「How to Design いちばん面白いデザインの教科書 改訂版」を 2,024 年 9 月 20 日に読んだ。
目次
メモ
p29
いまはコンピューターを使ってデザインイメージがつくれる時代です。
作業中は、数値で計測したり、ガイドラインを引いたりして作業をすることも多いでしょう。
しかし、正常な状態で、数値的な正しさとは異なる見方をしてしまうのが錯視の特徴です。
これまでに見てきたような錯視の例は、配慮すべきチェックポイントの例だと考えることもできます。
数値も参考にすべきことではありますが、“基本的には、人の目がどのように捉えているか(=自分がどのように見えるか) ”を頼りにしてデザインしてください。
白と黒 p42
白と黒、その中間のグレーなど、彩度がない色のことを「無彩色」といいます。
色というと赤や黄色などのいわゆる「有彩色」ばかりを考えがちですが、グラフィックデザインやタイポグラフィの世界では、まず白と黒が基本にあり、これらを色としてしっかり認識することが必要です。
三属性で考えてみると、白は明度がもっとも高く、黒はもっとも低い色ということになります。
色相でいうと彩度はゼロです。
明度においては両極に位置するため、どの色相にも含まれる色とも考えられます。
このため、白と黒はあらゆる色相の色と調和しやすいといえるでしょう。
また、明度差(コントラスト)を引き出しやすい色でもあるので、文字に使えば高い可能性を得ることができます。
黒い文字は「スミ文字」、白い文字はそこだけ印刷されないので「白抜き文字」と呼ばれたりしますが、ある色をベースにしたときに、スミ文字と白抜き文字のどちらが読みやすいのか。
検証してみてもおもしろいでしょう。
ベースとなる色の明度が、白と黒のどちらに近いかによって見え方がほとんど決まりますが、加えて色相差も関係してきます。
漫画の吹き出し書体 p71
漫画の吹き出し書体を観察してみましょう。
漢字と仮名の部分で書体が違っていることに気がつかないでしょうか?
多くの漫画で用いられている吹き出し書体は、「アンチゴシ」と呼ばれる「混植」(文字種によって異なる書体で組まれること)で表現されています。
漢字はゴシック体で、仮名は明朝体ではなく、アンチック体という「ゴシック体に組み合わせるためにつくられた仮名専用書体」です。
明朝体と比べて縦画と横画の太さの差が少なく、全体的に黒みが強くはっきりしているのが特徴です。
週刊誌漫画のようにザラ紙を使う精度の低い印刷では、細い画線をもつ明朝体では文字がつぶれてしまうという理由から、1960年代にはこの方式が定着していたといわれています。
アンチック体はほかにも辞書の見出しや、絵本などで幅広く活用されています。
p72
コンピューター用のフォントとして提供されている書体は数えきれないほどありますが、意外とその多くが活字時代から人気がある書体です。
それらの活字を元に、「ITC社」や「ライノタイプ社」などの海外のフォントベンダーが、デジタル書体として新たにデザイン調整されたフォントを、世に送り出しているのです。
トーンカーブをつくってみる p131
RGBモードの画像では、コントロールポイントを45度の線よりも上に移動すると画像が明るくなります。
入力値(加工前)が、より明るい値になって出力されるためです。
グラデーションバーを見ると理解しやすいでしょう。
逆に、45度よりも下にコントロールポイントを移動させると、画像が暗くなります。
S字カーブと逆S字カーブ p131
これら2つを組み合わせて「S字カーブ」を描くと、画像の明るい部分をより明るく、暗い部分をより暗くすることができ、コントラストが強い画像に補正することができます。
トーンカーブは、グラフの傾きの角度によって画像のメリハリが読み取ることができます。
“傾き”が急であるほど画像のメリハリが“強い”ということになります。
今度は傾きの緩やかな「逆S字カーブ」にしてみましょう。
画像の明るい部分を暗く、暗い部分を明るくするため、画像全体が同じ明るさに近づき、コントラストが弱い画像になります。
S字カーブの場合、シャドウは極端に黒く、ハイライトも極端に白くなっているので、グラフ中央(中間調)の部分のほうが、画像の明るさの差がよりわかりやすく感じられます。
コントラストの調整では、“画像の中間調をどう変化させるのか”を意識して作業するとよいでしょう。
端点を移動する p132
いったん、トーンカーブを元の状態に戻します。
今度は線ではなく、線の両端を動かしてみましょう。
右上角の点(コントロールポイント)を左にドラッグすると、この点より右の範囲がすべて最大の明るさになります。
ある点より明るい部分をすべて白く飛ばしてしまうという加工方法です。
もう一度、トーンカーブを元に戻して、今度は左下角の点を右にドラッグしてみましょう。
今度はこの点より左の範囲がすべて最大の暗さになります。
ある点より暗い部分をすべて黒くつぶすという加工です。
この2つを組み合わせると、中間調の部分が急角度になったトーンカーブになり、画像にもメリハリがついていることがわかります。
これはで「レベル補正」をかけたことと原理的には同じ操作を意味しています。
入力の軸にある下の2つの三角形、そして背景に表示されているヒストグラムを観察してください。
さきほどのレベル補正の画面に似ていませんか?
レベル補正ではパネルの下部にあった出力の軸が、トーンカーブではグラフの縦軸で表現されただけなのです。
半調処理 p133
もう一度、トーンカーブを元に戻します。
今度は右上角の点を下にドラッグしてみましょう。
画像全体が暗くなりました。
これは、“加工前の画像のダイナミックレンジを圧縮して、加工後の暗い範囲だけで表現している”ということになります。
次に左下角の点を上方向にドラッグしてみます。
予想どおり画像が明るくなりました。
これは、“加工前の画像のダイナミックレンジを、加工後の明るい範囲だけで表現している”から、ということになります。
これは一般に「半調処理」などと呼ばれます。
p156
誌面をグレースケールにして、Photoshopで大きくぼかしをかけてみた。
版面全体の濃度(トーン)がデザインによって異なっていることがわかる。
「タイトル」の調整 p169
全体の印象はほぼ固まったので、最後に細かい部分を調整していきます。
まず、タイトル文字にもう少しクセをつけたかったので、タイトルの「と」と「&」の部分を違う書体にしてみます。
ひらがなの「と」は「ZENオールド明朝-R」という明朝体に、欧文の「&」は「Sabon LT Std Bold Italic」というクラシックな書体を使いました。
また、タイトルそのものを強調するため、「 」を細い罫線に変更しています。
書体の「 」ではなく1ptの罫線で「 」を描きました。
たったひと手間ですが、これだけで仕上がりのクオリティに差が出てきます。
書体を置き換えたり、部分的に描くことで、心地よい違和感ができ、タイトルまわりがよりキャッチーに生まれ変わりました。
「会期表記」の調整 p169
次に、会期表記の調整です。
曜日の情報を全体的に小さくし、間のダーシ記号「―」を高さ50%、幅300%に変形します。
1行のなかでもメリハリがつき、日付の数字がより見やすくなりました。
本来の欧文の文字組みルールからは逸脱していますが、デザイン的なおもしろさや、ぱっと見の視認性を優先させています。
「推薦文」の調整 p169
推薦文の最終行にある推薦者の名前をゴシック体にし、級数も大きくします。
これで本文と推薦者名の属性の差が明快になりました。
また、文字ブロックの底を黒みの強い書体が担うことで、ブロック全体の重心をしっかりさせる役割も担っています。
ノートリミング p170
A案もB案も写真をほぼ全面で使っています。
これを「ノートリミング」といいます。
写真を撮るとき、フォトグラファーによって決められた構図やトリミングは、写真作品を左右する極めて重要な要素です。
とくに作品性の高い写真を使用する場合は、原則としてノートリミングで使用することを心がけましょう。