「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」を 2,023 年 03 月 19 日に読んだ。
目次
メモ
書きたいことのパーツを揃える p24
書きたい話題を箇条書きにする
前項では、書きたい内容をあらかじめパーツとして用意しておくのが、プラモデル化の条件だとお話ししました。
具体的にはこれから書こうという文章に含まれそうな話題を、箇条書きで書き出す作業をしていきます。
事実ベースの文章を書く場合は、手持ちの事実をどんどん書き出していきましょう。
もし手紙やレビューのような主観を述べる文章なら、何を思い感じたのか、箇条書きで書きつけます。
この段階では順番や整合性は気にしてはいけません。
主眼と骨子を考えるために、まずは手持ちの話題をリストアップしていくのです。
基本の構成は「サビ頭」 p42
先に結論を言ってしまう
骨子は「要素・順番・軽重」、もしくは「何を、どれから、どれくらい」でしたね。
このうち、いちばん思案に時間がかかるのが「順番」です。
話題の箇条書きと主眼を眺めながら、どの話題から話すかを決めなければならないからです。
ただし文章にはどの順番で話題を並べたら効果的かという、ある程度の定石、定番パターンみたいなものがあります。
私が8割がたの記事に適用しているのが「サビ頭」です。
本来はJ-POPの用語で、冒頭にサビ (もっとも盛り上がる部分)を持ってくる作曲法のことを指します。
これを文章に適用すると「大事な話題から言う」と言い直せるでしょう。
結論や論点を最初にズバリと提示し、核心から切り込む。
すなわち文章をおしまいまで読みたくなるような、魅力的な一段落を最初に持ってくるということです。
サビ頭構成の例
結論 - 問題提起 - 状況説明 - 付帯情報
サビ頭は、新聞記事やレポート、説明文など、あらゆる実用的な文章の基本とされています。
ビジネスの世界ではよく「PREP 法」とか「SDS法」などといわれますが、
いずれも結論 (Point) や要約 (Summary) を最初に提示する構成を指しています。
完読されるための基本を身に付ける p43
サビ頭な楽曲の流行は、CDというメディアの登場によって起った現象です。
ボタンひとつで瞬時に曲を飛ばせるようになり、冒頭から心をつかむ手法が求められるようになりました。
その結果、イントロの前にサビを聞かせてしまう形式が登場したのです。
クリックひとつで別のページにジャンプされてしまうウェブの世界では、
以前にも増してこのサビ頭が求められているのではないでしょうか。
冒頭で読者の興味をグイっと引きつけ、関心をキープしたまま、目標である「完読」までこぎ付ける。
そんな設計がネット時代の基本装備だと考えています。
書けなくなったら p46
完成度よりも全体像の把握を優先する
レッスン13では「構造シートの書き写しを太らせていけば原稿になる」「ゼロから生み出すより修正のほうが簡単」と言いましたが、
それでも書いていると手が止まってしまう瞬間がしばしば訪れるものです。
そんなとき私はまず、スタックしてしまった部分を放置して、次に書き進むようにしています。
修正はあとからいくらでもできるもの。
完成度が低くてもおしまいまで書き通すことが肝要です。
おしまいまで見渡せるようになると、修正すべき方向もずっと楽に見いだせるようになるものです。
書き直しがなくなる日を目指して p49
ボンヤリ書く、直す、気付いてうまくなる。
このサイクルを繰り返しながら、徐々にレベルアップを目指していきましょう。
2連は黄色信号、3連はアウト p58
重複の一例として、ここでは単語レベルのダブりを見てみましょう。
「の」の連続は、いまどきワープロソフトでも指摘してくれる典型的な単語レベルの重複です。
私のおばさんの三女の会社の社長は有名人です。
私のおばさんの三女が勤めている会社の社長は有名人です。
ダブリは少ないほうが望ましいですが、2連続までは許容できるケースも少なくないのが現実。
3連続を超えると、誰が読んでもくどく感じられるものです。
絶対のルールではありませんが、おおむね「2連は黄色信号、3連はアウト」と覚えてください。
文末のバリエーションに気を配る p62
イベント企画について会議をしました。予算の条件が見合わず紛糾しました。
結論は来週に持ち越すことにしました。
イベント企画について会議をしました。予算の条件が見合わず紛糾しています。
結論は来週に持ち越すことになりました。
文節レベルの重複でいちばん気を付けたいのが、文末の重複です。
原文では文末に「しました」が3回も続いており、小学生の作文のような印象になっています。
そこで改善文では2つ目を現在形に変え、3つ目は言い換えることで単調さを緩和しました。
翻訳文体にご用心 p100
私は休みを取ることができるでしょう。
私は休みを取れるでしょう。
冗長表現の一ジャンルとして、私が「翻訳文体」と呼んでいる言葉づかいがあります。
翻訳文体とは、海外文学の翻訳ものなどでよく見かけられる、持って回った言い回しのことを指します。
原文は単純に文字数が多く、回りくどい言い方になっていることがわかると思います。
「することができる」 という日本語が誕生したのは、多分に下記のような事情でしょう。
be able to do
することができる
こういった単語ひとつひとつに対応した日本語を当てはめようとする訳し方を逐語訳と呼びます。
翻訳家が原文のニュアンスを丁寧に訳出することを狙ったものですが、実用的な文章ではどうしても冗長に響いてしまいます。
逐語訳をルーツに持つであろう翻訳文体はほかにもあります。
列挙の「と」「や」は最初に置く p123
列挙の作法としてもうひとつ気を付けたいのが、並列を表す助詞と読点の配置です。
英語で3つ以上のものを並べるときは「A.B.C, and D」がお約束でしたね。では日本語では ?
7日間の会期のうち、1日目と2日目と4日目と7日目に出席する予定です。
7日間の会期のうち、1日目と2日目、4日目、7日目に出席する予定です。
正解は「AとB、C、D」のように、最初の情報のあとに助詞を置くのが基本です。
話し言葉では「AとBとCとD」のようにすべてに助詞を挟むこともありますが、
書き言葉では最初の情報の直後にだけ置いたほうが収まりがいいでしょう。
主語の「は」と「が」の使い分け p126
ポール・マッカートニーは1年ぶりに来日する。
ポール・マッカートニーが1年ぶりに来日する。
2つの文を読み比べて、より事実を知らせるニュース記事でふさわしいのはどちらの文だと思いますか。
下の例文のように「ボールマッカートニーが」としたほうが、現象を端的に述べた一文だと感じられないでしょうか。
「は」と「が」はどちらも主語を示す機能を持つ助詞ですが、「は」には「主題の提示」というより大きな機能があります。
このため、「が」のほうが主語を限定する機能が強く、「は」のほうがさまざまな含みを持つ表現になります。
主題を提示する「は」は、「〜についていえば」と言い換えても成り立ちます。
まず主題を立てて、それに続けて説明や判断を述べる構造になっていることを意識してください。
「空は青い。」と言えば、「空というものは青いものだ」と主題に対する一般論を述べる感覚になりますし、
「空が青い。」と言えば、目の前の現象をありのままに描写する感覚になります。
また「は」には対比の意味もあります。
冒頭に示した例文でも、次のような言外の対比を読み取ることができます。
ポール・マッカートニーは1年ぶりに来日する(が、別のアーティストAは来日しない)。
対比を表す用法も、結局は「主題の提示」から派生しています。
「ポール・マッカートニーについてはこうで、アーティストAについてはこう」と、類似のいくつかの可能性の中からひとつを取り上げているわけです。
これに対して「が」は、主語の適用範囲が狭く、明確です。
たとえば複文ではひとつの節の中でしか係りません。
父はゲームをするとき、よくイライラしている。
父がゲームをするとき、よくイライラしている。
「父は」の場合、イライラしているのも父です。
「父がゲームをするとき」とすると、そこで係り受けが切れて、イライラしているのは母や私かもしれないという状態になります。
「は」と「が」 の使い分けで迷ったとき、はっきりと主語を提示したいときは、「が」を選択するといいでしょう。
「は」と「が」の使い分けは文法上の奥深い問題ですが、
「は」は主題の提示、と覚えておくとひとつの目安になるでしょう。