「ひろゆきのシン・未来予測」を 2,023 年 07 月 01 日に読んだ。
目次
メモ
p14
とくに YouTube 配信でそうした質問をよく受けます。
僕は、自分の YouTube チャンネルで、視聴者の質問に答える生配信をしています。
そして、その配信を後からほかの人が短く編集し、字幕をつけた「ひろゆき切り抜き」が量産されています。
この切り抜き動画はかなりブームになっていて、 1 ヵ月間 ( 2021 年 5 月) の総再生回数は 3 億回を超えました。
”アフリカ以下” のテクノロジー p50
最新のテクノロジーが集結している場所を知っているでしょうか。
シリコンバレーでも、もちろん日本でもありません。答えはアフリカです。
たとえば、アフリカでは電子決済がものすごい勢いで普及しています。
アフリカでは銀行口座の所有率が低く、貨幣の信用もないため、
デジタル上でのお金のやり取りにものすごく高いニーズがあり、一気に広まったのです。
ほかには、輸血用血液や医薬品をドローンで病院に届けるという、日本でもまだ始っていないようなサービスが次々実用化しています。
なぜ、アフリカでテクノロジーが次々導入されているのかというと、
インフラが整っていない国ほど、技術進化するときには蛙のようにひとっ飛びで進む「リープフロッグ現象」が起きるからです。
アフリカが日本を跳び越えて、次々テクノロジーを導入していく様子を見ると、
「日本はいったい何周遅れているんだ」と嘆きたくなります。
ビオブームとその対極にあるもの p62
僕が暮らしているフランスでは、もともとビオ(オーガニック)にこだわる人が多く、専門の店舗もたくさんあります。
日本でも、有機無農薬野菜を扱うスーパーが手広く展開されるようになりました。
食品だけでなく、洗剤や化粧品など、少しでも自然の素材を使って健康的な生活を送ろうという人たちは、先進国を中心に増えています。
そして、その多くが高収入層です。
実際に、同じキャベツでも、ビオのものは一般品の倍くらいの値段がついています。
一方で、生活に余裕がなく、「安いものでないと買えない」という人たちもいて、
彼らは値段の安い遺伝子組み換えの食品を選ばざるを得ません。
たとえば、遺伝子組み換え大豆はあちこちで使われています。
スーパーでも味噌や醤油などの加工食品を中心に「遺伝子組み換え大豆が含まれる可能性があります」と表示された商品を見かけるようになりました。
デフレが続く日本では、安さを求める志向がどんどん高まっているので、今後は多くの消費者から受け入れられるようになるでしょう。
しかしながら、こうした流れが加速すればするほど、「怪しい食品は嫌だ」とこだわる人たちも出ていきます。
これからは、ビオにこだわるお金持ちと、安さ優先で買っていく低所得者層という具合に、
普段から口にするものも二極化が進んでいくでしょう。
「新商品」が生産性の低さの要因 p144
日本の給料が上がらない理由として、長時間労働を挙げる人がいます。
「日本人はだらだらと長く働いているから、時間当たりの成果が少ないのだ」と言うのですが、本当にそうでしょうか。
僕は過去いろいろな国の人と一緒に仕事をしたことがありますが、彼らと比べて日本人の働きぶりが悪いとはまったく思えません。
むしろ、日本人の生産性の低さは「頑張りすぎ」が原因なのではないかとにらんでいます。
日本では、家電でも、ビールでも、お菓子でも、毎シーズンごとにメーカー各社がそろって新商品を発売します。
実はこれは日本特有の現象です。
フランスやアメリカでは、定番商品をずっと売り続けるのが基本で、毎年新商品が出るなんてことはありえません。
新たな商品を生み出し続ける「勤勉で」「真面目な」日本人。
しかし皮肉なことに、多くの会社は、頑張れば頑張るほど生産性が下がっていく負のスパイラルに陥っています。
新商品開発には人件費や材料費といった大きなコストがかかります。
その商品を知ってもらう広告活動にもお金をかける必要があります。
新商品の発売によって多少売上が伸びるのは事実ですが、コストに見合うほどの利益が出せているとは到底思えません。
食品業界には「千三つ」という言葉があります。
これは「千個の新商品を出しても、当たるのは三つしかない」という意味で、新商品開発の難しさを表しています。
ほとんど当たる見込みのない商品を躍起になって出したところで、プラスになるはずがないのです。
成功したければ「農家」になれ!! p159
僕が注目しているのが「第一次産業」です。
農業・漁業・林業といった第一次産業は「すでに終わった業界」みたいに捉えられている節がありますが、
人間が生きていく以上、絶対になくならないので、これからも有望だと考えていいでしょう。
第一次産業の現状について伝えるテレビ番組などは「うまくいっている人」ではなく「困っている人」に焦点を当てるし、
見る側もそれを喜ぶ傾向にあるので、みんな正しく理解できないのです。
たとえば、「後継者不足」というテーマはその典型です。
東北地方のある村に、長く続いた西村牧場というのがあったとしましょう。
そこの長男ひろゆきが「僕は都会に出る」と継がなかったら、西村牧場はなくなります。
そして、それを「現代の悲劇」としてテレビは放送します。
でも、実際にはどこかが買い取って牧場経営は続いていたりすることがほとんどです。
むしろ、大手資本が入って、より活性化していることすらあります。
動画が人生を変えてくれる p179
ここまで「給料が下がる」や「優秀な若者の海外流出」、「定年がなくなる」など、
先行きの暗い予測が多かったので、ここで一つ、明るい展望を紹介しておきましょう。
これからは誰もが成功のきっかけをつかむチャンスがある時代になっていくのです。
やり投げで世界陸上の金メダルを取ったジュリアス・イェゴというケニアの選手は「ユーチューブマン」とも呼ばれています。
2016年のリオデジャネイロオリンピックでも銀メダルを獲得し、2021年の東京オリンピックにも出場しました。
彼は自国にいい指導者がいないことから、YouTubeを見ながら独学で訓練し、金メダリストにまでなったのです。
日本にも、 YouTube で学び、ベースボール・チャレンジ・リーグで活躍する杉浦健二郎さんがいます。
彼は、大学生のときに草野球チームに所属しながら YouTube で技術を取得。
今は、150キロの直球のほか、カットボール、スローカーブ、高速スライダー、ツーシームなど豊富な球種を持っています。
これまで、スポーツは指導者に教えてもらわなければ大成できないケースがほとんどでした。
ましてや、プロになって稼ぐためには、強豪校に入って有名な監督の下で指導を受け、激しい練習にも耐えねばなりませんでした。
どんなに生まれ持った才能があっても、お金がなくて学校に行けなかったり、いい指導者に恵まれなかったりしたことで、芽の出ない人がどれだけいたことでしょう。
でも、今はそうではありません。
ネット上には、一流の人が教えてくれる動画がたくさんあり、「自分にとってなにが必要なのか」さえわかっていれば、
とても効率よく学べる時代です。
アメリカで起きていること p236
日本には現在128の新聞がありますが、アメリカははるかに多く1400くらいです。
その分、それぞれの発行部数は10万部から20万部と小さく、記者の年収は日本よりずっと安く300万円から400万円くらいだそうです。
ちなみに、日本の大手新聞記者の給料は、彼らの3倍から4倍です。
また、ハフィントン・ポストを買収したアメリカの大手IT企業AOLが、
ごく限られた地域について詳しく報じる「Patch」というサイトを運営しており、
今後は、こうしたハイパーローカルに活路を見出そうとしているようです。
ハフィントン・ポストの経営者アリアナ・ハフィントンさんは、アメリカ議会の公聴人に呼ばれた際に、大変に象徴的なことを述べたそうです。
「多様なニュースが民主主義のために絶対に必要だというのはわかるけれど、それが紙の媒体を通さねばならないと、あなたたちは思うのですか」と。
ニューヨーク市立大学のウォルターマン氏も、こう言っています。
「我々が考えなければならないのは、ニュースを救うことであってニュースペーパーを救うことではない」
このように、アメリカでは、ハイパーローカルやニッチなコンテンツなど、
新しいジャーナリズムの動きが出ている一方、日本の新聞はいまだに迷走しているのです。