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「一坪でできる野菜づくり」を読んだ

一坪でできる野菜づくり」を2025年07月07日に読んだ。

目次

メモ

Q 収穫したダイコンの置き場所がありません! p87

A 収穫したダイコンは、土の中で保存できます。

深さ50㎝程度の穴を掘り、ダイコンを並べてむしろをかけます。
その上に土を20~30㎝かけ、目印の棒などを立てておきます。

Q 寒冷紗と不織布、どんな違いがありますか? p89

A 寒冷紗は綿を粗く平織りにした薄い布で、不織布は化学繊維を重ねてつくった布です。

寒冷紗は温度を下げる冷温効果があり、春夏野菜の風よけ、保湿、虫や鳥よけになります。
また、秋冬野菜を8~9月に植えるときに地温が暑くなりすぎないように日光をさえぎる役目もします。
不織布は保温効果があり、寒い時期の成長促進、霜よけ、鳥よけになります。
2つの布の特徴をいかし、効果的な使い方をするようにしましょう。

Q 追肥のコツを知りたい! p89

A 根が伸びる先に与えることです。

固形の追肥を与えるときは、株元ではなく根が伸びていく先の辺りの土を掘って与えます。
根が栄養を求めてさらに伸びて、株が成長します。
液肥の場合は水やりも兼ねて株元に与えます。
即効性があるため、株が弱っているときなどに向いています。

Q 肥料の3大要素、チッソ、リン酸、カリの働きを教えてください。 p89

A チッソ(N)は「葉肥え」といわれ、葉や茎を育てます。
リン酸(P)は「実肥え」といわれ、花や実を成長させます。
カリ(K)は「根肥え」といわれ、根の発達をうながします。

市販の肥料にはこのN、P、Kの割合が表示されています。
土の状態や野菜の種類によって選ぶようにしましょう。

数種類野菜を育てる p100

一坪はおよそ3.3㎡、畳2畳分のスペースがありまうねす。
一坪の中には、中央に40㎝の通路を入れて、およそ幅70㎝、長さ180㎝の畝が2本つくれます。
トマトであれば、このスペースで16株育てることができますが、4株くらいあれば1家族で十分な量ができるでしょう。
一坪菜園では、色々な野菜を楽しめるよう数種類植えましょう。

また、野菜を数種類育てることは、病害虫のリスクを分散します。
病害虫の被害が出た場合、同じ野菜だと被害が拡大して全滅することがあります。
しかし、数種類育てていれば被害を受けた、1種類の野菜が全滅しても、ほかの野菜は被害を免れることができます。

日当たりをよくする p100

一坪菜園で野菜を育てるためには、はじめに栽培スペースの環境を知っておくことが大切です。
多くの野菜は日当たりのよい場所を好みます。
このため、一坪のスペースに効率よく日が当たるように、植えつける野菜の高さや葉の広がりを考えます。

基本的に畝は南北につくり、全体に日が当たるようにします。
北側に草丈の高い野菜を植え、南側は低い野菜を植えるとさらによいでしょう。
また、東側の畝は、西側の畝の日当たりをよくするために、背丈の低い野菜を選びましょう。
東西に畝をつくる場合は、北側の畝には日が当たらないので、北側の畝に草丈の高い野菜を、南側の畝に低い野菜を植えます。

畝は2本つくる p100

1坪=畳2畳分の中にはおよそ幅70㎝、長さ180㎝の畝2本をつくることができる。
基本的に南北方向に畝をつくる。

日当たりを考える p100

南北につくった畝は、草丈の高いものを北側に、南側に低いものを植え、すべての野菜に光が当たるようにする。
また、東側の敵は草丈の低い野菜にするとさらによい。

連作障害を防ぐ栽培プランを p101

同じ科の野菜を同じ場所で連続して育てると、成音が悪くなる「連作障害」が起こります。
連作障害は別の科の野菜を育てることで解消されますが、野菜によって休ませる期間(休栽期間)が違うため、トマトなどは4~5年ほどつくれなくなってしまいます。
そこで、栽培する場所を科ごとに区分けして、毎年ひとつずつローテーションして育てる「輪作」をします。

休栽期間が長いナスやトマトは4~5年間同じ場所で栽培することができません。
このため、畝2本をそれぞれ3つずつ、合計6つの区画に分けてローテーションすれば、元の場所に戻るまで6年かかるので連作障害を防ぐことができます。
もちろん、休栽期間の短いネギやトウモロコシだけなら、1~4つに区分けしてもよいでしょう。

連作障害を防ぐことを目的に、栽培プランを立ててから野菜を育て、ローテーションするときは日当たりを考慮して育てる野菜を決めましょう。

土づくり後に畝をつくる p104

野菜は土づくりからスタートします。
種まき・植えつけの2週間前までに、苦土石灰で土の酸度(pH)を調整します。
その後、種まき・植えつけ1週間前までに、土の環境を改善する堆肥と、野菜の養分になる肥料を施します。

野菜は土の中の水に溶けた肥料を吸収します。
土の酸度は「肥料の溶けやすさ」に関係し、適切な酸度は野菜によって違いますが、多くの野菜ではpH6.0くらいの弱酸性を好みます。
土のpHは、ホームセンターで売られている酸度測定キットで調べて、石灰の量で調整しましょう。
苦土石灰400g/㎡ほどでpHは1上がります。

野菜が育つ土は、水はけ(通気性)・水もち(保肥性)のよい土です。
一見矛盾している性質ですが、その秘密は「団粒構造」にあります。
堆肥を施すと土の粒が集まった「団粒」をつくり、団粒が集まると、団粒と団粒の間に水が流れて空気が通り(水はけ)団粒内部のすき間に水分が入ります(水もち)。

野菜が育つよい土に改良したら、あとは肥料を施します。
土づくりで施す肥料を「元肥」といい、成長するにつれて元肥の肥料分がなくなってきたら「追肥」をします。
元肥は少なめが基本で、野菜の成育を見ながら追肥で補います。

土づくりが終わったら、種まき・植えつけの直前までに、畝をつくります。
通常、畝の高さは10~15㎝ほどですが、水はけが悪い粘土質の土や水はけを好むサツマイモを育てる場合は、畝の高さを30㎝くらいにします。

酸度を調べる p104

苦土石灰を入れる前に市販の酸度測定キットを使い、土の酸度を調べる。
キットの説明書をよく読んで利用する。
苦土石灰を400g/㎡ほどまくとpHは1上がる。

団粒構造の土 p104

団粒どうしのすき間に水や空気が流れ、団粒内部のすき間に水が入り込む。
団粒構造の土にすることで水はけと水もちが両立する。

土づくりの流れ p105

1
種まき植えつけの2週間前に畝をつくるスペースにひもを張る。

2
ひもの内側に苦土石灰を均一にまく。
pHが高い場合はまかなくてよい。

3
土と苦土石灰がよく混ざるようにクワで耕したら、酸度の調整が完了。
ひもは残したままにする。

4
種まき・植えつけの1週間前に堆肥と肥料を施す。
通常、堆肥は2kg/㎡程度、肥料は野菜に合わせた量をまく。

5
堆肥・肥料が土とよく混ざるようにクワでよく耕す。

6
土づくりの完成。
ひもは畝づくりまで残しておく。

畝づくりの流れ p105

1
土づくり直後か、種まき・植えつけ直前までに畝をつくる。
土づくりで残したひもの外周を掘り、土を高さ10~15㎝になるようにひもの内側に入れる。

2
表面の土をほぐしながら、木の板などで傾きがないように平らにならしていく。

3
ひもを片づけたら畝の完成。
畝の高さは土の状態と栽培する野菜に合わせて調整する。

乾燥・病気の予防などの効果 p106

マルチング(マルチ)は畝全体をポリマルチやわらなどで覆うことをいいます。

マルチングには、土の乾燥・泥跳ねによる病気を防ぐ、地温を上げるなどの効果があります。
このほか、雑草を防ぎ、雨が土にしみ込まないので肥料が流れ出ることが少なく、土をやわらかく保って根がよく伸びるなど、野菜が成育しやすい土にしてくれます。

一般的には黒のポリマルチが多く使われ、入手しやすく価格も手頃です。
ポリマルチには穴のあるタイプとないタイプがあるので、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
また、わらでマルチングをすると、通気性も確保でき、栽培後は土にすき込めば分解されるなどの利点があります。

マルチング作業の流れ p106

1
マルチのすそを埋めるために、畝のまわりに溝を掘る。

2
マルチの端を溝に埋めて、土をかぶせてしっかりと固定する。

3
マルチを転がしながら、畝全体にマルチを張る。

4
反対側の端に土を乗せて固定し、マルチを切る。

5
畝の側面を足で踏みながら土をかぶせる。
土は足の甲にかかるくらいにする。

6
畝の完成。
空が映るくらいシワなく張れるとよい。

成育初期に活躍 p107

種まき・植えつけ時期を守ることで、野菜は元気に成長します。
しかし、植えつけ直後に寒いときや、虫が活動している場合は畝にトンネルをかぶせて成育しやすい環境を整えます。

トンネルはトンネル用のアーチ状の支柱を畝に立てて、寒冷紗や透明フィルムなどをかぶせてつくります。
寒冷紗では害虫の飛来を防止し、成育初期の被害を防ぎます。

とくに秋に栽培するアブラナ科の野菜は害虫の被害にあいやすいので、株が大きくなるまでは寒冷紗のトンネルがおすすめです。
また、春に気温が低い場合は、透明フィルムのトンネルで、保温します。
フィルムの上部に換気孔のあるものが使いやすいでしょう。

トンネル作業の流れ p107

1
一坪菜園では、畝が短いのでトンネル用の支柱を畝の端と中央に挿す。

2
支柱はすべて同じ高さになるように調整する。

3
トンネル資材を埋めるための溝を畝のまわりに掘る。

4
トンネルの端に土をかぶせて固定する。

5
反対側の端から、中心を調整する。
端が余るようなら重しを置いて固定する。

6
側面に土をかぶせて固定したら完成。

すじまきと点まきでまく p108

葉ものや根もの野菜の多くは畑に直接まく直まきにし、育苗する野菜はポットにまきます。

コマツナなど間引きながら育てる野菜は、板などで深さ1㎝ほどの溝をつけて種をまく「すじまき」にします。
種をまくときは、種が重ならないようにすると間引きの作業が楽になります。
種は人差し指と親指でつまみ、人差し指をこするようにすると落としやすくなります。

あらかじめ株間が決まった野菜を直まきにするときは「点まき」にします。
直径2~3㎝、深さ1~2㎝程度の窪みをつくり、その中に3~4粒の種をまきます。
ポットにまく場合は、指で3~4カ所窪みをつけて種をまきます。
どの方法でも種まき時期を守ることが大切です。

種まきの流れ~すじまき p108

1
板などで深さ1㎝に溝をつくる。
条間は各野菜に合わせる。

2
種が重ならないように、人差し指をこするように種をまく。

3
土をかぶせて軽く押さえ、種と土が密着するように水やりをする。

種まきの流れ~点まき p108

1
野菜の株間に合わせて、深さ1~2㎝程度の窪みをつくる。

2
窪みの中に種を3~4粒まく。
種は重ならないようにする。

3
土をかぶせて軽く押さえ、種と土が密着するように水やりをする。

時期を守って植えつける p109

ポットで育苗したものや苗を購入した場合は、植えつけから栽培をはじめます。
あらかじめ野菜の成長に合わせて株間を決めて植えつけます。
株が大きく広がる野菜は株間を広くし、広がりにくい野菜は間を狭くすることが基本です。

また、種まきと同じように、植えつけも時期を守ることが大切です。
春先など、成育適温でない時期に植えつけると遅霜などの影響で株が枯れたり、成育が悪くなったりすることがあります。
とくに、苗を購入するときは出回る時期が早いことがあるので、植えつけ時期まで苗の状態で管理するか、植えつけ後に透明フィルムのトンネルで保温します。

植えつけは苗へのダメージが少ない、風が穏やかで、天気がよい日の午前中に行います。

植えつけの流れ p109

1
時期になったらある程度の大きさになった苗を植えつける。

2
野菜に適切な株間を測り、根鉢と同じ大きさの穴を掘る。

3
ポットの底の中心を押して傾け、根鉢を崩さないように苗を取り出す。

4
苗を掘った穴に植えつけ、地面と根鉢の上部を同じ高さに調整する。

5
根鉢の上部に薄く土をかぶせて、軽く押さえる。

6
根鉢と土が密着するように、たっぷりと水やりをする。

土の表面が乾いたら与える p110

株元の土に人差し指の先を入れ、土がサラッとしていて水気がなければ、水やりのタイミングです。
逆に、しっとりしていたら、乾くまで待ちましょう。

朝、与える p110

植物が光合成を行うのは午前中のほうが多いといわれています。
できれば、朝8時頃までに与えるようにしましょう。
特に冬場は、夕方などに水を与えてしまうと、土の中の水が凍って根を傷めてしまうこともあるので注意が必要です。

株元に与える p110

ホースなどで勢いよく与えると、土の表面が固くなって根が酸素不足になってしまいます。
また葉の上からかけると株元に水が届きにくく、花にもかかって花粉が流れてしまうこともあります。
ハス口を株元に近づけて、泥はねしないようにまんべんなくたっぷりと与えます。

水やりのポイント p110

株元にハス口を近づけて、さまざまな方向からまんべんなくたっぷりと与える。
育苗期はハス口を上向きにして、やさしい水流で与える。

暑い季節は注意 p110

水道の水が熱くなっていることがあるので、必ず手で水温を確認する。
また、朝、たっぷり水やりしても午後、ぐつたりしてしていたら、もう一度少しだけ与える。

葉と葉がふれ合う程度 p111

すべての種が発芽して健康に育つとは限りません。
このため、余分に種をまき、成育が悪い株は引き抜きながら育て、よい株を残します。
この作業を「間引き」といいます。
葉ものなどのすじまきする野菜は、株の成長に合わせて数回間引いて、適切な株間にしていきます。
適切な株間は、葉と葉がふれ合う程度にすると「共育ち」といって、競い合って丈夫に育ち、風で倒れにくくなります。
ポットや点まきも同様に1~2回の間引きで1株にします。

間引く株の目安は、生育が遅い、病害虫の被害がある、葉の形が悪いなどで、間引く株は手で引き抜くか株元からハサミで切ります。

間引きの流れ(すじまき) p111

1
葉が重なり合うくらい混み合ってきたら、葉と葉がふれ合う程度に間引く。

2
生育の悪い株を選び、ほかの株が抜けないように株元を押さえて引き抜く。

3
間引きを数回繰り返し、最終的にそれぞれの野菜に合った株間にする。

間引きの流れ(点まき) p111

1
株が成長して混み合ってきたら、生育の悪い株を選んで間引く。
株が大きいようならハサミで切る。

2
株が大きくなって倒れる心配がなくなったら、2回目の間引きで1本にする。

ポットは一度に間引く p111

ポットは管理して育苗するため、1回の間引きで1本にする。

支柱を立てて誘引する p112

支柱は一坪菜園の狭いスペースではなくてはならないものです。
つるが伸びる野菜は支柱を立てて誘引すると、畑を立体的に使うことができます。
スイ力(→P.26)のように地面にはわせて栽培するものも、支柱を立てれば狭いスペースでも栽培できます。

支柱の立て方は斜めに交差させる「合掌式」とまっすぐ立てる「直立式」があります。
また、スイカのように、支柱のまわりにつるをはわせる方法を「あんどん仕立て」といいます。

誘引するときは風でつるが折れないように、ひもでつると支柱をゆるめの8の字にかけて支柱側で結びます。

合掌式 p112

1
畝の両脇から斜めに支柱を立て、上部で交差させて縛る。

2
交差部分に支柱を横に渡して乗せ、しっかりと結ぶ。

3
片側の側面に斜めに支柱を立てて強度を高める。
誘引用にひもを張ってもよい。

4
株を誘引するひもは、つると支柱をゆるめの8の字にかけて支柱側で結ぶ。

直立式 p112

株元から5㎝ほど離れた場所に、まっすぐに支柱を立てる。
茎に8の字にひもをかけて、支柱側で固定する。

あんどん仕立て p112

合掌式に立てた支柱を囲むように、ひもを3段に結ぶ。
ひもにつるをはわせて上へと伸ばす。
実がついたらつるを下げて実を地面につける。

株の成長をよくする芽かき p113

実もの野菜など草丈が高くなるものの多くは、茎の葉のつけ根からわき芽が出てきます。
わき芽を摘み取る作業を「芽かき」といいます。
芽かきは、株の成長をよくするため、伸ばす茎(枝)やつるの数を調整する目的で行います。
芽かきは傷口が乾きやすいように晴れた日の午前中に行い、病気予防のためにハサミは使わずに手で摘み取ります。

成長を止める摘芯 p113

摘芯はつるや茎の先端を摘み取る作業で、株の成長を止める、わき芽や子づるを増やすために行います。
株が高いと作業しにくいキュウリやトマトは成長を止める目的で摘芯します。
キュウリはさらに子づるを摘芯して実をつけさせます。
また、子づる(わき芽)を伸ばすカボチャ、わき芽を増やすモロヘイヤなどは摘芯をすることでわき芽が伸びてきます。

芽かきの流れ p113

1
茎の葉のつけ根からわき芽が伸びてくる、傷口が乾きやすいように晴れた日の午前中に手で摘み取る。

2
摘み取ったあとから再びわき芽が出てくることもあるので、後日チェックする。

摘芯のタイプ p113

成長を止める摘芯
高くなりすぎて作業しにくい場合は先端を摘み取る(写真左)。
キュウリなどは子づるの先端を摘み、広がりすぎを防ぐ(写真右)。
わき芽を増やす
モロヘイヤなどは摘芯しながら収穫してわき芽を増やす(写真左)。
カボチャなどは子づるを伸ばすために行う(写真右)。

成育を観察して少なめに施す p114

追肥では、土づくりのときに施した元肥が成育中に使われたり、流れたりした分を補うために肥料をまきます。

肥料を施すタイミングは、肥料が不足して成育が鈍ったときや花や実がついて養分が必要になる頃です。
つまり、よく観察して株の成育具合を日頃から確かめておくことが大切です。

野菜は肥料を根の先で吸収します。
根の広がりと葉(枝)の広がりはほぼ同じなので、追肥は基本的に葉の広がりに合わせてまきます。
葉が茂っていない時期は、葉の広がりに合わせてドーナツ状に肥料をまきます。
葉が広がってきたら畝の脇に溝を掘ってまきます。
どちらも化成肥料(N-P-K=8-8-8)の量は1㎡当たり20g前後が基本です。
一坪菜園では畝1本当たり、30g前後が肥料の目安です。

また、追肥を連続して行うときは、基本的に肥料の与えすぎを防ぐために1カ月以上、間をあけましょう。
肥料の量は少なめが基本です。

追肥・間引き後は土寄せをする p114

土寄せは、追肥後や間引き後に株が倒れないようかぶもとに、株元に土を寄せることです。
とくにジャガイモやサトイモなどは土寄せでイモが育つので土寄せは重要な作業です。

また、土寄せをするときは畝の表面の土を軽くほぐす「中耕」をします。
中耕は雨などで固くなった土をほぐし、土の通気性をよくする目的で行います。
マルチを張った土では必要ありません。

根と葉の広がり p114

広げた根写真は栽培後のナス。
先端の根は切れているが、葉(枝)の広がりと根の広がりはほぼ同じということがわかる。

土寄せの効果 p114

ネギなどは白い部分をつくるために土寄せをする(写真左)。
コマツナなどの葉ものは茎(胚軸)が伸びて株が倒れないようにする(写真右)。

成育に合わせた追肥の方法 p115

成育初期~中期
葉の広がりに合わせて、株元にドーナツ状に肥料をまく。

成育中期~後期
畝の脇に溝を掘り、その中に肥料をまいて溝を埋め戻す。
マルチがある場合はマルチのすそを開く。

葉もの野菜
条間に肥料をまく。
とくに葉ものは成育が早いので、追肥をする前に株の様子を確認する。

追肥・土寄せの流れ p115

1
成育初期は株のまわりにドーナツ状に肥料を施す。

2
表面の土を軽くほぐしながら、肥料と土を混ぜる。

3
株元に土寄せをして株が倒れないようにする。

4
株が大きく育ってきたら、畝の脇に溝を掘ってから肥料をまく。

5
溝を埋め戻しながら、株元に土寄せをする。

肥料は握りではかる p115

肥料の量は成人男性のひと握りでおよそ20~30g、軽くひと握りで10~20g。
自分の手で握った量をはかっておくと、肥料をまくときに便利。

虫が少ない時期は人工授粉 p116

実は、虫や風に運ばれた花粉が、雌しべにつくことでできます。
通常、人工的に受粉させなくても実はつきますが、虫が少ない、花が落ちる、確実に受粉させるなどの場合は人の手で受粉させる「人工授粉」を行います。

ウリ科などの雄花と雌花が別々に咲く花は、雄花を摘み取って雌しべに雄しべの花粉を直接つけます。
また、ナス科の花は、ひとつの花に雄しべと雌しべがそろっているので、花を軽く叩くか支柱を叩いて株全体を揺らして受粉させます。

人工授粉の方法~雄花と雌花をつける p116

1
雄花と雌花を探し、雄花を摘み取って花びらを取り除く。
明け方から日が高くなる前までに行う。

2
雄しべの花粉をまんべんなく雌しべにこすりつける。
スイカなどは受粉日がわかるようにラベルをつける。

振動で受粉させる p116

1
トマトなどは支柱を軽く叩き、トウモロコシは茎を軽く叩くと花粉が出る。

2
トマトはひとつの花の中に雄しべと雌しべがあるので、花を叩くことで細かな花粉が出て花の中で受粉する。

有機・無農薬栽培に向く堆肥 p122

堆肥は土の環境を整える資材です。
落ち葉や刈り草、わらなどを堆積して発酵させた「落ち葉堆肥」が初心者でもつくりやすいうえ扱いやすく、おすすめです。
落ち葉に含まれる植物繊維が、野菜づくりに向かない粘土質や砂っぽい土を、ふかふかの土に変えてくれます。
コンテナや狭い範囲の地植えであれば、市販の完熟堆肥を活用してもいいでしょう。

落ち葉堆肥のつくり方 p122

材料
・落ち葉(クヌギ、ケヤキ、ブナ、カエデ)
・刈り草(雑草の種のないもの)
・わら
・米ぬか
・鶏ふんなど
1
落ち葉、刈り草、わらを大量に集め、畑の隅などに30~40㎝程度積む。
まわりは廃材などで囲む。

2
米ぬかや鶏ふんを上面にまき、全体を足でよく踏みつける。
さらに畑の土を全体にかぶせる。

3
1~2を繰り返しながら何層かに積み上げたら、上から大量の水をかけ、足で踏んで全体をなじませる。
その後、ブルーシートでおおう。

4
1カ月程度放置し、発酵で温度が上がってきたら、堆肥を下から上へ、内側から外側へと天地返しをする。
乾燥していたら水を与え、再びブルーシートでおおう。
1~2カ月ごとにこの作業を繰り返す。

完成
全体に黒っぽく、適度な湿り気があり温かく、嫌なにおいがしなければ完成です。
白いカビが生えている、キノコが生えている、虫がいるのも、堆肥が完成している証です。

※上記のようなプロセスを経なくても、落ち葉や刈り草を畑の隅に積み重ねておくだけでも堆肥はできます。
ただし、時間はもっとかかります。

生ゴミ堆肥 p123

キッチンから出た生ゴミを再利用する環境にやさしい堆肥です。
コンポストを使います。
生ゴミは小さく刻んでおきます。
コンポストを数㎝土に埋め、土と生ゴミを重ね、米ぬかやEM菌(発酵資材)かけると発酵がより進みます。

土中堆肥 p123

畑の畝と畝の間に溝を掘って、落ち葉、雑草、生ゴミなどを入れ、土を戻します。
十分に発酵したら堆肥として使用します。
40~60㎝ほどの穴を掘る。

堆肥の材料を入れ、しっかり踏み固めてから土を戻す。

雑草袋堆肥 p123

除草で出た雑草、米ぬか、ラクトヒロックス※を袋に詰め、1年間放置すると堆肥ができます。

※乳酸菌・酵母など10種類の有用微生物の働きで、土を団粒構造に変える土壌改良剤。

有機・無農薬栽培に向く肥料 p124

堆肥は土をふかふかな状態にしますが、栄養はほんの少ししかありません。
そこで肥料が必要になります。
有機質肥料には動物性と植物性があり、動物性の肥料ならば鶏ふん、骨粉など、植物性の肥料ならば油かす、草木灰などがあります。
化成肥料と違い、効果は穏やかに現われるので、元肥として、種まきや植えつけの2~3週間前に土にたっぷり施します。

油かす液肥 p124

一般的な有機質肥料は効き目が隠やかで追肥には向きませんが、油かす液肥は効き目が早く追肥に向いています。
水やりも兼ねて毎日使う場合は、大量の水で薄めます。
つくり方
2lのペットボトルに油かす200gを入れる。

発酵し臭いが弱くなったら上ずみ液を水で10~15倍に薄めて使う。

草木灰 p125

水溶性カリを多く含み、有機質肥料の中では即効性が高い肥料です。
特に根菜類におすすめです。
市販のものもありますが、雑草などを利用して畑の隅などでつくることができます。
雑草や野菜の残りをよく乾燥させる。
畑の隅に石などで囲いをつくって燃やす。
白い煙が立ち上がっている状態を保てるように、雑草や野菜を様子を見ながら足していく。
黒い灰になる程度に燃えたら、水で薄めた酢をかけて鎮火する。

綠肥 p125

刈り取ってから、または刈り取らずにそのまま耕して肥料にする植物のこと。
種ができる前に肥料にするのがポイントです。
よく根を張って土を耕すのと同じ効果を発揮したり、害虫の発生を防いだりします。

放置肥料 p125

雑草や落ち葉などを隅に置いておくだけでできる肥料。
時間はかかりますが、肥料効果は長持ちします。
除草した雑草は捨てないで片隅に積み重ねておく。

ぼかし肥って何? p125

有機質肥料を発酵させ、効果を穏やかにした(ボカした)肥料のこと。
一般的な有機質肥料は未発酵なので追肥に不向きだが、ぼかし肥は元肥にも追肥にも使える。
腐葉土、鶏フン、米ヌカ、生ゴミなどから手作りもできるが、市販のものを利用してもよい。