでも、もう一度繰り返しますが、小さな習慣ならそれが簡単になります。
何かとんでもなく大きな目標と格闘し、ガス欠状態になりそうな意志の力をふりしぼって走り抜くことと比べ、小さな習慣はもっと軽々とした足取りでよりよい結果を得られる方法です。
1.決してごまかさない p204
小さな習慣をごまかす方法はいくつかあります。
まず、最もよくあるのは、「一日に腕立て伏せ1回」などの小さな習慣を選んでおきながら、こっそりもっと多くの回数を自分に求めることです。
これだけは絶対にしないように、本当に注意してください。
目標以上の成果を自分に課すたびに、それを達成するための意志の力が必要になるからです。
他の習慣づくりや自己啓発の方法と違って、小さな習慣では弱気になるような要素はほとんどありません。
腕立て伏せ1回だけでいいのであれば、成功のじゃまをするものなど何もありませんよね?
目標が小さいことは問題ではありません。
あなたは成功のために自分の脳を鍛え、いつか成し遂げたいと思う目標の小さなバージョンを着々と達成していくのです(そして、あなたの熱意次第では、その「いつか」はすぐに訪れるかもしれません)。
もしあなたが私と同じような結果を得るとすれば、きっと思っていたより早く大きな目標を達成できるでしょう。
でも、本当にお願いですから、それによって自分への期待値を上げたりしないでください。
期待を小さくしておけば、もっとやりたくて仕方がなくなります。
始めることでどれほどの力を得たかに気づけば、そして、始めたとたんにいつもモチベーションが追いかけてくると気づけば(始めるまでは休眠状態です)、あなたの生活はどんどん楽しくなっていくはずです。
5.強い抵抗を感じたときは、後戻りして小さく考える p210
社会一般の“知恵”は、強い抵抗を感じても、それを乗り越えて行動しなければならないと教えます。
しかし、そんな考えはばかげています。
すでに述べたように、意志の力にはかぎりがあり、もし今無理をすれば、あとで疲れ果てて大失敗するのはわかりきっています。
次にも今と同じようにできると思うのは、そのときにはもう望みや意志の力が十分に残っていないかもしれないことを考えに入れていません。
その状況を思い描いてみましょう。
あなたは運動をしたいと思っていますが、座り込んだまま、本当のところはやる気になれません。
強い抵抗を感じます。
あなたはどうしますか?
このシナリオでは、あなたは自分のやりたいことをやるために脳をうまく説得できるのであれば、あえて脳と対決したくないと思っています。
それなら、感じる抵抗が最小限になるまで、やるべき課題をどんどん小さくして脳に示しましょう。
もしあなたの目標がジムで運動することなら、それをもっと小さくしてジムまで行くことを目標にしてもいいでしょう。
本当に調子が悪いときには、洋服ダンスの引き出しを開けるだけで精いっぱいかもしれません。
それができたら、今度はトレーニングウェアを取り出して着ることを目標にします。
これがばかげて聞こえるとしたら、小さなステップとして成功です!
ばかげて聞こえるのは、あなたの脳がゴーサインを出している証拠なのです。
こうした“ばかばかしいほど小さい”ステップは、腕利きの泥棒が宝石店で監視カメラやセンサーを避けるように、脳のレーダーをかいくぐります。
そして、脳に見つかる前に、あなたはジムのランニングマシンに乗っているでしょう。
小さすぎるステップなどありません。
それに、喜んでください。
たとえあなたが疲れ切っていたとしても、本当に小さいステップなら、その状態からでも行動を起こせます。
疲れ切っているのは意志の力が消耗しているからです。
これは自分にあまりに多くのことを長く強いているために起こります。
それでも、床の上でへとへとになっていたとしても、自分に「おい、今1回だけ腕立て伏せをできないか?」と呼びかけるくらいならできるでしょう。
そのあとは、もっとやりたいと思うようになるかもしれません。
そうでなくても、あといくつか“ばかばかしいほど小さい”ステップを設ければ続けられるかもしれません。
この方法がどう考えてもふざけていてばかばかしいと思うなら、それはあなたが自分ならもっとできると思っているからです。
あなたのプライドが、自分ならそんなに小さなステップに分けなくても大丈夫だと告げています。
でも、どんなに大きな達成も実際には小さなステップで構成されているものです。
そして、一度にひとつずつこうしたステップをこなしていくのは、劣っているのではなく着実な歩みなのです。
私も「腕立て伏せ1回チャレンジ」の最初の1回をする前には、それより“もっと上”を目指せると思っていました。
たった1回の腕立て伏せなんで価値がないと思っていました(1回拍手するのと同じ程度のことに思えたからです)。
しかし、それを30分の筋トレに発展させられたとき、考えが変わりました。
ですから、あなたも試してみてください。
そして、この方法ならもう自分を止めるものはないと、あなた自身で実感してください。
どんな課題でも、抵抗を感じるときには、私はそれを小さくします。
それで問題は解決です。
7.ステップが小さすぎるとは決して考えない p216
ステップが小さすぎると思うのは、小さな習慣に間違った角度からアプローチしている証拠です。
どんなに大きなプロジェクトも、小さなステップで構成されています。
すべての有機体が微小な細胞が集まってできているのと同じです。
小さなステップを使うと、自分の脳をうまくコントロールできます。
意志の力が弱まっているときには、小さなステップが前に進むためのただひとつの方法になるかもしれません。
小さなステップを愛することを学べば、信じられないほどの成果を得るでしょう。
8.あまったエネルギーと野心はおまけに使う。目標は大きくしない p217
大きな進歩を遂げたくて仕方がないというときには、そのエネルギーを小さな目標をこなしたあとの“おまけ”に使ってください。
大きな目標は紙の上ではすばらしく見えますが、重要なのは行動だけです。
目を見張るような目標を掲げて、あとで失敗してばつの悪い思いをする大勢の仲間入りをする代わりに、ばつの悪い目標を掲げて圧倒的な成果を上げる人になってください。